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「元号は日本だけ」論の誤謬

昨年書いた上掲記事の中段に追記したことなのですが「元号」に関して。

元号は日本だけ

元号を使ってるのは日本だけ。

これは正しい。

そもそも元号とは統治者の代替わりであったり統治者の意思によって(災害や不吉な出来事が発生すると演義が悪いとして天皇が存命中であっても改元が行われたことが何度もある)名称が変わる暦であり、その度に年度の計算がリセットされるものです。

そのようなものを用いている国・地域は日本だけ。

しかし、【その国(文化圏)独自の年の数え方・暦】という意味では西暦と元号以外にあります。

西暦以外の年の数え方がある

皇紀、西暦、イスラム紀元、仏滅紀元、民国紀元などはリセットされることなく数字が継続して積みあがっていきます。

はい。

西暦以外にもたとえばこういった暦の数え方があるのが明らかです。

しかし、「学識のある者が選ばれる」日本学術会議は何と言っていたか?

日本学術会議の元号を廃止し西暦を採用することの申し入れ

学術会議元号1

学術会議元号2

https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/01/01-57-m.pdf

以上は日本学術会議が昭和25年5月6日に政府に元号を廃止し西暦を採用することの申し入れをした際の文章です。

理屈は大きく4つに分けられています。

1:元号を使っているのは日本だけ
2:法律上、元号を使うべき必然性は無い
3:元号は天皇のものだから民主国家に相応しくない
4:西暦を導入することへの反対論には理由が無い

2~4は元号法が制定された現在では論じる意味が無いので、1番だけに絞って書きます。

「元号を用いているのは日本だけ」だから「西暦を使え」の飛躍

学術会議は「元号を用いているのは日本だけ」だから「西暦を使え」という論理展開をしています。

これは論理の飛躍です。

なぜなら、西暦以外の他の暦もあるからです。

ここで、学術会議は西暦のメリットとして「何年前、何年後ということが人目してわかる」ことを挙げていますが、これは他の「紀元」も同じ。

次に、学術会議は「元号はなんらの科学的な意味がなく」と書いてます。

西暦に科学的意味はあるのでしょうか?

反語

ということで、「西暦を使え」の根拠として使えるのは「世界で広く使われてるから」しか無いということに。

世界といっても欧米諸国とその植民地(だった)諸国でしょう。

これって、何か学術は必要なんでしょうか?

それとも、昭和25年当時はイスラム暦や仏暦の存在は知られていなかったということなんでしょうか?

そうであれば、あまりにもお粗末な「学術」ですね。

元号のメリット

元号のメリットもあることに気づくでしょうか?

1:天皇の在位年数が分かる
2:中世以前においては不吉な出来事(大事件)があったことが分かる
3:新元号制定毎に歴史を認識できる(「令和」の意味内容が散々報道されたことを想起せよ)
4:裁判の日時、事件番号の整理として、元号があった方が時代観を掴みやすい
5:日本に関する知識の優位性維持

他方で世界史の出来事と日本史の出来事をリンクしにくいという点については、「西暦の下2桁+12で平成(99の次は0に戻る)」だとか「西暦の下2桁-18で令和」ということを覚えてしまえば終わり。

ということで、たった2桁の計算が煩わしい人たちが出したのが元号を廃止し西暦を採用することの申し入れをした学術会議です。

なお、「外務省が公文書から元号を排除しようとしていた」という言説が流れましたが、実態は時事通信のマッチポンプでした。

匿名者の発言なので、「省として検討されていた」わけではない。

結局、河野太郎外相時代に阻止?されたということです。

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