自衛隊は国際法上の軍隊

日本国憲法では、国際紛争を解決する手段としての国権の発動たる戦争&武力による威嚇又は武力の行使を放棄するという目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しないとしています。

自衛隊は、日本国憲法上禁止されている「国際紛争を解決する手段としての国権の発動たる戦争&武力による威嚇又は武力の行使が可能な陸海空軍その他の戦力」ではないとされています。

ところが、以下を見てみましょう。

ジュネーヴ諸条約第一追加議定書

第二部戦闘員及び捕虜の地位
第四十三条軍隊
1 紛争当事者の軍隊は、部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊から成る(当該紛争当事者を代表する政府又は当局が敵対する紛争当事者によって承認されているか否かを問わない。)。このような軍隊は、内部規律に関する制度、特に武力紛争の際に適用される国際法の諸規則を遵守させる内部規律に関する制度に従う。

これが国際法上の軍隊の定義。

日本政府の公式見解は以下。

自衛隊員とジュネーブ条約上の捕虜との関係に関する質問主意書:参議院

質問主意書

三 ジュネーブ条約では自衛隊は軍隊として認識されているが、憲法では自衛隊が軍隊であると位置付けられていない以上、自衛隊を軍隊として扱うジュネーブ条約を日本が締結することは許されるのか。
八 自衛隊員がジュネーブ条約上の捕虜となった場合、政府は自衛隊を軍隊と称するのか、軍隊とは違う特殊なものとするのか、あるいは軍隊ではないと抗議を行うのか。

答弁書
三及び八について

 戦争犠牲者の保護に関する千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約(昭和二十八年条約第二十三号、第二十四号、第二十五号及び第二十六号。以下「ジュネーヴ諸条約」という。)は武力紛争における傷者及び病者や捕虜の待遇等について定める条約であり、ジュネーヴ諸条約にいう軍隊とは、武力紛争に際して武力を行使することを任務とする組織一般を指すものと考えている。自衛隊は、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものであって、憲法第九条第二項で保持することが禁止されている「陸海空軍その他の戦力」には当たらないと考えているが、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし自衛権行使の要件が満たされる場合には武力を行使して我が国を防衛する組織であることから、一般にはジュネーヴ諸条約上の軍隊に該当すると解される。我が国がジュネーヴ諸条約を締結したとしても、自衛隊が通常の観念で考えられる軍隊となるわけではなく、「陸海空軍その他の戦力」となるわけでもないことから、我が国がジュネーヴ諸条約を締結することについて憲法との関係で問題を生ずることはない。このような自衛隊の法的位置付けは、お尋ねの自衛隊員がジュネーヴ諸条約の規定による捕虜となった場合においても異なるものではない。

ということで、自衛隊は国際法上の軍隊です。

「じゃあ改憲する必要あるの?」

と思う方は、解釈によって成り立っていることによる弊害を認識しましょう。それについて論じたのが以下。

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