内閣総理大臣の「所轄」の意味についての印象操作と学術会議
「所轄」の意味についての印象操作があったので。
この画像、変なところで切れてるので見てきました。
【法令用語辞典 : 第10次改訂版】431頁
「所轄機関に対しどの程度の権限をもつかは、各々基本となる法律に具体的に規定されている」とある通り、「所轄」という用語があるからといってすべての場合に同じ扱いをしているわけではありません。
そして、少し上の方を見ると分かるのですが、「この種の機関の具合的な例」として、人事院・国家公安委員会・公正取引委員会が書かれています。
国家公安委員会に関して規定されている警察法を見ると
警察法
第四条 内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。
(国家公安委員の任命)
第七条 委員は、任命前五年間に警察又は検察の職務を行う職業的公務員の前歴のない者のうちから、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。
2 委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
公正取引委員会についても。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
第二十七条
内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、第一条の目的を達成することを任務とする公正取引委員会を置く。
(2)公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。
(組織並びに委員長及び委員の任命並びに身分)
第二十九条
公正取引委員会は、委員長及び委員四人を以て、これを組織する。
(2)委員長及び委員は、年齢が三十五年以上で、法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。
このように、後に国会の同意を求めることになる場合があるにせよ、「所轄」とされていようが内閣総理大臣に任命の裁量が確保されているケースなどいくらでも存在しています。
「所轄」「特別の機関」「独立性の高い組織」「推薦に基づいて~」
などという単語レベルで任命裁量を決定づけることはできず、制度全体や組織の設立趣旨を論じなければ正当な議論になりません。
それを避けている時点で結果は見えていると思うのです。
以上
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