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帰省を制限しておいて外国人の入国を緩和することは矛盾している!

と、タイトルで思った人へ、そうも言ってられないんですよ。

日本人には「帰省は控えるように」とアナウンス

現在の日本政府は法的な強制力はありませんが、日本人に対しては都道府県をまたがる移動を自粛するよう求め、今夏の帰省についても控えるように、とアナウンスしています。

他方で、8月5日から、入国制限の対象地域からの渡航者であっても、留学生や技能実習生、企業の駐在員など在留資格がある外国人で、入国拒否の対象となる前日までに一時的に帰国している場合は出国のPCR検査の実施などを条件に来月5日から再入国を認めることになりました。

外国人留学生ら 検査など条件に再入国認める 来月5日から 政府 2020年7月30日 4時56分

また、中国や韓国、台湾など12の国と地域との間で、ビジネス関係者らの入国を相互に認めるための協議を始める方針を決定しています。

入国制限緩和 中国・韓国・台湾などと協議始める方針 政府 2020年7月22日 19時09分

外国人には移動を認めておいて、日本人の移動は制限を求める。

これは矛盾しているのではないか?という疑問が出てくるかもしれません。

外国人の入国を認めることとの両立

外国人については、検討後の話としても、誰もかれもが入国できるわけではありません。

地域を限定する以外に、「ビジネス関係者らの入国」などに限っています。

で、これは言い方が悪いのですが「お金もってない奴は来んな」ってこと。

たとえば2019年以前の日本は、誰でも彼でも外国人に入国してもらいましょう、という旅行政策を採っていました。その結果、年間のべ3000万人以上の旅行客数の規模でした。

最大の顧客は韓国人旅行客でした。

それが2019年7月の韓国に対する輸出管理の強化などを始めとする対応等で、韓国人の旅行客数が半減しました。

しかし、旅行収支の黒字額は過去最高を叩き出しました。

これは、韓国人旅行客の「客単価」が日帰り客が多いことなども相まって著しく低かったためであり、おそらく日帰り客が大幅に減少したとしても、利益が出る健全な構造になったためと思われます。
(欧州など他国からの旅行客が増えていたという事情がある)
※当然、ミクロに見ていくと打撃を受けて経営が立ちいかなくなった企業店舗が存在するが、そうした「犠牲」を生んだのは「特定需要の急激な減少」ではなく「特定需要のみが大きい社会であったこと」であり、特定需要の減少の結果として「犠牲者」が出た責任を政府に求めるのは筋違いであるし、また、特定需要に依存した経営をしていた「犠牲者」の経営責任を問うことも筋違いだと言うべきである。

今回の外国人の入国規制の緩和も、そういう「おかねを落としてくれるような層」「ビジネスにより経済活動を活発にしてくれる層」に対して入国を認めるということでしょう。

国民へは移動の自粛「要請」、外国人は「禁止」

形式的に見れば、国民に対してはあくまで「自粛」要請であって、禁止はしていません。対して一定の外国人には「入国禁止」なので、このレベルでは何か矛盾しているということはありません。

では、素朴な感覚で両者を見たときに、それは矛盾してるのか?

…問いを変えます。

矛盾しているからといって止めるべきなのか?

外国人が入国してくるという事は少なくとも空港周りには仕事が増えます。

現在はおおくのパイロットが自宅待機を強いられているところであり、このままでは転職など貴重な人材の流出が発生してしまいます。

ただでさえJALの経営破綻でパイロット不足だから、この状況はまずい。

外国人向けのラインナップ・サービスで経営してた企業店舗もあるでしょうし、そうでなくとも外国人が利用することで利益の上乗せになっていたところはあるでしょう。

そうした所は潰れろと言うのか?

そして、日本国内の他の企業も、現在のまま経済活動を規制させといてよいのだろうか?結婚式場では、17万組のかっぷるが結婚式を延期ないしキャンセルし、業界収益は1割になったという報道があります。

動かせる業界から経済活動を動かしていかなければ、ウイルスによる死者を遥かに超える者が出てくるでしょう。

「矛盾を抱える」ではなく、「矛盾しない」

政府の方針は「矛盾を抱えながらもやらざるを得ない」と言われるかもしれませんが、「矛盾しない」と考えるべきだと思います。

入国規制をする前の2月3月は、「誰でも彼でも」入国可能な状態であり、それが「地域指定で」入国規制をかけるようになりました。

今回のは、そうした状態での「外国人は入国を自由にしているのに、日本人には移動を自粛するという態度」ではないわけで、状況が変わっています。

むしろ「旅行産業」の視点で見れば、入国してくる「客層」を日本国にとって望ましいものに変容させるチャンスでもあると思います。

以上

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