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小児前腕骨骨折は超音波検査で診断できる。

【概要】
救急外来でナースプラクティショナー(NP)による前腕骨骨折の疑いがある人に超音波検査を行うことで骨折を診断できるかどうかを見た論文です。これまで救急医などによる論文がありましたが今回NPでも簡単にできますよということを提言したといえます。

4-16歳の前腕の外傷を負った人を対象にし、既存の骨疾患・非外傷例、重症、他の外傷を伴う症例を除外しています。
 
一定のトレーニングを受けたNPが橈骨と尺骨の遠位を6つの場所から超音波で描出して診断したものと、単純X線2方向と比較しています。試験参加者すべてがこれら2つの検査をうけてbuckle fractureとother fracture, 骨折なしの3つの評価を受けた。(小児前腕骨の骨折様式はbuckle fracture, greenstick fracture, growth platefractue, Monteggia fracture, Galeazzi fractureなどがあります。) 
これを区別している理由はbuckle fractureが他の骨折と異なり明らかに軽症で、buckle fractureを指摘することがあまり臨床的に重要性がないので区別しているようです。

研究開始前にNPが受けたトレーニングは2時間の練習+指導者付きで3回の実際の患者評価を行っただけでした。

超音波検査は下記図の6つのポイントで描出します。

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本研究では単純X線写真の所見を基準として治療を行っております。
 主要アウトカムは超音波検査の診断能で、超音波検査と単純写真いずれも骨折所見ありの場合はtrue positive, 超音波検査で骨折なしだけど単純写真で骨折ありの場合はfalse negativeといったように判断しています。

【結果】
204名の患者が登録され、平均年齢は9.5歳でした。
204名のうち129名で単純X線写真で骨折を認めました。
NPによる超音波検査の感度は94.6%(122/129)で特異度は85.3%(64/75)でした。
Buckle fracture以外の骨折と buckles fracture+ 骨折無しの区別については、感度81%、特異度95.9%でした。

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【個人的感想】
上記結果は、簡単な指導を受けるだけで前腕骨の評価が超音波でできるようになるということでしょう。 Buckle fracture 以外の骨折の方の感度が81%と低い点がやや気になるところですが、これは症例経験数など技術の向上で改善できる可能性がありそうです。

なんとなく、骨折で超音波検査を用いる場合には単純X線も超音波も両方検査する可能性が高いために、医療費の削減には貢献しないような気もします。
逆の研究パターンとして単純X線を先行しておこない、超音波検査で見逃しを減らすことができるかを検証してみたい気がしました。

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