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ワールドに荒らしが来た! と思ったら元荒らしが撃退しようとした話

バーチャルSNSのclusterで遊んでいると、たいていは平穏な時間が過ぎていくことが多いんですが、ほんのときどき事件というか、変なことが起きます。

僕が運営しているカジノ&バー「幸甚亭」でも稀に起こります。例えば、みんなでブラックジャックを楽しんでいるときに邪魔をする「荒らし」が来て困っていたら、その場にいた「元荒らし」がそいつを撃退しようとした、とか。

元荒らしが荒らしと戦う光景

何が起きたのかというと。

その日は何人かでテーブルを囲んでブラックジャックに興じていました。カジノで遊べる幸甚亭の名物の1つです。

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初めての人もいたので説明しながら遊んでいたところ、clusterのオフィシャルアバターのユーザーがルームにやってきて、そこら中を走り回ったかと思うとテーブルに乗り、動かなくなったんです。

どう考えても邪魔なわけですが、オフィシャルアバターということはcluster初心者。操作が分からず、またおぼつかないこともめずらしくありません。スマホだと特に最初は細かい操作が難しいんですよね。そこで僕は丁寧に「そこにいると邪魔になるからどいてね」と伝えました。

しかし、頑として動かず。そして動いたかと思いきやまた走り回り、アイテムを動かしまくり、みんなが集まっているテーブルに乗る。こうなると操作の不慣れではなく、れっきとした意図のある荒らしと確定できます(他人が困っている様子を見て楽しむという意図)。

残念ながら、clusterにはイベント枠にしかBAN機能がないので、通常のワールドではとあるギミックを使ってユーザー側でBAN機能を用意するしかありません。当然、僕は対応しましたが、なぜかギミックがうまく働かない。ワープはさせられるけれど、ルームに戻ってきてしまう。のちほど原因が判明して改善したものの、本来なら幸甚亭に入った瞬間に公式のチュートリアルワールドに飛び続けるはずでした。

荒らし行為を繰り返すそいつになす術なく、我々は途方に暮れていました。このときの無力感たるや、本当に悲しく情けないものがあります。なんとかしてほしい。

対策としては自分たちがインスタンスを変えるしかないのでその準備をし始めたとき、突如、アイテムを持ってそいつの進路妨害をしたり、「stop!」と警告し始めたユーザーがいました。それが元荒らしのP(仮)でした。

僕だけでなく、Pが荒らしだと知っていた人たち全員が思いがけず笑ってしまうほどその行動に驚かされました。「おまえ、ほんまに改心したんやな!」って。

荒らしが改心することもある?

Pは以前、clusterではそれなりに知られた荒らしでした。例えば、誰かの近くで大音量の音を流す、何度注意されてもアイテムを持ってきて邪魔をするなど、そのワールドにいる人にとっては極めて迷惑な行為を繰り返していたそうで。

「そうで」と書いたのは、Pはなぜか幸甚亭では特に悪さをしなかったからです。いつもオフィシャルアバターで「こんにちは!」しか言わない、無害な(だけど意思疎通はできない)ユーザーだと僕は思っていました。ほかの人に聞いて初めて荒らしだと知ったんですが、僕の前では何もしていなかったので気にしておらず。

おそらく、荒らし行為が楽しかった時期が終わり、みんなと一緒にいることのほうが楽しくなってきたのかもしれません。幸甚亭の営業日は必ず誰かがいるので、その空気感が心地よかった可能性もあります(が、荒らし行為を働いていたワールドも同様にいつも誰かがいました。幸甚亭で荒らし行為をしなかった理由は不明です)。

実はPは日本語を「こんにちは」くらいしか知らず、英語か中国語で話しかけると受け答えしてくれます。僕がこのことを知ったのはこれの数日前で、僕はちょっとした意思疎通を図っていました。他愛ない会話ですが、「おまえ、もう荒らしやめろよ」みたいなことを言って、Pは「OK」と言っていた記憶があります。

もしかしたらそのコミュニケーションが功を奏して、Pは僕の運営する幸甚亭を守るために荒らしと戦おうとしたのでしょうか。真意は聞いていないので知りません。

もちろん、改心したと思しきいまも実際に迷惑行為を受けた人は完全には許していないので、マイナス評価がゼロになったくらいではあります。ただ、ゼロ評価に至らしめた行動が非常に印象的だったのは間違いありません。

これが荒らしvs元荒らしのあらましです。ちなみに、Pの奮闘も虚しく、その日は全員でインスタンスを変えて対処するしかありませんでした。

消極的対処法しかないclusterだったがゆえに

どんなサービスもユーザー数が拡大すればするほど荒らしが増える定めにありますが、おそらく皆さんがよく目にする荒らし行為は生放送やゲーム内での連投チャットや暴言でしょう(対戦ゲームでのトロールは別として)。

そういう荒らし行為は主としてテキスト、時にボイス(音)で行なわれます。ですが、clusterではアバターによる行動が加わるためたいへんに迷惑度が高まります。生放送やゲーム内で遭遇する荒らしとは質的に異なり、どちらかといえばオフラインで遭遇するガラの悪い輩に相当します。バーチャル身体性を伴って「そこにいる」わけです。

これからclusterなどバーチャルSNSを始める人や、いますでに楽しんでいる人が荒らしに遭遇したとき、そいつを諭したり意思疎通を図ろうとしたりするのは、おそらくよい手ではありません。不快に感じたら、即刻BANやブロック、通報をするのが正解です。

ただ、いまのclusterには目の前の荒らしを排除する機能がないので、どうしても同じ荒らしが何度もやってくる可能性があります。悲しいことに、無視するか自分が移動するかという消極的な対処法しかありません。なんとかしてほしい(通算2度目)。

Pのような事例は一瞬いい話のように聞こえますが、clusterの現状のせいで生じたというのも事実です。ごく一般的なサービスを前提にすれば、荒らしは1回の忠告・警告で改善されない場合、その場から追放されて二度と我々の目の前に現れることはありませんからね(そいつがアカウントを変えるなどはありますが)。

Pが幸甚亭にいられたのは、端的には最初の荒らし行為時にBANされなかったからです。そして時間を経たことで荒らし行為よりも交流に楽しさが移行していたであろうので、傍から見れば改心・更生したように見えたということ。どちらもなかなか起こりえることではありません。バーチャルSNSの妙です。

※ちなみに幸甚亭には月1回くらいの頻度で荒らしが現れます。そんなに多くないと思いますが、ほかのワールドで遭遇したという話はそれなりに聞きます。clusterはこれからもっと普及していくでしょうから、その頻度は増えていくでしょう。

荒らしの更生を見守る余裕

しかし、いくらclusterにBAN機能がないとはいえ、それはclusterが荒らしに寛容であれというスタンスを表明しているわけではなく、またユーザーが荒らしの更生を見守ろうとしているわけでもありません。そんな気持ちはほとんど誰にもなく、呆れと怒り、それと少しの憐れみしかありません。

ただし、僕が前に書いたように、バーチャルSNSで迷惑行為を働く荒らしは、わりと低年齢層のユーザーが多い気がします。少なくとも、他人に迷惑をかけて反応を楽しむという行為は相当に精神年齢が低いことを示唆します。

ゆえに、よく言われるように「荒らしはそもそも相手をしてはいけない」のが鉄則です。反応すれば喜ばせてしまいます。

ところが、バーチャルSNSでは荒らしは「そこにいる」ので、完全に無視することもできません。遊んでいるところのど真ん中に居座るんですから。ではどうしたらいいのか?

悪意のある荒らしは別として、無邪気な迷惑行為にどう対応するかは大人の側が考えるべきことです。Pのように更生する可能性もありますし、なにより低年齢ユーザーに改善の機会を与えず即BANしていいのか、という問題もあります。

でも、悪意があろうと無邪気であろうと、やっぱり荒らしに寛容になって更生を見守る余裕は僕にはありませんし、皆さんもそうでしょう(Pの場合は非常に特殊でした)。警告は一度まで、それでやめないのなら一生同じ場にいたくありません。だって、荒らしの相手をするためにclusterにいるわけではなく、単に平和に遊びたいだけなので。

バーチャルSNSでのコミュニケーションの難しさ

バーチャルSNSはオンラインやゲームと違って厳密なルールではなく微妙なコミュニケーションによって成立するにもかかわらず、オフラインのように細かな仕草や視線、表情などによる物理的な接触が不可能なので、バーチャル空間を繕うのは本当に難しいものがあります。

おそらくそこで最も強い効果を発揮するのがアナログな声の力なんですが、clusterではテキストチャットが主流です。その意味ではVRChatがボイスチャットのみに限定しているのは、けっこう明察なのかもしれません。

さて、余談が過ぎました。僕としてはバーチャル空間におけるコミュニケーションについてもっと知見を深めたいですね。身体性があるのに物理的接触がない空間でのコミュニケーションって、人類にとって新しすぎます。

※コミュニケーション上の疑問、例えば。バーチャルSNSでもサングラスをかけたアバターを使っていると視線を察知されない安心感って生じるんでしょうか?(視線のトラッキングが行なわれていなくても?)

幸甚亭の宣伝

幸甚亭はclusterで月水金の21時から営業しています。水曜日と金曜日はカジノ営業でブラックジャックとテキサスホールデムを遊んでいますので、バーチャルSNSに興味がある人や友達を作りたい人、コミュニケーションに飢えている人はぜひ遊びに来てくださいませ!


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