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happy esports

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日本のeスポーツシーンをマーケティング視点で考察した記事のまとめ。 eスポーツを仕事や事業にしている/したいとき、マーケティングで活用したいとき、あるいは投資したいときにも役立ち… もっと読む
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#プロゲーマー

マガジン「happy esports」とは?

国内のeスポーツシーンについてマーケティング目線で考察している個人メディア、「happy esports」の運営をしている謎部えむです。この記事では初めて来てくださった方のために、弊誌の紹介をしています。 どういったコンセプトで運営しているのか。 どういう記事を掲載しているのか。 どんな読者がいるのか。 そうしたことをまとめました。どういう内容の記事があるのかも一覧しているので、記事を探すときに参考にしていただければと思います。 ここで紹介している以外の記事もありますの

軌跡と展望、2つのストーリーがファンを惹きつけるパワーになる

とある場で、2人の会話が噛み合っていなかった。Nさんは「『ぷよぷよ』のプロゲーマーにはストーリーがない」と言い、Tさんは「いや、20年来のストーリーがある」と言う。僕はTさんに与したが、Nさんは「ストーリーがないから応援する理由がない」と主張する。 『ぷよぷよ』のプロゲーマーには20年以上前から熾烈な競争に身を置き続けている人たちがいて、最近では高校生が大会で優勝するなど、そこには語り尽くせないストーリーが間違いなくある。いったいNさんは何を言っているのか、と思ったが、どう

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『ぷよぷよ』のライセンスプロが語る、その実態とシーンの変化 【プロゲーマー liveインタビュー】

JeSUが2018年2月に設立され、プレイヤーをプロゲーマーと認定するプロライセンス制度が始まった。ライセンス認定タイトルは12月時点で11本、各タイトルで差はあるが、何人ものライセンスプロが誕生している。 さて、皆さんはライセンス保持者(ライセンスプロ)がどんな活動をしていて、どういったサポートを受けているか知っているだろうか。実はこのあたりの情報が意外と少なく、そのせいでいまなおプロライセンス制度やライセンスプロを訝しむ人もいるかもしれない。 実際、僕もライセンスプロ

DMM GAMESから「プロゲーマー憲章」が発表されたので、夢の中で暗唱できるほど読み返したい

PJSを主催するDMM GAMESからとんでもないものが飛び出した。「PUBG JAPAN SERIES 出場選手の心構えについて」という、PJSに参加する選手がプロとしてどんな意識を持つべきか、何をすべきかをまとめた記事だ。 これははっきり言ってPJSや『PUBG』に関係なく、すべてのプロゲーマー、あるいはプロ志望者が何度も読んでその胸に刻み込まなければいけない内容である。 これまでいろんな人がいろんな場所で「プロたるもの~」を語ってきたし、Twitterではたびたび「

ゲーマーの狂気が生み出す価値こそ、いまesportsが注目される理由だ

esportsという言葉が持て囃され、ただゲームをプレイしているだけなのに過剰に持ち上げられている――ときどが『情熱大陸』で語り、藤村がインタビューで答え、ちょもすがブログで吐露した、トッププレイヤーたちの心情。ほかにも、SNSやインタビューで似たような感覚を抱いているトッププレイヤーの言葉を見た記憶がある。 ときどは、勝手に持ち上げられているだけだとブームがすぐに去ってしまうので、ゲームには奥深いものや歴史があり、真剣にゲームをプレイしてきた変な人たち(ちょもすの言う「狂

スマブラのトッププレイヤーが書き集うSmashlog、ゲームメディアの新しいモデルとなるか

ゲームキャスターは携わるタイトルの面白さを見抜き、伝える力を持っている。同様に、プロゲーマーを含むトッププレイヤーは取り組むタイトルをうまくプレイするためのノウハウを持っている。トッププレイヤーはそのゲームの専門家だ。 なので、トッププレイヤーが初中級者に向けてノウハウを伝達したら、タイトル全体のプレイヤーレベルは向上するだろう。それは各タイトル――ひいては日本のesports業界にとって実にメリットがありそうだ。 実は『スマブラ』にはそういう場がある。Smashlogだ

強さはプロゲーマーにとって最大の魅力、でも強さだけで食べていけないならどうすれば?

プロゲーマーは強くて当たり前だ。 それはあまりにも自明であり、そして(いまのところ日本では)強いだけでは食べていけないことも自明。そのため、これまで僕はプロゲーマーの強さについては言及してこなかった。 しかし、いまだに「プロゲーマーは強ければほかはどうでもいい」といった言説を見かけることがある。強さだけで支援者にリターンをもたらすことができるならそれも真だが、どうやらそうもいかないのが現実だ(それに、ひたすら強さだけを求めたいならわざわざプロになる必要がない)。 では、

Rush Gamingに学ぶ、チームや選手のファン作りに役立つ戦略と指標【分析編】

esportsチームもプロゲーマーも、もっとお金を稼いでほしい。お金がないと練習環境を整えられないし、新しい選手を獲得したり、海外に遠征したり、それこそ前途ある若者に憧れられたりすることもできない。チームと選手が嫉妬されるほど稼ぎまくってこそ、日本でesportsなるものが発展していく。 そしてその要となる存在がファンである。前回の記事【体験編】では、1人のプレイヤーが『CoD: WWII』で活躍するRush Gamingのファンになり、グッズを購入するまでを描いた。今回は

あるプレイヤーがesportsチームのRush Gamingファンになるまで【体験編】

esportsチーム事業にとってファンの存在は生命線の1つ。ファンをいかに増やしていくかは以前に書いた。その具体例として、いま最も戦略的にチーム運営に取り組んでいると思われるRush Gamingを取り上げる。 Rush Gamingは『CoD: WWII』を舞台に活躍するプロチームで、ゲーム関連企業向けのエージェンシーであるWekidsがオーナー。精力的に情報発信することで、熱心なファンを獲得している。ほかのチーム、あるいはファンを作っていきたい企業や個人にとって、彼らの

これからesportsシーンに参入したい企業に知ってほしいこと(スポンサード編)

今回はesportsに関心がある一般企業が国内のesports市場に主にスポンサーとして参入する際のポイントをまとめる。一案として参考にしてもらえれば幸いである。 【目次】 簡単に金がなる木はない そもそもesportsである必要は? esportsの特徴は人とコミュニティ esportsシーンにスポンサードしてどんないいことがあるのか 誰・何にスポンサードしたらいいのか スポンサード対象の選定 スポンサーに求められていること esportsを体験してほしい ※espor

商品としてのプロゲーマーをより魅力的にするための戦略と施策

ビジネスとしてesportsのチームを運営している、つまりプロチームの経営をしているなら、売上を得なければならない。商品となるのは、もちろん所属選手(プロゲーマー)だ。では、より大きな売上を得るために、商品としてのプロゲーマーの魅力を高めるにはどうすればいいのか? 今回は、そのための戦略と施策についてまとめていく。 なお、考察にあたっては複数のチームと選手を参考にした。記事の内容はチーム全体やストリーマーなどにも適用できるだろう。 【目次】 選手が持つリソースは3つ 誰

プロゲーマーもスポンサーもお互いに「本当に好きかどうか」が問われている

以前の記事でも話題にしたが、「本当に好きかどうか」がとても重要になってきていると感じる。誰かに何かをお勧めしたり紹介したりするとき、自分がそれを本当に好きでないと何も伝わらないし、相手の心を動かすには至らない。これは人が他人の欲望にしか欲望できないというラカン的な言説に一致している。 インフルエンサーマーケティングの文脈でも、フォロワー数よりその人とファンとの関係性やエンゲージメントなどの結果に投資しなければならないということが言われ始めた(例えばDIGIDAYの「2018

紹介する人は紹介される人になる――無名のプロゲーマーがファンを作るために

この記事では自分に興味を持ってくれた人をより熱心なファンにする方法ではなく、最初に興味を持ってもらう方法、つまりファンを作る方法について簡単にまとめる。 選手インタビューはファンしか読まないプロゲーマーの人柄なんてどうでもいい、強さがすべてと考える人もいるが、プロをプロたらしめているスポンサー(お金を出す立場)からすればそんなことはまったくない。誠実で人当たりがよく、根気強くて、ファンを大切にする人ほど慕われ、尊敬され、そして重宝される。 一方で、SNSではたいしてツイー

ゲームをプレイすることで社会的価値を生み出せないなら、お金をもらうにあたわない

特に一般向けメディアにおいて、プロゲーマーが「ゲームをプレイする(遊ぶ)ことでお金をもらえる」と評されることがあり、羨ましい、自分もそうなりたい、と言った反応を見かけることがあると思う。 それに対し、プロゲーマーは単にゲームをプレイしているだけでお金をもらっているわけではないという反論がすぐに思いつく。では、プロゲーマーはどんなことに対価をもらっているのか? 今回は「ゲームをプレイすることで生まれる価値」について整理し、プロゲーマーの定義を考察する。分かっている人には当たり