マガジンのカバー画像

happy esports

113
日本のeスポーツシーンをマーケティング視点で考察した記事のまとめ。 eスポーツを仕事や事業にしている/したいとき、マーケティングで活用したいとき、あるいは投資したいときにも役立ち… もっと読む
運営しているクリエイター

2018年11月の記事一覧

観戦希望2000万人、いま描くべきesports興行の青写真

esportsを盛り上げたい。 このマジックフレーズはシーンに関わる上位レイヤーから下位レイヤーまで、さまざまな人によって語られる。しかし、あまりにも漠然としすぎており、具体的にどういうことなのかよく分からない。 個別のタイトルを競技として活性化したいのか、プレイヤーを増やしたいのか、大会の観戦者を増やしたいのか、産業としてお金が回るようにしたいのか、自分や自社が儲けたり注目を浴びたりしたいのか。 言及するそれぞれの立場によって、盛り上がりのイメージは異なるはず。目的地

esports普及の鍵は地方協会とローカルメディアのタッグにある

この記事は前編「日本人が国際大会で優勝しても、ウイイレの販売本数は増えなかった」の続きだ。 かねて言われる、世界で勝てるチームや選手が現れれば日本でもesportsが普及していくという言説は、『ウイイレ』に限っては販売本数が前作と比べて伸びず、実現しなかった。 しかし、地方のesports協会が立ち上がり、そこが主催する大会ではどんどん『ウイイレ』が採用されるようになり、しかもそれをローカルメディアが積極的に報道するようになった。ここにesports普及の鍵があるのではな

日本人が国際大会で優勝しても、ウイイレの販売本数は増えなかった

日本でesportsが普及・発展するために、世界で勝てる選手やチームの存在が欠かせないと言われることがある。日本のesportsシーンはヒーローを欲しているのだと。 特にJeSUは世界で戦う選手やチームを育成していくことを大きな目標として掲げており、オリンピックの種目採用だけでなく、アジア競技大会やEsports World Championshipなどに選手を派遣する活動に注力している。 JeSUのこうした立場は明瞭で、その背景には「世界大会で勝てればマスメディアの注目

あらゆるesports大会が抱える、通常プレイと大会設計の乖離問題

クラロワリーグ アジア シーズン2の優勝チームを決めるプレイオフで、PONOS SportsのライキジョーンズがBANカードに指定されたトルネードを使用し、ルール違反で敗北するというアクシデントが起きた(この動画を参照:MATCH2 SET2 GAME3)。 チャット欄では選手の責任だ、あるいは主催運営側の責任だと喧々諤々だったが、はたしてこのルール違反は誰の責任だったのか? こうしたルール違反はほかの大会でもしょっちゅう起きているが、このことを考えるのは、実はesport

LoLに命を懸けるキャスターたち

Logicool G CUP 2018の『LoL』部門を観戦していて改めて感じたのは、eyesとRevolを始めとするキャスター陣のすさまじさだった。 ゲームに対する無尽蔵の愛情と豊富な知識はもちろん、1つの試合、1つの場面、1つの攻防、1つのテクニック、1つの動きを塵の欠片ほども見逃さないように伝える技術。 チームがどんな戦略に従って行動しているのか、相手チームの計画をどう読んで対応しているのか、選手がどういう意図でそのアクションを起こしたのか、そういった画面上には表れ

esportsは儲からないのか? 事業モデルから考える

esportsビジネスの最前線にいる人に話を聞くと、異口同音に「儲からない」と言われてしまう。 表立って明言されている例としては、グルーブシンクの松井悠が「メシは食えます」という表現を使っており、忍ismのチョコブランカは「イベントそのものが1度も黒字になったことはなく」と言及している。 具体的な数字を見ると、CyberZが4億1700万円(第10期)、eスポーツコネクトが1億3445万円(第2期)の損失を計上している。 にもかかわらず、多くの企業が新規参入を試み、いろ