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上村元のひとりごと その450:オリジナル

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 何だかんだで、僕は、スマホが好きみたいです。

 サイズといい、重みといい、機能といい。

 どれも、手にしっくりとなじんで、安心する。

 今さらながら、こんなこともできる、あんなこともできると、子供のように、目を輝かせて遊んでいます。

 にふーん。

 すりすり。

 あぐあぐ。

 いててて。

 iPhoneばかり見ている僕に、愛猫ミントが、興味を示して、しきりに、寄ってきます。

 何してんの。

 嗅がせて。

 ついでに、かじらせて。

 炬燵の上、操作する手元に、遠慮なく鼻先をすりつけ、たまに、大口を開けて、味見もする愛猫を、どうにか抱き取って、考えます。

 どうして、これまで、ちゃんとスマホと向き合わなかったのだろう。

 パソコンや、タブレットのことは、気にかけて、しょっちゅう充電したり、クリーナーで磨いたり、アプリをたくさんダウンロードしていたのに。

 なんとなく、スマホには、冷ややかだった。

 画面も小さいし、どうせ、大したことはできないだろうと、見下しているところがあった。

 ネットが不具合になり、執筆を、iPhoneに頼らざるを得なくなったことで、その良さに開眼した、というのが大きいけれど、それだけではない気がする。

 多分、iPhoneは、オリジナルなのだ。

 iPadは、iPhoneの派生形だし、MacBookは、どうしても、Windowsの二番煎じ感が否めない。

 本当は、iPhone一台で、良かったのだ。

 最初から。

 おそらく、最後まで。

 にーごろろ。

 るっふんふー。

 あぐあぐ。

 いててて。

 なぜ、踏み迷って、分不相応な大金を費やし、不毛にエネルギーをつぎ込んで、脇道ばかり、開拓していたかというと。

 オリジナルでないものには、自分を乗せやすいから。

 もっと言うと、思うさま、欲を暴走させられるから。

 言うなりにできる、というかね。

 やっぱり、オリジナルは、強いから。

 ちょっとやそっとじゃ、こっちの言うことを聞いてくれないどころか、むしろ、隙あらば、こっちを支配しようと、企んでいる気がして。

 そんなことはない。

 オリジナルは、逆に、優しいのだ。

 何があっても、ぶれず、動じず、こちらの細かい心理的変化にも、乱されることはない。

 最低限、適当に、とって付けたような機能が、実は、磨き抜かれて、それ以上、増やすことも減らすこともできなかったりする。

 つまりは、極まっている。

 人格のように。

 AIに、身体を与えるとしたら、スマホが、最適かもしれない。

 つかず離れず、いつでも、そばにいるよ。

 ふなーも。

 くわっ。

 がぶっ。

 うわー。

 いきなり、全力でかじりつく愛猫に、度肝を抜かれ、思わず、大声で、悲鳴を上げ。

 にししし。

 やーい。

 小馬鹿にしたように、笑われて、がっくりと、iPhoneを伏せます。

 スマホのような、文章を書きたい。

 できる限り、コンパクトに、さりとて、足りなくはなく。

 紛うかたなき、オリジナルを書くためには、今まで以上に、自分の輪郭を、はっきりさせなくては。

 とにかく、余分を削る。

 機械に、己を乗せない。

 果てしない鍛錬の道のりを、これからも、精進していく所存です。それでは、また。

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