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【映画感想87】わたしはあなたのニグロではない/ラウル・ペック(2018)

100本目指して週2で映画の感想を書いています。

ブラックミュージックの映画を連続で見ているので、黒人差別の歴史の映画を見ることにしました。

公民権運動家でありアメリカ人作家のジェームズ・ボールドウィンが人種差別の歴史を語る、と言う内容。(ボールドウィンは故人のため、俳優が演じています。)

当時の黒人が出演している映画に対する黒人視点のコメントが見れてよかったです。
みてみよう。

キリスト教徒で非暴力を掲げるマーティン、「暴力を受け入れさせている」と批判するムスリムのマルコムX、当時の活動家たちは40歳にもならないうちに殺されていたことなど、恥ずかしながら知りませんでした。

ボールドウィンが実際にテレビで語った言葉が印象的でした。

白人の多くはわたしを同じ人間として認めていません。言葉ではなく行動でわかる。そのことで、彼ら自身が怪物になっています。
『わたしが出会った多くの白人は黒人の知り合いをもっています。だがそのほとんどは放課後うちに遊びにこなかった。学校のドアからわかれていたしね。だから我々がどう暮らしているかその実態を知らないんです。』
『彼らのほとんどは黒人に敵意は持っていない、しかし無知なのです。長年の隔離政策のせいで黒人について知らないのです。』

ところでつい昨日、友達とかっぱ寿司の地下ではかっぱが強制労働させられている、という都市伝説の話題になりました。

ここまではただの笑い話ですが、
「じゃあカッパの強制労働は犯罪になるのか?」と言う話になったとき、「人間じゃないからなぁ」と言った時この映画を見て思い出してぞっとしました。

もしも“人間ではない”が人間と同等の知性を持つかっぱが現れたとして、
選挙権を求めた時、学校に通い出した時、映画に出演した時、わたしたちは、というかわたしはドロシーカウンツの写真に写っていた白人のたちのように、彼らを指さして笑うんじゃないか?


ボールドウィンのいう怪物は、確実に自分の中にもいるような気がしました。



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以下、作中に紹介されていた映画のシーンとコメントをメモしておきます。ほとんどが白人が黒人に求めた「役割」や、当時黒人が置かれていた状況についてでした。
今後映画を観る的に参考にしたいです↓

★リチャーズ・アンサー(1945)
内容
怠け者のリチャーズっていうだらしない黒人が寝坊する
字幕
『たとえばステピン・フェチット、ウィリーベスト、マンタン・モアランド、彼らの演じる役柄をわたしは憎んだ。黒人の品位を落としていた』

★ザ・モンスター・ウォークス(1932)
内容
びっくりした表情の黒人の男
字幕
『ギョロ目で笑いをとる姿にも、一種の真実はあったのかもしれない』

★ゼイ・ウォント・フォーゲット(1937)
内容
冤罪をかけられ怯えながら弁解する黒人の男
字幕
『黒人の現実が確かに描かれている、
この映画の恐ろしさにわたしは震え強くなった』

★アンクル・トム・ケビン(1924)
内容
鞭で打たれる男
字幕
『復習しようとしなかったトムは英雄に見えなかった』

★駅馬車(1939)
内容
ならずものと戦うカウボーイ
字幕
『英雄といえば白人だった』
『自分の住む国の現状と、それを反映している映画のせいでわたしは英雄を憎み、恐れた。自分には復讐する権利があると彼らは思っていた
。』『黒人が歯向かわないように彼らは映画を作ったのか。虐殺を英雄の伝説に仕立てた。』

★模倣の人生(1934)
黒人と白人のハーフのため見た目は白人である少女が、黒人の母親が教室に迎えにきたため黒人であるとばれてしまいヒソヒソされるシーン。
以前見ました。名作だと思います。

★復讐鬼(1950)
内容
白人の男が、「黒人同士守りあいやがって、誰も俺を愛してくれない!」と言って黒人の男をを殴るシーン。
字幕
『白人は純血を守るために黒人問題を作った、そのせいで罪を犯し怪物となった』『黒人が何をしたとかしなかったとかではない、白人が身勝手にも黒人という役割を黒人に押し付けたせいだ』

★手錠のままの脱獄(1958) 
内容
黒人の男と白人の男が手錠でお互いを繋がれたまま脱獄する。いがみ合うものの白人の男が列車に乗ることに失敗したとき、黒人の方は自分の脱獄のチャンスを捨ててでも彼を見捨てない。
字幕
『この映画の前提を受け入れられない。黒人と白人の憎しみの根源に大きな誤解があるからだ。黒人の憎しみの根源は怒りで、自分や子供つの邪魔をされない限り白人を憎んだりしない。白人の憎しみの根源は恐怖だ、なんの実態もない、心が生み出した幻影を投影しているのだ』『(列車から)シドニーが飛び降りてリベラルな白人は安堵し喜んだ、しかし黒人の反応は違った、彼らは列車に戻れバカ!と叫んだ。白人を安心させるため彼は列車を降りた。白人は憎まれていない、間違いを犯したが嫌われることはしていない、と』

★招かれざる客(1967)
内容
セクシーさを売りにしている黒人俳優が着替え中に女性が部屋に入ってきてしまい服で体を隠す
(その前に黒人はポップ文化では生殖器がないように扱われ、黒人俳優はセックスシンボルとも肉体派俳優とも認められなかったいう話がある)
字幕
『黒人は全てを奪われてきた、スターまで奪われてはたまらない』
『黒人はこの映画を特に嫌った、彼が白人に都合よく使われているからだ』

★夜の大捜査線(1967)
内容
黒人と白人が握手をして別れるシーン。 
字幕
『アメリカの映画では男同士はキスしない。日常でもほとんどしない、この黒人警官と白人保安官もだ。ここで描かれた一種のキスは、愛の証でも性的な象徴でもなく和解の証だ、それも難しくなってきているが…』

★プレッシャー(1976)
内容
黒人の男性と白人女性のダンス
字幕
白人の彼女がいたが、彼女自身の安全のためにも外出で一緒に歩いたり目を合わせることができなかった、と言う内容。

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