見出し画像

いちプロSS_06

6話 パーフェクト・ボンバー―血族―

ボンちゃんとは幼馴染…腐れ縁だ。中学校で同じクラスになったのが始まりで、今では同僚として働いている。

「ども~パーフェクト・ボンバーです!ボンちゃんって呼んでね!!」
「えっ?変な名前。」
「ひどっ!?」

最初にかわした言葉だった。
私は思ったことをそのまま口に出す性質で、ボンちゃんはそんな私を気に入ったらしい…Mなのか?
私が仲のいい友達と関わりの無い人と分かれるのに対してボンちゃんは誰とでも距離を近づけていた。
常に明るく振る舞うボンちゃんは人と人との間を飛ぶ渡り鳥みたいだった。
そういえば結婚してからその話をしたら笑いながらこっぱずかしいこと言ってたな。
「渡り鳥かぁ~。でも、渡り鳥だってたまには羽を休めたいんじゃないかな?僕がぬるぽと一緒になったみたいに…なんつって///」
「いや、そこで照れるのはずるくないか!こっちまで恥ずかしくなるんだが!」
うん、この話はやめよう…う〇この話をしよう。いや、しないけど。

結婚してからも夫婦というよりは仲のいい友達みたいな付き合いだった。
2人とも一般的な恋愛感情というよりはお互い一緒にいることが気楽で一緒になった感覚だ。
唯一変わったことは財布のひもは私が持つことになったくらいかな。
結婚1週間前にボンちゃんの携帯が止まって音信不通になった時はさすがに焦った。
その後ママゾネスに正座させられるボンちゃんを見てたらまた笑っちゃったけど。

そんな穏やかな日々が終わりを告げたのは突然だった。

「ぬるぽ、ごめん。ご頭首様から別れろって言われちゃった。」
珍しい実家からの呼び出しから帰ってきたボンちゃんが所在なさげに言う。
こんな表情は初めて見た気がする。
「とりあえず、どうしてそんな話になったのか聞こうか。」

―いちプロの血族―
中学校の時に名前が変な理由を聞いたときそんな答えが返ってきた。
芸能に長けた一族でボンちゃんは自分が一族の本家筋にあたると教えてくれた。
今でこそyoutubeなんかの活動もあり先進的なイメージがあるが、元々古いお家柄だ。
中には占星術やイタコなんかの今では眉唾な方面の活動も残っているそうで…。
そんな超常の結果でボンちゃんと分家の女性の子供が血族に力を与えると出たらしい。

普通なら笑い飛ばして実家との縁でも切っちゃえというところだけど、そうもいかなかった。
それがかなわないほどいちプロの血族の影響力は大きい。
元々結婚自体が友達の延長のような関係性だったんだからこだわりはない。
また、普通の友達に戻るだけだ。
「いいよボンちゃん、別れたからって今までとあんま変わらないし。でも無駄遣いはしないよう注意するんだよ。」

おなかに娘達がいることを知ったのは離婚の手続きが終わった後だった…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?