大地震

某CMで「大地震」を「だいじしん」と読んでいたので「おお、とうとうそういう時代がきたか」と思いました。

え?何が?と思われるかもしれませんが、アナウンスやナレーションを少しでもかじったことがある方ならば、きっと最初の方に言われるであろう言葉だからなのです。

「大地震」は「だいじしん」ではなく「おおじしん」と読むのだよ、と。

しかしどうでしょう。自分の頭で考えず、そういう教えをただただ受け入れていて「なんで?」ということを考えたことないんじゃない?
ええ私もそうです。なので、今一度調べてみましょう。

私の記憶では

最初にこの話を聞いたのは、麹町時代の日本テレビのアナウンス室に「誤用しやすい日本語」として掲げられていたのを紹介する、とある番組でした。
「へぇ〜大変なんだなぁ」と思っていたら、まさかそれが必要な仕事に関わるとは。
念のため、音声で調べて見ましたが、日テレニュースでは「おおじしん」と読み上げていました。


放送界の大将・NHKは?

[オージシン]が慣用的な読みです。 NHK放送文化研究所より

やっぱり。続けてこうあります。

これには一般的な決まりがあります。原則として、「大」のあとに漢語(音読み)がくると[ダイ]、「和語」(訓読み)がくると[オー]です。
しかし、「大地震」の場合は例外的に[オージシン]と読む慣用がありました。

一般的な決まりに則れば、「地震」は音読みであるので「ダイジシン」になるのですけど、慣用として「オージシン」と読むと…。

なんでだろ?

朝日新聞のコラムには

上記NHKの話を引用しつつも、明確な決まりがあるという結論ではなさそうです。その根拠として、関東大震災時の朝日新聞の記事における使われ方を紹介しています。

「再度の大地震(だいぢしん)のあるのを予測してか……」(9月3日付)
 「此大禍災を発生せしむる原因は大地震(だいぢしん)以外にもあることを忘却してはならぬ……」(9月28日付)
「一日正午大地震(おほぢしん)の際摂政宮殿下には……」(9月8日付)
「大地震(おほぢしん)による災害は貧富貴賤無差別平等に来た……」(10月1日付)

なるほど、両方あったのですね。かなり揺れていますね。
とはいえ文末の方にはこうあります。

これらは身近な言葉なので和語として認識され、オオと読むようになったとも考えられますが、例外も多く一概には言えません。

私としてはここの点は納得できます。

※ちなみに記事内にある日本地震学会のサイトを見てみましたが、確かに「どちらでも構わない」とありました。
そして「だいじしん」は、地震学においてはマグニチュード7以上の地震をさすようです。

「毎日ことば」には

やはりNHKからも引用しております。その他各種アンケートを紹介しつつ、やはり「揺れている語」であるという結論であるようです。

結局「慣用」というのが判断の根拠になるようです。

確かに、みんながそう言っているからそう馴染んでいる、ということが言葉の世界ではありますよね。

日経のコラムには

おそらく同じルールに基づいて構成されているのでしょうが、下記のようにありました。

イチ子お姉さん 東京にいつか大地震(おおじしん)がくるかもしれないわ。政府の委員会が… (日経スタイルより)

「おおじしん」と括弧づけで表記しておりました。

産経新聞は?

産経子どもニュースも、おそらく同じルールの表記なのでしょう。下記のとおりです。

海底(かいてい)で大地震(おおじしん)が起こると…(産経こどもニュースより)

https://www.sankeikids.com/doc_view.php?view_id=935

結論

・「おおじしん」と言うのが一般的。しかし根拠のある話というよりも、慣例的な話。
・それが故に、現在では「だいじしん」も一般的になりつつあると思われる。
・メディアでは現状、「おおじしん」が多い。

今週も北海道で最大震度6弱の地震があり、改めて「気を引き締めていないといけない」と思わされました。
そして間も無く、東日本大震災から8年を迎えようとしています。

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