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人は自然には勝てないから、寄り添っていこう

こんにちは、narinoのファーマー 筒井 です。

すっかり秋かと思いましたが、まだまだ天草では日中30度です。
残暑が厳しいというか、長いですね。

でも、よくよく考えてみると10年ほど前、東京で会社員をしていた時でもクールビスが11月まで延長されていました。衣替えが10月1日にこだわらなくなって久しいので、今年が特別でもないんでしょうか。

あと2ヶ月で収穫期を迎えます。柑橘栽培を初めて6回目のシーズンになります。まだまだ経験が浅く栽培技術を語る自分ではないですが、人の技術云々よりも自然に寄り添って、自然に合わせていこう思うこの半年です。

2021年の春から夏を振り返って

つまらない事実関係ですが、今年の天草での天候を振り返ると、
・年明けてから4月上旬までは気温は高め、雨量は少ない
・ゴールデンウィーク前後は、気温は低め平年より涼しく
・5月中旬以降高い 雨量は平年の3倍以上
・逆に6月は気温は平年並みながら、雨量は平年の3割
・8月の豪雨で雨量は平年の10倍!、中旬の気温は平年より3℃も低い 
・残暑が続く9月は気温が平年比2〜3℃高い状態
といった感じでした。

ざっとこんな天草の天候でしたが、ゴールデンウィーク頃に花が咲く柑橘類ですが、花の蕾も膨らむのは早かったです。
しかしながら、GW前後で気温が低めであったので桜ほど早く咲いた感じではなかったです。桜の開花も早かったのはご記憶にあるのではないでしょうか。(下の写真は文旦の花)

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そして今年はとにかく雨です。
5月の梅雨、本当にシトシト降り続きました。さらにはニュースでも話題になりましたが、8月は豪雨、こちらは毎日ザーザーでした。
例年8月は干ばつ傾向で雨が降ることを祈る感じでしたが、なんとひと月で800mmほども降りました。
雨も一気に降りすぎると、中の実の肥大に皮が耐えられずに割れてしまいます。(トップの画像の右下部)

この夏の熊本県における熱中症による急患は、昨年の3割減だったそうです。豪雨によって、8月中旬の気温が低かったこと、炎天下での作業や運動ができなかったことによるようです。

果実にどう影響するのか

5月の高温多雨、そして8月の異常な雨量がどう影響するか、周りの大先輩もハテナ?な感じでした。50年のベテランでさえ経験がないんです。

9月のサンプル検査では、傾向としては低糖、低酸でした。
8月の雨により水分が多く、日照が少なかったための結果と言えます。

9月の好天でそのあたりを挽回しているといいのですが・・・。
10月のサンプリング検査の結果はまだ先になります。

そして10月前半は高温傾向で、ず〜っと晴れの予報です。

そういえば台風が来ていない

9月は好天傾向したし、10月前半晴ればかりの予報です。
夏には豪雨もありましたが、「あれ?台風が来ていない」という感覚です。
「そんなことないでしょう」と思う方、地域によって異なるのでしょうが、天草では大きく影響したものはないです。(天草内でも地域差がありますが)

感覚ではなく、気象庁の数値的にみてみると下記の通りです。

台風発生数

台風上陸数

発生数は決して少なくないです。上陸数も極端には少ないわけでないです。
日本全体なので、地域ごとで感じるイメージとも異なるのでしょう。
今年の台風は、見慣れないコースをたどっていて、結果、天草ではあまり台風を意識していないことのようです。

私の感覚というのは、施設栽培不知火のハウスで台風対策を一度も行っていない。これが台風が少ないと感じる原因です。正確には、影響が軽微だったのだということでした。

変化に対応していくには

果実の味の面では、経験浅い私が栽培する果実は、地域全体の平均と傾向は毎年同じです。つまり人の力よりも圧倒的に天候による影響が大きいんです。 経験等で出るは差は、見た目が一番だと思っています。

良く土作りが大切だと言います。これは否定するものではありませんが、大先輩曰く、8割9割は場所で決まるとのことです。
つまり「敵地適作」が重要で、さらにその年々の天候の影響がポイントなんです。

今年は、天候により短期間で収穫となる野菜などはもっと影響を受けています。今年は北海道の夏の干ばつで生産量が減少、高騰しました。

しかし、こうした天候の変化、特に異常気象は農業に限らず影響します。
私は農家民泊も営んでいますが、コロナ禍で久しぶりに入った8月の予約も雨のためにキャンセルになりました。

観光や飲食業、アパレルなんかも天候に左右されやすいです。人の行動が変わると起きる現象かと思います。

農業には切っても切り離せない天候ですが、どんな業種にも変動要素があるのですから言い訳にならないですね。特に天候、自然はコントロールできなので、自分が合わせていくしかない。
答えのない難しい課題ですが、自分がえらだ道を進んでいくしかないと改めて考えさせられます。

この冬に向けて

さて、考えていても仕方ないので、やれることはやっていこうとは思います。夏に雨のためにタイミングを逸した草刈り、天気が安定した10月に遅れを取り戻していこうと思います。

先程の通り味の面では収穫までにやれることは多くなく、自然の力を頼るばかりです。
でも、少なくともせっかく実った果実を、イノシシに食べられないように対策を行なっていきたいと思っています。

しかし、短期的なことではなく、この先の地球環境を悪化を少しでも緩和できるように長期的な視野に立っては、
・草払い機、川水の汲み上げポンプの電動化(エンジンを使用しない)
・契約する電力は、自然エネルギーを利用を選択
などを実行しています。

今後は農業のみならず、生き方も環境への配慮をさらに深化させていこうと思います。

みかんの木オーナー、ネームプレートを設置しました!

不知火みかんの木オーナー様のネームプレートをそれぞれの木にかけました。

こちらもコロナや天候によりオーナー様に来園いただいての設置は見送り、予定より1週間遅れでの設置でした。
自然と付き合っていくのは、ガッチリ決めた予定ではなく、柔軟性が必要だと思いした。

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みかんの木オーナーは残りが少なくなっていますが、まだまだ受付中です。

https://narino-joie.studio.site/


この記事は、筒井洋充が担当しました。
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