あなたが育休を取らなくてもよい10の理由を数字で解説
男性のあなたには育休を取らなくてもよい理由が10あります。たとえ、2億円、損をしたとしても。
1.専業主婦は2億円損をするけど、たかが2億円でしょ?
妊娠をきっかけとして、仕事を辞める女性はまだまだいます。
もし、自分のパートナーがそんな状況になったら、「専業主婦としてよろしく!あとは俺が稼ぐから!」と気前よく(?)言えるでしょうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼専業主婦は2億円損をする
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
まずは、以下をお読みください。
2017年に出版された本なので、最新のデータとは少し異なるかもしれませんが、現在でも、出産をきっかけに退職する女性は少なくありません。
実際、2022年3月時点での最新のデータでは、女性の育児休業の取得率は81.6%です。
(引用:厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」より)
つまり、働く女性の10人のうち2人は、出産をきっかけとして退職しています。
(男性のように育休を取得せずに会社に残る、という選択肢が、体の変化により不可能だからです。)
言い換えると、働く女性で出産した10人のうち2人は2億円損をしている、ということが言えます。
もちろん、男性が育児休業を取得したからといって女性の退職を100%防ぐことができる、とは言えませんが、
女性のキャリアを守る意味でも、バトンタッチ型の育休を男性が取得するなどして、女性が仕事に復帰しやすい環境を作ることは可能です。
ただ、
「いやいや、妻はもともと専業主婦だし」
「いやいや、妻は育休を取れるから、退職しないで大丈夫。」
そんな声も聞こえてきそうですよね。
そんな方もいらっしゃるので、次へいきましょう。
2.産後の自殺なんて、ありえない
子どもが生まれるなんて、人生最大の幸せな時期に、なんで自殺なんてするの?と思う男性もいらっしゃると思います。
(僕も、そう思っていた一人です)ただ、産後一年未満に死亡した妊産婦の死因の第一位は自殺ということも明らかになっています。
引用 「妊産婦の死因、自殺がトップ」朝日新聞デジタル2018年9月5日
また、2015年~2016年までの2年間で92人、平均すると、一週間に一人の母親が、乳児を残して自ら命を絶っているのです。
引用:国立成育医療研究センター 人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状
「そんなこと、ありえるの?」
「子どもが生まれて幸せな時期に?」
そう思って妻に、
「一週間に一人の母親が、赤ちゃんを残して自殺をしているというデータがあるんだけど、どう思う?」
と聞いてみたところ、即答で
「わかる!!!!!」
と言われました。
(どうやら、赤ちゃんが1歳になるまでは、授乳とか、離乳食とかうまくいかないことがたくさんあって、
常に寝不足だし、話しかけても赤ちゃんとは会話することもできないし、、、、とにかくつらい!!ということらしいです)
3人目の時に1年間の育休を取り、妻と24時間ずーっと一緒に過ごしていた僕ですら、
妻がここまでつらい思いをしているなんて、気が付きませんでした。
(僕が鈍感、なんだと思います。)
でも、大丈夫。一週間に、一人の割合でしょ?妻の場合は、なんとなくだけど大丈夫。そんな声も聞こえてきそうなので、次へいきましょう。
3.産後うつなんて、うちは大丈夫
つまり、出産した10人のうち3人は、うつの症状に悩まされており、その原因は、子育てによる孤独や不安だそうです。
僕が住んでいるのは、妻の実家の近くだし、妻には地元の友達もいるし、どちらかというと明るい性格なので産後うつとか関係ないだろうなぁと思っていましたが、
どうやら、心がグラグラする時期がけっこう、あったそうです。
今、振り返ってみると、「妻は、産後うつだったのかもしれない」と思えてきました。
ただ、
「10人のうち7人は、産後うつにはならないんでしょ?」
「うちの妻は、大丈夫。なんとなくだけど」
という声も聞こえてきそうなので、次にいきましょう。
4.男性の産後うつなんて、僕はならない
産後うつと聞くと、女性に固有のものだと考えられがちですが、
最近の研究では、周産期(妊娠22週から出生後7日未満までの期間)では男性も8.4%、約11人に1人の確率で産後うつになることが明らかになっているそうです。
僕は3人目の子どもの出産のとき、妻が退院するまでの5日間、仕事を休んで2歳と4歳の息子の面倒をみていました。
このときの緊張感(気軽にトイレに行けないとか、本当だった!)は、今でも忘れられません。とにかく、ずーっと気を張っていて、
夜は倒れるように眠りについていました。こんな状態を数年間も続ける妻は、サイボーグだと、本気で思っていました。
ただ、
「おれに限って産後うつとかならないし」
「おれは普段から心が強いから大丈夫」
という声も聞こえてきそうですので、次へいきましょう。
5.愛情曲線が下がるとか聞くけど、うちは仲良しなんで大丈夫っしょ
「愛情曲線」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?(僕は、最近知りました。)
ざっくり説明すると、子どもが巣立った後、女性の愛情が下がりまくって「愛のない夫婦」になるか、
愛情が少しずつ回復して「愛のある夫婦」になるかどうかは、出産直後から乳幼児期の夫のふるまいにかかっているそうです。
(出典)東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長 渥美由喜著「夫婦の愛情曲線の変遷」
どうやら、出産して子どもが生まれるにつれ、夫への愛情は下がり続けるもの、らしいです。
その下がった愛情を取り戻すことができるのかどうかは、ぼくの振る舞いにかかっているとのこと。
それを、
「子どもが生まれた出産祝いに飲みにいこう」
とか、
「妻は里帰り出産中だから、羽を伸ばそう」
とか、
「子どもが生まれても仕事の内容は変わらないから、働き方を変えるつもりはない」
とか、言っているのは、つまるところ、
子どもが巣立った後、妻からの愛情はあきらめる、ということとイコールなのです。
(僕は、子どもが巣立った後も妻と仲良くしたいですし、妻がいなかったら、たぶんさみしくて毎日まくらを濡らしています。)
いやいや、子どもが大きくなったら自分の趣味に走るから、大丈夫っしょ、という声も聞こえてきそうなので、次へいきましょう。
6.1年間の育休で240万円も失うなんて、耐えられない
1年間の育休を取った僕ですが、手取りでどれぐらい減ったかというと、ざっくり240万円です。(月の手取りは30万円ぐらい。)
言い換えると、240万円を払って家族とがっつり過ごす1年間という時間をいただいた、ということです。
人生100年時代、たった1年間仕事を離れ、家庭に入る。その費用が240万円。
これを安いとみるか高いとみるかは、それぞれの価値観ですが、僕にとっては意味のあるお金の使い方だと思いました。
(あとでいくらお金を出しても、過ぎ去った時間は買えない、という意味で)
とはいえ、お金のことも心配なので、、、という声が聞こえてきそうなので、次へいきましょう。
7.日本人男性の約7割が育児ゼロ、でもおれは大丈夫。
6歳未満の子どもをもつ男性で、家事育児時間がゼロの人は約7割もいるそうです。
引用:総務省「社会生活基本調査」
パパが10人いたら、そのうち7人は家事や育児を全くしないのです。
別の言い方をすると、10人のうち7人は、仕事にフルコミットできる環境にある、ということです。
家に帰ったらご飯の用意をしてもらっていて(たぶん)、掃除や洗濯もしないで(たぶん)、休日は仕事をするか自分の趣味の時間にあてる(たぶん)
そんな、仕事に100%打ち込める環境のパパが大半を占める。
そんな職場環境にいて「僕は子どもが待っているんで、帰ります!」と言えるでしょうか。
いやいや、僕は子どもが好きなので、職場の空気とか、関係ないっすという声が聞こえてきそうなので次へいきましょう。
8.日本では3組に1組が離婚するらしいけど、うちに限ってそんなことはないっしょ。
3組に1組は離婚する。そんなデータが出ています。
出典(厚生労働省 令和元年(2019) 人口動態統計の年間推計より)
僕は3人兄弟でみんな結婚しているので、僕らのうち、誰かは離婚をする、というのが統計上の数字です。
「いやいや、うちに限ってそんなこと、ないっしょ」
そう思いたい気持ちもわかりますし、僕も同じことを思っています。
ただ、何も手を打たないで、ただただ「我が家は大丈夫」と言い切れる根拠は何でしょうか。
子どもが生まれて、妻の環境が激変しているなか、夫のまわりの環境はほとんど変わらない。
そんな状況を妻はどう見ていたのでしょうか。
一人目や二人目が生まれても働き方を一切変えようとしなかった僕を、妻はどう見ていたのでしょうか。聞くのが少し怖いです。
ただ、いやいや、そうはいっても、妻は僕の仕事に理解がある人だから、大丈夫っしょ、という声が聞こえてきそうなので、次へいきましょう。
9.男性育休制度で日本は世界1位だけど…
ユニセフの調査によると、半年以上も育児休業の給付金をもらえる国は世界で日本だけのようです。
(ちなみに、アメリカは、夫も妻も育休でもらえるお金はゼロだそうです。つらい!)
出典:ユニセフ報告書2019
たしかに、ユニセフの調査なら、信頼できる。日本の育休制度は整っているのでしょう。
とはいえ、制度はあっても風土がない、というのが職場の課題なんです。。。という声も聞こえてきそうなので次へいきましょう。
10.ジェンダーギャップ指数がアフリカのアンゴラより低い日本を、次の世代(自分の娘や息子)に残してもイイっしょ
日本は男女平等ランキングでいうと、世界で120位らしいです。
(ちなみに、小学校までの男女の平等さでいうと、世界トップの水準らしいです。)
言い換えると、中学、高校、大学、就職、結婚、出産とライフステージが変化するにつれ(わかりやすくするため、単純化した変化にしています)
女性が圧倒的に不利な環境に追いやられている国、それが日本です。そんな状況を次の世代(自分の娘や息子)に引き継いでいいものか。
僕が男性の育休についてnoteに書いたり、いろいろなところでお話させていただいているのも、男女の格差を少しでもなくしていきたいからです。
もちろん、ジェンダーによる格差を解決するには様々な問題を解決しなければなりませんが、そのうちのセンターピン(ど真ん中にある突破口)は、男性の家庭進出だと思います。
男性が家庭に進出することで、
・代わりに女性が社会進出できたり
・社会全体の働き方が柔軟になったり
・マイノリティー(少数派)に優しくなったり
・子育て世代にやさしい人が増えたりと、、、
なんなーく日本が素敵な方向に向かっていく、そんな気がしています。
おわりにーあなたが育休を取らなくてもよい10の理由を数字で解説
今まで、育休を取らなくてもよい10の理由として、さまざまなデータをご紹介してきました。
僕は自分で書いておきながら、ぞっとするデータばかりで、「もし自分が育休を取っていなかったら、今頃どうなっていたのだろう」と、考えさせられました。
もし、この記事をきっかけとして、男性の育休について考える人が一人でも増えれば、これ以上、嬉しいことはありません。一緒に、素敵な日本を次の世代に引き継いでいきましょう。
長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。
サポートしていただいたお金が本一冊分になりましたら、出版させていただいたパパ育休の本一冊を、図書館に寄贈させていただきます!(その際には、noteにてご報告させていただきます!)