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スペースマーケット、「チャプター」始めました

こんにちわ、スペースマーケットでCEM(Chief Engineering Manager)をやっている成原です。
CEMの主な役割はピープルマネージメントとメンバー採用、育成。
それらの課題解決をするべく、日々働いています。
入社当時はマネージメントは興味ゼロでしたが、今では非常にやりがいを感じています。
人間わからないものですね。

という訳で、最近スペースマーケットで始めた「チャプター」という制度について本日はお話します。

弊社のチーム体制が抱えていた問題点

2022/03まで弊社のエンジニアは、責務が異なる二つのチームに所属していました。

  • プロダクト開発チーム

    • 職能横断で構成されたチーム

    • 責務: プロダクト開発に責務を持つ

  • 職能別チーム

    • FE / MB / BEという職能別にカテゴライズされたチーム

    • 責務: 職能に応じたサポートとメンバー評価

異なるチームが存在していた理由は二つあります。
一つはチームに求める責務が異なったから。
もう一つはプロダクト開発チームが後発で構築されたチームだからです。
プロダクト開発チームはリードタイム短縮を目的とし、2021年下期に構築されたチームです。
そこから数ヶ月経過すると、以下の問題(通称ダブルチーム問題)が発生しました。

1. MTG増加問題

プロダクト開発 / 職能別チームでそれぞれ朝会が行われていました。
朝会自体はコンパクトでしたが、メンバーは毎朝二つの朝会に出席していました。
また定例もそれぞれ行っていました。
結果、メンバーのMTG増加による開発持ち時間低下が発生していました。

2. メンバーの混乱

メンバーは、プロダクト開発 / 職能別チームで異なる角度の目標を負った状態でした。
これにより片方に注力したくても、もう片方の存在が集中を妨げ、メンバーに混乱を招いていていました。

ダブルチーム問題を解消するために行ったアクション

メンバーの生産性を下げることは、エンジニア組織として最も避けるべきことです。
ですので、組織としてベースはプロダクト開発チームに寄せる選択をしました。
メンバーがプロダクト開発に専念できる状態にするためです。
また、MTGも業務開始1~2時間で固めるように整理しました。
メンバーのフロータイムを確保するためです。

しかし、これだけでは弊社が抱えていた課題は解決できませんでした。

プロダクト開発チームでは解決できなかった課題

一つ目は「技術的負債の返却をいつ行うのか」です。
スペースマーケットのサービスが生まれてから8年。
当然技術的負債は何点もあります。
プロダクト開発での技術的負債返却は、人体におけるコリのようなもの。
コリをほぐさなければ、長期的なパフォーマンスが低下します。
よって継続的に行う必要があります。
しかし、プロダクト開発の文脈では中々進まないのが現状です。

もう一つは「メンバーの育成」です。
現在エンジニア採用の難易度は日々増加しています。
ここで弊社は、「シニアエンジニアを採用する」のではなく「シニアエンジニアを育てる」という方針に転換しました。
しかし、プロダクト開発の現場だけでは、深い言語理解や設計の体得は進みません。

以上の課題を解決するため、導入された体制。
それがチャプターです。

チャプターとは

「チャプター」とは職能に根ざし、ゆるく繋がったグループです。

プロダクト開発チームとチャプターの構成図

「プロダクト開発チーム」は職能横断で構築されたチーム。
「チャプター」は職能で横串にまとめられたグループ
ベースとしているのは、ご存知Spotifyモデルです。
(SpotifyはSpotifyモデルをやめたという話ですが)
「職能別チーム」と異なり「メンバー評価、定例(朝会など)の開催」に責務を持ちません。

スペースマーケットにおけるチャプターの責務と活動について

以下三つに責務を持ちます。

  1. メンバーの育成

  2. 技術的負債の継続的返却

  3. 職能に応じた相互扶助

1. メンバーの育成

モブプロや輪読会、もくもく会を通じ、成長の場を用意しています。

オリジナルスタンプも交えながら積極的に議論を交わしています

モブプロ、輪読会では、画面共有しながら複数名で議論を進め、以下の向上を狙っています。

  1. 言語 / 要素技術 / 設計に対する根本的理解と応用力定着

  2. シニアからジュニアに対するナレッジ共有(エディタtipsなど)

  3. 「なぜ、こうするのか」から思考する力の向上

また上記以外にも職能に応じた育成カリキュラムの作成や、先日弊社メンバーが公開した記事のようなモブレビューの場も設けています。

2. 技術的負債の継続的返却

技術的負債の返却自体をモブプロの題材としています。
例えば、FE  / BEは技術基盤体制の移行作業を進めています。

  • FE: 社内独自FW -> Next.js

  • BE: Ruby on Rails -> NestJS

速度だけなら、シニアメンバーの個人プレイで進めた方が早いです。
ですが、技術的負債の発生を防ぐには、メンバーの成長が必要です。
なので、スピードよりも全体的なメンバー成長を重要視しています。

3. 職能に応じた相互扶助

レビューや技術相談が該当します。
レビューはPR、技術相談はslackで気軽に行われています。
(ここで一切マウンティング的アクションが発生しないのが、弊社の良いところです)

とはいえ、テキストベースの非同期コミュニケーションでは伝えきれない相談も発生します。
その場合、オンラインオフィスツールのgatherやslackのハドル機能をフル活用し、同期的コミュニケーションも積極的に活用しています。

全員踊り狂ってますが、真面目な話をしています

チャプターの活動を行うタイミングについて

弊社では金曜午後は「チャプタータイム」と定義。
毎週数時間を、丸々チャプター活動の時間として充てています
この時間はプロダクト開発のことは、全て忘れます。
チャプター活動に、全力で集中してもらうためです。
以下が、標準的なメンバーの週間スケジュールです。

    • 午前: スプリントプランニング or 朝会

    • 午後: プロダクト開発

  • 火 ~ 木

    • 午前: 朝会

    • 午後: プロダクト開発

    • 午前: 朝会 or スプリントレビュー & レトロスペクティブ

    • 午後: チャプタータイム

メンバーからの反応

今回始めたチャプター並びにチャプタータイム。
弊社では実験的なアクションでしたが、メンバーから以下高評価をもらえました…!

  • 会社として学びの場を設けてくれてるのがありがたい

  • シニアの実装方法をモブプロで学べ、自分の力になる

  • 施策では得難い知見を得られる

  • 以前まで没コミュニケーションになりがちだったが、輪読会を通じた議論で、関係性が深まってきてる

特にリモート環境下での最大の課題だった「コミュニケーション不足による関係性消失」への有効な打ち手だと判明したのが、大きな成果でした。

今後のチャプター活動について

今後も加熱する事が予測されるエンジニア市場。
人的資産に対する投資は急務です。
ですので、弊社でのチャプター活動は今後も継続し、更なるブラッシュアップも行います。
例えば今検討中なのが、「職能を跨いだ留学制度」です。
他職能へチャレンジできる土壌を用意と支援を行うことで、T型人材の育成を狙っています。

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