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【成相寺にまつわる伝説シリーズ】成吉と観音様のお告げ

今年はよく雪が降りました。冬の生活は大変ですが、この季節にしか見られない美しい景色がありますよね。

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成相寺の由来となった観音様の身代わり伝説も深雪の日のお話しです。ホームページやパンフレットにも掲載されている伝説なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

成相寺には他にも数多くの伝説が残されていますが、まだまだ知られていないものが沢山あります。

そこで、【成相寺にまつわる伝説シリーズ】として、このnoteでご紹介していけたらと思います。

今回は、昔の僧侶が書いたとされる「成相寺古記」に記された伝説をひとつご紹介しましょう。

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かつて、この地域の城主に、成吉越中守なりよしえっちゅうのかみという人がいたそうです。その先祖は裕福な家でしたが、あとを継ぐ子どもがいませんでした。

そこで成相寺へ参拝し祈願を行い、一子を得ました。

父母は子どもとまた成相寺に参詣し、「この子は観世音菩薩様にお祈りして授かった子です。どうか然るべき子どもの名前をお授けください」と祈念しました。

そしてその夜、父母は不思議な夢を見ました。

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夢の中で観音様に、「貴方たちが子どもの名前のために祈る切なる願いは、既に叶っております。子孫は永く栄えるでしょう。明日帰路に着く時、山門を通るまでに三人の旅人と出会うでしょう。二人目に来た者がきっと貴方たちの子どもの名付け親となるでしょう。」と告げられ目が覚め、父母は大変に喜んだそうです。

そして帰路につく際、夢の通り旅人三人と出会ったのですが、二人目に来た者を見て父母はとても驚きました。

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その者はあまりにもみすぼらしく、目を背けるほどのものであったそうです。

父母は、本当にこの方が大事な我が子の名付け親になるのだろうか。と思念しましたが、観音様のお告げを捨て置くことは出来ないと決心しその旅人に、「我々は我が子につける名前を観音様に乞いましたところ、霊夢があり、それによりあなたが来られることを知り、名前を頂くことを待っておりました。」と伝えました。

すると旅人は「どうして私のような者があなた方の大切な子どもに名付けることができましょうか。」と辞退したそうです。

しかし父母はさらに願ったので旅人はそれを承諾し、成吉の二文字をその子に名付けました。

父母は喜び、そのお礼に金数両を贈ろうとしましたが、旅人はかたくなに断りました。

そして旅人は、「私はその子のために何かお祝いをしたいが何も持っていない。私が用いている竹杖をお祝いとしてお贈りいたしましょう。」と言い、付き人に持たせたそうです。

その杖を不思議に思い、城に帰ってよく見てみると、その重さは金属か石のようで、驚いて割ってみるとなんと全体が黄金だったといいます。

その後、この家は益々裕福となり、子孫は繁栄したそうです。

また、その旅人は別れる際にお堂に向かってゆき、ふっと姿が見えなくなってしまいました。

このことから旅人は大慈大悲観世音菩薩の化身であると悟り、その信仰はより厚いものになったと言われております。

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これを読んで頂いたあなたも、成相寺へご参拝いただき観音様とご縁を結んで頂きますと、きっとあなたのもとへ観音様はいらっしゃることでしょう。

どういった姿で現れるかはわかりませんので、どうか見逃さぬよう慈愛の心でもって日々を過ごして頂けたらと存じます。

2022年2月28日


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▼成相寺公式ホームページ

▼アクセス
お車でお越しの場合は、国道178号線から丹後郷土資料館へ向かってお進み下さい。
天橋立駅より、タクシーで約25分。
船→ケーブルカー→登山バスで約50分。




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