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PLAY!MUSEUM(東京都立川市・立川駅)

立川駅の周辺は近年になってアートに力を入れている。その代表的なものと言えるのがPLAY!MUSEUMと言えるかもしれない。新街区であるGREEN SPRINGSの中心にあるアートと遊びを体感できる施設として2020年にオープンしたまだ新しい施設。

こちらは美術館と子供の遊び場で構成されている建物で、それぞれが独立した施設になっており、子供の遊び場の方は家族連れで賑わっている模様。遊び場と美術館とを両方とも楽しむとなると金額もそれなりだけれども1日じゅう楽しめる仕様になっている。そのためか美術館の展示内容も親子連れを意識した企画展が多い。遊び場の方に大人だけで訪れても仕方ないので、もちろん美術館を訪問。

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美術館ではクマのプーさん展を開催している。素晴らしいのは世間でよく知られている絵柄ではなく、原作を尊重してE.H.シェパードの原画を展示しているということ。これよこれ。クマのプーさんはこれじゃないと。もともとクマのプーさんは原作者のA.A.ミルンが息子のクリストファー・ロビンのために作った物語。ロビンがいつも肌身離さずにいたクマのぬいぐるみを主人公にして、ロビンまでも登場人物に出したという愛情に溢れた話で、優しい絵柄なのは必然的であり最適。物語の舞台であるイギリスの自然あふれる地を意識した会場づくりがかなりマッチしている。

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第一会場ではAからZまで、クマのプーさんに関連するワードを一つずつ紹介しながら、クマのプーさんがどんな背景を元に描かれた作品なのか、原作者のミルンがどんな生涯を歩んできたのかがわかるようになっている。小さなヌイグルミと、動物園にいたクマ「ウィニー」から生まれたこの愛すべきクマは世界中で知られるキャラクタとなった。

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第二会場は舞台である「百町森」をイメージした空間づくりをする中で、原画を中心にした展示をおこなっている。ミルンは当初、もっと著名な画家に挿絵を依頼したかったらしく、シェパードの起用に当初は難を示したという。けれども出来上がった挿絵を見て、これこそ理想のプー像と一目惚れして採用したという一幕もある。見たことがない人はぜひ確認してほしいのだけれど、一作目の挿絵、物語が始まる前の作者の語りから含め、シェパードの世界観に惚れ込むこと間違いなし。クマのプーさんがぬいぐるみだということがよくわかる一幕となっている。クリストファー・ロビンとの身長の対比差も実に理想的であり現実的。会場では歌手の坂本美雨による優しい声の朗読が流れている。

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第三会場では舞台となったイギリスの森を辿る映像が占めている。木の匂い(檜原村から木材を持ち込んだという)が会場いっぱいに漂い、まさに森の中にいるような気持ちになる。会場の隅には木箱が置いてあり、そこを覗くと森に棲む鳥の姿を見ることができるという演出も心憎い。併設するカフェではクマのプーさんをイメージした料理も提供されている。トイレはウォシュレット式。

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