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奈良博で開催!當麻曼荼羅展


皆様こんにちは。
奈良のガイド ただうち香織です。
奈良ってすごい!面白い!美しい!を紹介します。

今日は奈良国立博物館についてです。


奈良国立博物館とは

日本に国立博物館は4つしかないのですけど、どこにあるのかご存知でしょうか?

ひとつは東京…そして京都。そして九州。
もうひとつは奈良なのです。

奈良国立博物館は、明治に開かれた歴史ある博物館で、すぐ近くを鹿が闊歩して回る素晴らしいところです(^^) 世界中探しても、博物館の目の前で鹿が休んでいるところなどありません!

仏教美術のコレクションが豊富で、かつての都がどれだけ華やかで、どれだけ沢山の寺院があったのか…がよく分かる展覧会がよく開催されています。

でも最近就任された館長さんは縄文・弥生がご専門だそうで、また新しい奈良の魅力が開拓されそうです!

ここで現在『中将姫と當麻曼荼羅』という展覧会をやっています。

奈良博では秋に開催される『正倉院展』が絶対見逃せない目玉なのですが、この『中将姫』も素晴らしいのでぜひ見に来て下さい。

ここではこの展覧会について書きます。

當麻曼荼羅とは何か

まず『當麻曼荼羅』とはなにか。
これは阿弥陀浄土の世界観を描いたものを言います。

ふつう『曼荼羅』というと、真言宗でよく使われる『金剛界曼荼羅』『胎蔵界曼荼羅』が有名ですが、それとは違っていて、極楽浄土を描いたものです。

この當麻曼荼羅は、今から約1300年前の奈良時代、中将姫という方が「阿弥陀様の世界を見たい!」と願い、その願いが叶ってもたらされたものです。

伝説によると、阿弥陀様のお使いが尼の姿になって現れ「蓮の花を用意するように」と伝え、実際に用意すると「織女」という、これも実は阿弥陀様が姿を変えたとされる女性が現れ、一晩で織ってしまったといいます。

そして中将姫は、阿弥陀浄土の世界を見ることができて、のちに阿弥陀浄土へと往生したと伝わります。

當麻曼荼羅のポイント
①中将姫という女性が、極楽浄土を見たいと思い、その願いが叶えたのが當麻曼荼羅
②當麻曼荼羅は蓮糸で織られた「タペストリー」である。(絵画ではない)

この當麻曼荼羅はとても有名になり、人々の信仰の対象となりました。

當麻寺では、當麻曼荼羅が御本尊となっています。

実際の所、蓮ではなく絹糸で織られたようですが、それでも人々がそう信じて、中将姫が蓮を沢山集めたこと、その蓮を井戸で染めたら五色に变化したという伝説、一晩で織られたこと…。そういった事柄や場所も聖地となり、現在まで大切にされてきました。

この素晴らしい當麻曼荼羅は、複製が沢山作られました。

その中でも正式な写しとして伝わっているのが室町時代に作られた「文亀曼荼羅」そして江戸時代に作られた「貞享曼荼羅」
(中将姫が関わった最初のものは根本曼荼羅と呼ばれています)

今回の展覧会は、江戸時代の貞享曼荼羅が修理され、その完成のお披露目も兼ねているということです。


當麻曼荼羅の見どころ①描かれているもの

曼荼羅は非常に大きく、4メートル四方もあります。
正面に阿弥陀様が座り、その周囲を沢山の菩薩達が取り囲んでいます。
さらにその外側に、漫画のコマのようなものが沢山描かれています。

向かって左側のタテの枠の中には、韋提希夫人(いらいけふじん)という方が、どうやって悟りを開けるのか、とお釈迦様に教えを請うているシーンが描かれています。

向かって右の枠は、実際に浄土世界へ行くやり方が描かれています。一番上のコマには太陽に向かっている様子が描かれており、これは「日想観」という瞑想を表現しています。

さらに下の段には横長のコマがあり、仏さまがお迎えに来てくれているシーンを描いています。

経典によると、往生には9種類あり、一番最高ランクが上品上生。(じょうぼんじょうしょう)往生するとすぐ仏に会えるといいます。よくお上品♡なんていったりするのはここから来てるのですね。

上品にも3つランクがあり、上品上生・上品中生・上品下生。
その下には中品上生・中品中生・中品下生。
さらに下品上生・下品中品・下品下生。

絵をよくみると、左へすすむほど、なんだかお浄土からのお迎えが質素になっているのです(^^) 一番左端のコマをよく見てみて下さい。仏さまなし! 楽隊なし! 蓮の台だけ! さ、さみしい…

當麻曼荼羅の見どころ②見逃せない文字

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