令和2年10月以降の最低賃金が公表されました
こんにちは。社会保険労務士の町田です。
令和2年10月以降の最低賃金
令和2年10月以降の地域別最低賃金(※)が公表されました。都道府県ごとに、「発効日」が決まっており、その日以降は改定後の最低賃金が適用されます。
例えば、
奈良県:837円⇒838円(+1円)
大阪府:964円(±0円)
兵庫県:899円⇒900円(+1円)
京都府:909円(±0円)
東京都:1,013円(±0円)
神奈川県:1,011円⇒1,012円(+1円)
等です。
※「地域別最低賃金」とは別に、特定の産業について設定されている
「特定最低賃金」があります。
産業・職種によっては「地域別最低賃金」より高い最低賃金が
設定されている場合があります。
1.都道府県別に設定されているもの
現時点では最新化されていないようですが、参考までに:
特定最低賃金の全国一覧 | 厚生労働省
例えば奈良ですと、「自動車小売業」「機械器具製造業」等で
適用される可能性があります。
2.全国を適用地域として定められているもの
全国設定の特定最低賃金 | 厚生労働省
現在は「非金属鉱業」で「坑内作業に従事する者」のみです。
最低賃金の決定方法
最低賃金は、以下の手順で改定されます。
1.各都道府県の労働局長が「地方最低賃金審議会」に諮問する
2.地方最低賃金審議会は「中央最低賃金審議会」が示した「目安」等を
踏まえて調査審議する
3.調査審議の結果、労働局長に答申する
4.答申内容を公示を行い、異議がない場合は改正決定される
「新型コロナウイルス」の影響で、今年度は「中央最低賃金審議会」が引上げ額の「目安」を示せませんでした。
# 中央最低賃金審議会は「公益代表」「労働者代表」「使用者代表」の
三者で審議するのですが、「労働者代表」と「使用者代表」の意見対立が
埋まらなかった、ということです。
そのため、各都道府県で「地域の経済・雇用の実態」や「地域間格差の縮小」といった観点を踏まえて審議が行われ、今回の改定に至りました。
昨年度は全国加重平均額で27円上昇しているのに比べて、今年度は1円の上昇にとどまっています。
月給の場合の「最低賃金」確認方法
最低賃金は時給により定められていますので、月給制の場合は1ケ月平均所定労働時間で割って1時間あたりの賃金を算出し、最低賃金と比較することになります。
最低賃金額以上かどうかを確認する方法 | 厚生労働省
ここで、最低賃金の対象となる賃金とは、「毎月支払われる基本的な賃金」(所定内給与)ですが、ここから「精皆勤手当」「通勤手当」「家族手当」を除いた金額になります。
最低賃金の対象となる賃金 | 厚生労働省
例えば、
基本給 :160,000円
固定残業手当: 20,000円
皆勤手当 : 10,000円
家族手当 : 20,000円 合計:210,000円
の場合で、1か月平均所定労働時間が176時間(1日8時間×22日)ですと、
最低賃金計算のための時給額は
160,000円 ÷ 176時間 = 909円
になります。
※「皆勤手当」「家族手当」は最低賃金計算のための所定内給与からは
除外されます。また、「固定残業手当」は「所定内給与」には含まれ
ません。
この金額ですと、京都府や兵庫県、奈良県といった道府県ではクリアしますが、大阪府や東京都、神奈川県といった都府県ではクリアしない(最低賃金法違反)ということになってしまいます。
特に昨年度までは、毎年度25円程度最低賃金が上昇してきましたので、給与額の改訂が追い付いていない事業所もあるかと思います。
# 時給25円の上昇は、月給では4,000円から4,500円程度の上昇に
あたります。
今一度、給与制度や支給額を確認してみてはいかがでしょうか。
本日もお読みくださいまして、ありがとうございました。
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