コンポントム税務署物語・転 いいやつ

毎月恒例の税務署訪問。

本日税務署のいつもの部屋に入った瞬間に正面のMr.Chenが隣の強面さんに視線を投げながら「また来たよ…」と苦笑。
2つ隣のキレイ目お姉さんも書類から目をあげチラリと私に視線を向ける。

その投げやりな洗礼に、
「いや、そりゃ毎月来るさ!そういう仕組みでしょ!」と心の中でつっこみながら(カンボジアの納税は月締めです)、もしや私の税務署ネタがどこかから本人たちの耳に入って煙たがられているのか…などとドキドキしながら待合席へ。

Mr.Chenが席を立ち、私の目の前を通りながら「あっちのカウンターね、おれトイレ行くから」と、強面さんの方を指す。

いよいよMr.Chenに嫌われたか…そうだよね、不器用なクメール語で修正箇所いっぱいの書類を毎回持ってくるやつなんて面倒だよね。クメール語の読み書きができないのにクメール語で書類を作っているので間違いが多発。その度にMr.Chenは根気強く教えてくれていた。

さすがにそれにも限界があるか、そりゃそうだ、と思いつつ、勝手に心を通わせていた分、一抹の切なさが・・。

仕方なく強面さんの前に座ったとたんに、強面さんも席を立つ。
「ちょっとトイレ行ってくるわ、お腹痛いから。」
いやいや、みんな、避けないでよ、悲しくなるから!!と心が悲鳴を上げた時、去り際の強面さんが「君の前にあと2人いるからね。」と。

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