生成AIスタートアップ社内での生成AI活用事例 ~バックオフィス編~
こんにちは、Algomatic 横断CoSの大田(@OTA57)です。
Algomaticは生成AIを軸にした事業の複数同時立ち上げに挑戦している2023年にできたスタートアップです。
今日は生成AIスタートアップ社内での生成AI活用事例ということで、特にバックオフィスに関わる部分を紹介していければと思っています。
noteを書こうと思ったきっかけ
私たちAlgomaticは生成AIを軸にした事業探索を続けています。事業探索は事業探索で色々と生成AIならではの難しさや気づきがあるのですが、一方で生成AI系のイベントやメディア記事等でよく聞くのは社内での生成AI導入推進のハードルといった話です。
生成AIスタートアップと呼ばれる企業達はおそらく事業探索だけでなく、社内での生成AI活用も盛んであると思うのですが、あまり事例が表に出てきてないように思います。
そこで弊社が社内で生成AIをどのように活用しているのかをご紹介できればと思いこのnoteを書き始めました。特に私たちが一番恩恵を受けているバックオフィス業務における生成AIの活用をご紹介します。
バックオフィス業務は膨大な手作業と時間を要するものです。勤怠管理、社内文書の管理、新メンバーのオンボーディング、各種アナウンスなど、どれも重要でありながら、時として煩雑で負担の大きい業務でした。
しかし、「自分たちが開発している技術や仕組みを、自社の業務改善にも活かせるのではないか?」という発想から、私たちの社内AI活用が始まりました。試行錯誤の末、今では生成AIが私たちの強力な同僚として、日々の業務をサポートしてくれています。
この記事では、Algomaticのバックオフィスにおける生成AI活用の具体的な事例をご紹介します。単なる業務効率化だけでなく、メンバーの満足度向上や組織文化の醸成にも一役買っている、私たちのAI同僚、「Amigo」の活躍ぶりをお伝えできればと思います。
事例① 日々の業務を効率化:生成AIが支える勤怠管理システム
私たちAlgomaticでは、日々の業務効率化に生成AIを積極的に活用しています。その中でも特に効果を発揮しているのが、勤怠管理システムです。
通勤手当の計算をするためにオフィスへの出勤回数を集計する必要があります。メンバーの働き方は多様で毎日オフィスに来る人もいれば、基本はリモートといったのメンバーもいますが、全員になるべく平等で手軽な方法を模索していました。そんな中で生まれたのがこのシステムです。
Amigo(我々はこのbotに名前をつけています)は、毎朝メンバーに簡単な挨拶を投げかけ、ボタン一つで勤務場所を選択できるようになっています。例えば、「おはようございます!本日の勤務場所を教えてください」というメッセージと共に、「出社」「リモート」のボタンが表示されます。メンバーはこのボタンをタップするだけで、その日の勤務場所を簡単に記録できるのです。このシステムの導入により、以下のような効果が得られました:
メンバーの負担軽減:毎日の記録が数秒で完了するようになり、業務開始時のストレスが軽減されました。
データの正確性向上:人為的なミスが減少し、より正確なデータ収集が可能になりました。
管理部門の業務効率化:データが自動的に集計されるため、交通手当の計算が迅速かつ正確に行えるようになりました。
リアルタイムの勤務状況把握:メンバー同士が各々の勤務形態をリアルタイムで確認できるようになり、業務効率が向上しました。
今はまだ打刻とは連動していないのですが、今後の展望としては打刻と連動させて、退勤もわかるようにできればと思っています。
そこまで実現すれば、生成AIの特性を活かし、メンバーの勤務パターンを分析して、より効率的な働き方の提案や、健康管理のアドバイスなども行うことも可能です。例えば、「先週は3日連続で遅くまで仕事をされていましたね。今週はもう少し早めの退勤を心がけてみてはいかがでしょうか?」といったメッセージを送ることで、ワークライフバランスの改善にも貢献できると思っています。
このように、生成AIを活用した勤怠管理システムは、単純な業務効率化だけでなく、メンバーの働き方や健康管理にまで影響を与える、非常に有効なツールとなる可能性を秘めています。私たちAlgomaticでは、今後もこのシステムを進化させ、より快適で生産性の高い職場環境の創出に努めていきます。
事例② 社内ナレッジの活性化:AIによる自動要約と情報共有
バックオフィスに関するあるあるとして、同じような質問がたくさんの人から何度も届くということがあります。社内規則等のドキュメントを用意したとしても、各々が日々の業務に追われる中で、すべての社内文書に目を通すことは困難です。そこで私たちは、生成AIの力を借りて、この課題を解決する方法を導入しました。
この手の話の解決策としては、RAGを用いたbotの構築もよく取られる手法ですがそれとは異なるアプローチをしています。(RAGもやっています)
具体的には、社内文書をランダムにピックアップし、Amigo(弊社のAI同僚)が自動的に要約して、毎週社内チャットに投稿するシステムを構築しました。
この取り組みにより、以下のような効果が現れています:
情報アクセスの向上: 普段見過ごしがちな文書でも、要約版なら気軽に目を通せるようになりました。これにより、社内文書の閲覧率と認知度が大幅に向上しています。
多様な知識の共有: ランダムな選択により、自分の担当外の分野の情報にも触れる機会が増えました。これは、部門を越えた理解と協力を促進する上で非常に有効です。
時間の効率化: 長文を読む時間がない社員でも、AIによる簡潔な要約を通じて必要な情報を素早く把握できるようになりました。
この「AIによる自動要約と情報共有」の取り組みは、私たちのバックオフィス業務の効率化だけでなく、組織全体の知識レベルの向上と、より開かれたコミュニケーション文化の醸成に大きく貢献しています。生成AIの力を借りることで、私たちは「学習する組織」への一歩を着実に進めているのです。
事例③ 新メンバーを温かく迎える:AIが演出するウェルカムムード
新しいメンバーを迎えることは、どの組織にとっても重要な瞬間です。Algomaticでは、この大切な瞬間をより特別なものにするため、生成AIの力を借りています。
私たちのAI同僚Amigoが、新メンバーのジョインを温かくアナウンスしてくれるのです。 具体的には、新しいメンバーがジョインした際、Amigoが自動的にSlackにアナウンスを投稿します。このアナウンスは単なる事務連絡ではありません。Amigoは新メンバーの情報を基に、チームでの役割などを織り交ぜた、温かみのあるメッセージを生成します。
このようなパーソナライズされたメッセージは、新メンバーに対する期待と歓迎の気持ちを表現すると同時に、既存のチームメンバーにも新しい仲間への興味を喚起します。結果として、自然なコミュニケーションのきっかけが生まれ、スムーズなオンボーディングの雰囲気醸成に一役買っているのです。
この取り組みを始めてから、新メンバーからは「歓迎されている感じがして嬉しかった」「会社の雰囲気がよく伝わってきた」といった前向きなフィードバックを多くいただいています。
また、既存メンバーからも「新しい仲間のことをすぐに知ることができて良かった」「歓迎の言葉をかけやすくなった」という声が聞かれます。
今後の展望としては、入場の前後にカバー範囲を広げていきたいと思っています。入場が決まってからのアカウントの手配や、入場後のオンボーディングもAmigoに担当してもらいたいと思っています。
Amigoによるこのようなサポートは、人間味のある温かい職場環境づくりに大きく貢献しています。技術を活用しながらも、最終的には人と人とのつながりを促進する - これこそが、Algomaticが目指す新時代のバックオフィスの姿なのです。
事例④ コミュニケーションの円滑化:AIによるメッセージ送信サポート
バックオフィス業務の中で、定期的なリマインドやアナウンスの送信は欠かせない重要なタスクです。しかし、同じメッセージを繰り返し送ることは、送る側にとっても受け取る側にとっても、時として煩わしく感じられることがあります。
私たちAlgomaticでは、この課題に対して生成AIを活用した革新的なソリューションを導入しました。 私たちのAI同僚であるAmigoは、各種手続きのリマインドやアナウンス事項の送信を代行してくれます。
使い方は驚くほど簡単です。必要な要件を入力するだけで、Amigoが適切な文面を作成し、指定されたチャンネルや個人に送信してくれるのです。
この仕組みの導入により、以下のような効果が得られました:
業務効率の向上: リマインドやアナウンスの作成・送信にかかる時間が大幅に削減されました。人間が行う作業は要件の入力だけなので、他の重要なタスクに集中できるようになりました。
メッセージの一貫性: Amigoが作成するメッセージは、常に一定の品質と tone を保っています。これにより、社内コミュニケーションの一貫性が向上しました。
心理的負担の軽減: 毎回同じ人がリマインドやアナウンスを送ることによる心理的負担が軽減されました。AIが代行することで、「また私が...」という気持ちから解放されたのです。
プロンプトの研修効果:これは副次的なものなのですが、Amigoにうまくメッセージを投稿してもらうにはプロンプトに関する基礎的な知識が必要です。こういった日常のユースケースでAIが身近にいることで期せずしてプロンプト力が向上する効果があります。
実際に、この仕組みを導入してから、社内のコミュニケーションがよりスムーズになったと感じています。
AIが作成するメッセージは、時には人間以上に適切な言葉遣いや構成で情報を伝えてくれることがあり、社内からも好評です。
このようなAIによるコミュニケーションサポートは、単なる業務効率化だけでなく、社内の雰囲気づくりにも一役買っています。重要な情報が確実に伝わり、かつ送信する側の負担も軽減されるこの仕組みは、まさに生成AIがもたらす新しいバックオフィスの形と言えるでしょう。
バックオフィスでの生成AI活用を実現するために大事なこと
私たちAlgomaticのバックオフィスにおける生成AI活用の成功には、2つの重要な要素があります。それは、徹底したシステム化と、AIに人格を与えるという工夫です。この章では、その裏側にある取り組みについてお話しします。
まず、システム化についてです。生成AIを効果的に活用するには、その前提として業務のシステム化が不可欠です。
私たちは、組織図やタレントマネジメントシステムを全てNotion上で構築しています。例えば、新メンバーの入社申請をトリガーに、Notionのデータが自動的に作成される仕組みを導入しています。
このようなシステム化により、特定のワークフローにおいて生成AIを活用した処理を組み込むことが可能になりました。言わば、AIが活躍できる舞台を整えたのです。これにより、上段で紹介したような様々な業務効率化や自動化が実現しています。
なお、これらのシステムを組むには様々なGASやSlack Workflowが動いていますが、これらもChatGPTやCursorを用いることによって従来より高速に大量の仕組みをデプロイできています。
次に、AIに人格を与えるという工夫についてお話しします。私たちは社内で使用している生成AIに「Amigo」という名前を付け、親しみやすいアイコンをデザインしました。
この「Amigo」は単なるツールではなく、チームの一員として扱っています。
「Amigo」と会話できるようにしたことで、社内メンバーからの親しみが増しました。例えば、「Amigoさん、今日の勤怠入力をお願いします」といった具合に、自然に話しかけるようになりました。
これにより、AIの利用に対する心理的なハードルが下がり、より多くのメンバーが積極的にAIを活用するようになると思います。日本人は元来AIにはポジティブな印象を持っている(ドラえもん等)ので親しまれるキャラや名前を与えれば社内にも受け入れてもらえるはずです。
さらに、「Amigo」の人格設定には、Algomaticの企業文化や価値観を反映させています。例えば、フレンドリーでありながらプロフェッショナル、効率を重視しつつも細やかな気配りができるといった特徴です。
これにより、AIとの対話を通じて、社員が自然とAlgomaticの文化に触れる機会も生まれています。
このように、システム化とAIの人格化という2つの要素が、私たちのバックオフィスにおける生成AI活用の成功を支えています。単にAIを導入するだけでなく、それを効果的に機能させる環境づくりと、社員が親しみを持って活用できる工夫が重要だと、私たちは日々実感しています。
まとめ:生成AIが切り拓くバックオフィスの未来
私たちAlgomaticは、生成AIを活用したバックオフィス業務の革新に日々取り組んでいます。
本記事で紹介した事例は、ほんの一部に過ぎません。
AIの力を借りることで、バックオフィス業務は驚くほど進化しています。 しかし、これはまだ始まりに過ぎないのです。
私たちは、さらなる可能性を秘めた未来のバックオフィスを思い描いています。そこでは、AIがより深く業務に統合され、人間の創造性や判断力を最大限に引き出すパートナーとして機能するでしょう。
このような革新的なバックオフィスの構築に興味をお持ちの方、私たちと一緒に未来を創っていきませんか?
Algomaticでは、常に新しいアイデアと情熱を持った仲間を募集しています。少しでも興味ある方はぜひカジュアル面談しましょう!
あなたのユニークな視点や経験が、次の革新を生み出すきっかけになるかもしれません。
また、私の所属するCEO室ではインターン生を募集しています。この記事に書いたようなバックオフィス以外の領域でも、生成AIを使ったり使わなかったりしながら、会社自体を創っていく体験ができると思います。興味がある方は以下をご覧ください。
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