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客室で仕事はできない

出張などでホテルに宿泊の際、ルームで仕事をするのは無理です。

シティ系やビジネス系のホテルで客室を計画する際、当然のごとくビジネスマーケットを意識して、「ルームで仕事」というテーマにいつも取り組んでいますが、私自身の例で言えば、ルームで仕事なんかしたことないです。

作家がホテルに籠って作品を書き上げるとの実例はあるのでしょうが、それが本当であれば、その作家さんは相当の集中力の持ち主なのだと思います。

仕事柄、はじめて宿泊するホテルでは、ルームに入ってまずは、セッティングを確認し、写真を撮りまくり、FF&Eやアメニティのリストづくり、隅々まで実測し図面とスケッチをつくる作業に追われてしまいます。

一方、いつもの定宿では、メールのチェックや、あすのプレゼンに向けての資料の読み込みくらいはしますが、じっくりとデスクに向かって企画書を書き上げるとか書類をつくるなんてことはできません。何故できないか。それはそのルームが寛いでしまう空間だからです。

以前担当したビジネスセンター内の70室程度のビジネスホテルでは、Conceptをアフタービジネスのリラクゼーションと捉えて、実験的にライティングデスクや中途半端なソファーの設置をやめ、オットマン付きのリクライニングチェアに900φのティーテーブル、チェアーサイドに読書灯を設置したことがありました。当時はまだネット社会ではなかったので、ルームでPCを持ち込んでの業務がない時代でした。

開業から1年満たない内に20室程度、宿泊支配人が異動した途端に、ライティングデスクに置き換わっていましたが・・・。

ここセントレジスは、見ての通り仕事できる空間ではありません。寛ぎの空間です。なにより浴室廻りの充実度とベッドでの寛ぎ感は最高です。

眠ってしまうまでにせいぜいできることは、読書くらいです。時間さえあれば、一冊くらい簡単に読破してしまうほど集中できます。

仕事する空間をホテルのルームに求めるなら、デスク廻りをパーティションで囲う、またはベッドルームと書斎スペースを別室にするなど、仕事に集中できるスペースにするべきでしょう。そんなルームがあれば、わざわざ仕事を持ち込んでしまうかも知れません。