語学学校のことなど

科学分野では大抵の場所で英語が通じますが(とはいえ学会や論文での利便性はあるけど、共通言語として認識されていること自体は大きな問題だと思う)芸術分野で長期にわたって現地のアーティストと仕事をする場合は現地の言葉を覚えた方がいいと思っています。例えばカナダのモントリオールはフランス語と英語のバイリンガルですが(ただし州のオフィシャルな公用語はフランス語のみ)、私の関わっていたメディアアートやコンテンポラリーダンスのコミュニティはフランス語がメインなことが多くて、例えばトロントなどカナダの英語圏から来ているアーティストもフランス語を勉強して話せるようにしている人を見かけました。

私もそういったモチベーションなどがあってカナダにいた最後の年はフランス語の語学学校に通っていました。コンコーディア大学のラボで研修をしていた時期だったので負担にならないよう夜間のクラスに週二日だけ通っていたのですが、週二日だと話す機会は少ないしクラスでわからないことがあっても面倒で質問しないで自分で調べたりしていたせいで、文法はきちんと覚えられても話すのが苦手なままでした。そして日常的に話そうとしないと語彙力もついてこないし、それでまた話す自信もなくなる悪循環でした。

ドイツに移ってまずドイツ語を勉強することになったとき、ケルンで知り合ったメディアアーティストの友達がそのまた友達を紹介してくれました。下の動画の作者なのですが、英語話者がドイツ語を学ぶ話で、メッセージとしては言語は使わないと上達しないからくだらないことでもいいから積極的に話そうということです。

私はドイツに来てから週四日、一日三時間のコースに通っています。今までの反省から、わからないことがあったらなるべく質問するようにしています。ただ、ドイツ語は文法がヘビーなためクラスの中で話す機会は限られているので、語学学校の外でもなるべくドイツ語を使うようにしています。初めはもちろん単語を発するくらいしかできなかったのですが、例えばライプツィヒにいたときに冷たい水を飲もうと思って「kalt Wasser」(英語にすると cold water)とつぶやいたらルームメイトが「kaltes Wasser」と正してくれました。ドイツ語の形容詞の語尾の活用はとてもややこしいのですが、ルームメイトが直してくれたときの印象が強くそれが活用を覚えるときの助けになりました。

ここ一か月ほどは、日本語を学んでいるドイツ人といわゆるタンデムという形でドイツ語を勉強しています(ベルリン芸術大学のビジュアル・アートの学生が一人と、同大学の卒業生の俳優?が一人)。タンデムにもいろいろな形があってカフェなどで教科書を見ながらわからないことを質問している人も見かけますが、私の場合は文法よりも会話が課題なので、レストランやカフェに行ってドイツ語と日本語を混ぜながら話すことが多いです。タンデムの難しいところは話題が合う相手を見つけることだと思います。私の場合は二人ともたまたま大学の卒展で知り合いましたが、タンデムを探すサイトを使ったり、ティンダーで探す人もいるらしいです。

対して語学学校で大事なことは、話したことをすぐに直してもらったり、文章を添削してもらうことだと思います。先の話とは矛盾しますが、ただ自分の伝えたいことをがむしらゃらに話そうとすると文法が追い付かないので、そういったときにきちんと正してくれる先生が理想です。友達と話しているときは多少文法が間違っていてもいいと思うけど、学校できちんと直してもらわないと悪い癖がついてしまいます。私のいたクラスでも何人かいつも同じ間違いをする(そしてそれに気づいていない)人がいました(その人の場合は先生が何度正しても直らなかったので仕方ないのかもしれませんが)。文章に関しては、他の受講生を見ているとまず英語で内容を考えてからドイツ語で書こうとしている人が多いようでした。しかも彼らの場合は英語で話しても難しそうな内容について書いていて(ザハ・ハディドの建築とかアフリカの移民の歴史とか)もっと力を抜いて簡単なことについて書けばいいのではと思っています。私はいつも食べ物について書くことにしていて、じゃがいもに恋をする少女とか、深夜に家を訪れるチョコレートとかナンセンスなことについて書いているので難しい語彙は必要ないし(けど習った単語を適度に混ぜて使うといい)、いくらでも内容が思いつくのでいいテーマだと思っています。


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