ヴォヤージュのエンジニア本はビジネス層にこそ読んでほしい
Zucks CTO 河村 綾祐 御大から半ば強制的に送りつけられてきた書籍、「事業をエンジニアリングする技術者たち」がめちゃくちゃおもしろい。
エンジニアの生態系を覗き見する感覚
まだ前半を読み終わっただけだが、エンジニアにとってはわかりみしかないし、ビジネス屋にとっては今後付き合いを避けられない技術者という人種のありのままの生態を知る貴重な情報源になるのではないかと思う。
エンジニア組織作りたい!なのでCTO採用したい!という企業に限って、エンジニアの処遇とか評価制度みたいなことに気を取られ、のびのび生活できる生活環境についてはとんと無頓着だったりする。
毛足の長い緑のカーペットと卓球台のあるプレイルーム、素敵な社食やデュアルディスプレイを用意すればエンジニアはいついてくれると思っている。
この本には制度の話もファシリティの話もろくに出てこないが、その代わりに「カルチャー」や「判断基準」といった生態系を決定づける重要な要素がそこらじゅうに散りばめられていると感じた。
合理的だが、やたら人間くさい職人気質
自分は、1章に出てくるすずけんさんが fluct 管理画面のリファクタリングに手を付ける話が気に入っている。
「直して、とマネージャーから言われたことは一度もありません。ちょっと機能を足そうと思ってコードを見たら、大変なことになっていたので、ついカッとなってパッチを投げまくっていた、というのが実態です。」
"カッとなって" というのがめっちゃわかるw
自分が関係ないところに手を出す力、放っておかない力と書いてあるが、要するにビジネスに対するオーナーシップと技術負債の返済スピードが為せるわざだと思う。
自分もリファクタリングはカッとなって手を付ける方だったが、揃えて消す、揃えて消す、という行為はハマってくるとテトリスや落ち物パズルに似た爽快感があって気持ちいい。
ルールより根拠
話が横道にそれたが、エンジニアよりもそれらを束ねる経営者やマネージャー層に読んでほしい。
ここに描かれている組織に細かいルールはないが、明確な行動指針はある。また、個々の判断がいかに合理的で、原則に従ったものであるかという点から行動指針の実践例を学ぶことができる。
そしてその多くは暗黙知であるが、再現可能・拡大可能なものであることも理解できるのではないかと思う。
ルールや制度といった形式ではなく、個のポテンシャルを最大化するマネジメントというのはどういうものか。エンジニアというレバレッジの効く職種での実践例から学ぶことは多い。
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