【展覧会レポ】岡本太郎記念館「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」ほか
【約4,600文字、写真約65枚】
岡本太郎記念館(東京・南青山)で開催中の「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」と、GINZA SIXの吹き抜けアート「BIG CAT BANG」を鑑賞しました。その感想を書きます。
結論から言うと、今回の展覧会で、未来への希望に向けたヤノベケンジの考えが深まって良かったです!また、GINZA SIXと岡本太郎記念館が上手くコラボできたwin-winの好事例だと思いました。値段も安く、展示内容も「バカバカしい」ため、普段はアートに興味が薄い人や子供にもおすすめです!
この展覧会は少し特殊でした。まずは、GINZA SIXの吹き抜けアートを鑑賞した後、岡本太郎記念館へ訪問することをおすすめします。
▶︎訪問のきっかけ
ヤノベケンジの作品は、今までさまざまな場所で見てきました。しかし、個展を見たことがなかったため、ヤノベケンジの考えまで知る機会がありませんでした。そこで、今回は良い機会と思い訪問しました。岡本太郎記念館はアクセスが良く、安価な入館料(650円)も理由の一つでした。
▶︎GINZA SIXの吹き抜けアート「BIG CAT BANG」
吹き抜け空間にデーン!とある《BIG CAT BANG》。奥行8.6m×幅6.3m×高さ6.6mの巨大作品が来場者を迎えます(2025年夏までの設置)。
これは、ただの可愛い猫ではなく、ちゃんとしたストーリーがあります。
来場者はみな《BIG CAT BANG》を「可愛いね」と愛でながら、作品を撮影したり、ツーショット写真を撮っていました。
関西育ちの私にとって、(大阪万博'70を体験していなくても)太陽の塔には自然と誇りと馴染みを感じます。その太陽の塔が銀座の真ん中で、東京の人に親しまれていることに、嬉しさを感じました。
《BIG CAT BANG》は、見る角度によって感じ方が変わります。さまざまな高さや角度から見るために来場者は館の中を歩き回ります。そのため、来場者は自然と館内のテナントにも目が行きます。これは館の回遊性を向上させる良いアイデアだと思いました。
館内の一部にもヤノベケンジの作品が展示されていました。《SHIP’S CAT》とは、大航海時代に長い航海に乗船した「船乗り猫」。 安全や出会いを助ける守り神となり、混迷する世界でも、人々や若者の旅を導いて欲しいという願いが込められているそうです。
また、この展示で面白いのは、館内の回遊性だけでなく、来場者を岡本太郎記念館へも回遊させる点です。GINZA SIXも岡本太郎記念館もwin-winで客数が増える、良い取り組みだと思いました。銀座駅から表参道駅へも銀座線1本でアクセスできる点も嬉しいです。
この吹き抜け空間には、とにかく映える作品を置くのが正解ですネ。SNSで勝手にどんどん拡散さる良い仕組みだと思います。
なお、作品の真下からは撮影ができない点は残念でした(安全配慮のため)。太陽の塔の中央にも見るべきポイントがたくさんあります。しっかり導線の広さを確保すれば、安全性の問題はないと思いました。真下から鑑賞できないのは、ヤノベケンジも不本意ではないかと思います😢
▼銀座 蔦屋書店「江上 越<江上越個展:生命線>」(6階)
▼Mulberry(3階)
マルベリーが場所を移転していました(今年3月とのこと)。店内に良い感じのノートカバーがありました(1点のみ入荷)。黒があれば購入を検討したかも。クロムハーツもそうですが、世のレザーブランドは、レザーの手帳カバー、ノートカバーを販売すれば、男性に結構売れると思います。
▶︎岡本太郎記念館「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」
岡本太郎記念館に来たのはこれで2回目。私は岡本太郎の「芸術は路傍の石と同じだ」という言葉が、特に好きです。アートは高貴な人のものではなく、市井の人たちのものであり、生活そのものだ、と岡本太郎は説きました。アートは御託を並べて難しい顔をして見るより、ただ楽しむもの、という私の信条と重なります。
館内にある展示物の数は多くありません。中でも、動画作品により今回の展示の背景やヤノベケンジの考えがよく分かりました。GINZA SIXと合わせて見ることで、より威力を発揮します。
どの作品も映え映えでした。確かにどれもインパクトのある「バカバカしさ」。ヤノベケンジの作風は、(当然ですが)太陽の塔ととても親和性があります。来場者はみんな笑顔で鑑賞しているのが印象的でした。
2階の展示室から空中の廊下を渡ると、映像作品とヤノベケンジのスケッチなどが展示されている部屋につながっています。
この映像作品がヤノベケンジを理解する上で参考になりました。やはり何かを理解する上では、映像系が最も手っ取り早いです。
ヤノベケンジ曰く、代表作である《サン・チャイルド》は、絶望の中でも希望を見出すことをメッセージとしているとのことでした。
《BIG CAT BANG》は、岡本太郎の「芸術は爆発だ」「太陽の塔」からイマジネーションを得て作成されました。生命はどこからきてどこへいくのか、というストーリーが込められているそうです。
宇宙は138億年前にビックバンで誕生し、地球は45億年前に生成され、35億年前にアミノ酸から生物が生まれたとされています。一方で、宇宙から降ってきた隕石から生物が来た説(パンスペルミア説)もあり、《BIG CAT BANG》はそれに基づいた「生命の樹」の前日譚になっているそうです。
そして、パンデミックを経た2024年、いまだに戦争が絶えない憂いの世界。何度も危機に晒された地球では、次の衝撃は核爆発などによって人間が引き起こすかもしれない。作品には、岡本太郎からもらった「未来を作るイマジネーション」を次の世代に渡すというメッセージが込められています。
これらの作品と映像からは、ヤノベケンジは「未来への希望」をメッセージとするアーティストだと再認識できました。一見するとただのキッチュな作品にしか見えません。しかし、そこにしっかりとした意図・背景があるのは、草間彌生や村上隆などと似ているな、と感じました。
1階のアトリエスペースでは、いつもの様子と異なり《SHIP’S CAT》が至る所にいて微笑ましかったです。さすが岡本太郎記念館、度量が広いです。
庭にも大小含めた《SHIP’S CAT》がたくさんいました。
岡本太郎記念館には、来場者が想像以上にいてびっくりしました。中には、子供や若い女性、カップルの姿も多く目に付きました。GINZA SIXと連動して、展覧会をうまく話題化できた結果だと思いました。
ミュージアムショップには、《SHIP’S CAT》のガシャポン(1回500円)を4、5回しているリッチな親子がいました。GINXA SIXにもこのガシャポンを置けば、結構儲かるのではないでしょうか?💰
▼初めて知った「SOU・SOU」の路面店
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?私は今までヤノベケンジの作品を単発で見ることが多かったです。今回の展覧会を通して、ヤノベケンジの人間性、作品に込める「未来への問い」を認識できたことは収穫でした。また、GINZA SIXと岡本太郎記念館ともに客数が増える、とても上手くコラボできた展覧会でした。他の美術館も是非、参考にすると良いと思います📝
▶︎今日の美術館飯
▼分かりやすい「ヤノベケンジ:太郎と猫と太陽と」展の投稿
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