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【2016松本山雅】第2節 vs横浜FC

 ご覧頂きましてありがとうございます。ではでは、第2節横浜FC戦。雨の三ツ沢に行ってきました。今回もスカパーオンデマンドを見ながらいくつか気がついたことを。

 そういえば、日本代表の合宿でハリルホジッチ監督が、ゾーン守備の基礎練習としてはお馴染みの「ロープ」を使ったメソッドをやってたようですね。
Twitterの一部サッカークラスタではいろいろ意見が飛び交っていましたが、2002〜2006年のジーコの「個人の力量重視」の4年間で、ゾーン守備含めていろいろ失われたものは大きく、オシム以後も守備面は個人依存でしたので歓迎です。
昨季のJ2から今季はJ1にゾーン守備の流行りが広がってるようですから、ゾーン守備の普及には期待します。ゾーン守備は本来はフットボーラーの必須項目ですから。

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 あっという間の先制点からスタートしたこの試合。フォーメーションはやはり前節後半のアンカー無しの3421にしてきた。確かにこれだと各選手の距離感などが非常にいい。

 先制点はまさに今季の狙いのひとつ。守備のこぼれ球に関与した喜山が、ためらうことなくSBCB間を狙う縦パス。山本の裏への抜け出しから角度のないシュート。
ニア抜きお見事。ベストゴールノミネートからは漏れたが、肩口という、アイスホッケーなどではいちばん狙う、GKが反応しにくい場所を撃ち抜くいいシュートだった。

 5分。安藤がスローインで謎の助走距離を取る。これは意図的に相手のスカウティングを探っているのでは。
相手が去年の情報ベースで守っているのか前戦の情報がどれだけスカウティングに入ってるのか確認したかったのではと予想。実際に相手はスローインの前に1枚立たせてきた。
勿論安藤のロングスローはなかった。但し安藤はキャンプも別メニューの時間が長く、いくらフットボールセンス抜群とはいえ、果たしてロングスローの練習をしていたかどうかは謎。

 喜山のCB習得度が昨季以上に高い。昨季もゾーン守備を基本に忠実に遂行してたが、プレスするところは更にメリハリ良く行くし、カバーもしっかり躊躇せず行けてる。
DMFとしてはビルドアップに難があった選手だが、フットボールセンスの良さでCBの仕事はできている。

 この喜山だけではなく全体的に前節より守備はスムーズで良いのだが、武井は特に安心して見ていられる。スカパーオンデマンドが視聴可能な方は是非試合時間表示の「17:23」で止めてから、彼に注目して再生して欲しい
ゾーンのグリッド(網)を張っていて、相手が武井寄りに蹴ってしまったミスパスとはいえ、それをカットしてヘッドパスを出すまでの一連の動き。

 見て欲しいのはその武井のグリッドの張り方(相手選手との距離感)。秀逸。パスを読んだ瞬間にプレスに出て行っても、ちょうどボールをカットできる距離になるであろう、そんな位置にいる。
ちょうどアメフットのDB(ディフェンスバック)のパス守備の距離感で、アメフットをやってきた僕から見たら実に唸る「網の張り方」なのだ。

 他の球技を含めて、こういうゾーンの張り方は基本ではあるが、適切な距離を流れの中で維持するのはどの球技でも結構大変で、「常時ポジション修正する『脚』」「常時プレイを読むが備わってないとできない。岩間もそこそこ備わっているのだが、武井のそれはワンレベル高いと見る。

 ちなみにスカパーの実況では再三「アンカーの武井」と言われていたが、前半は全くやっていないので注意(後述するが後半の一部の時間帯ではアンカーありの3142はやっていた)。

 20分過ぎから相手も盛り返してくるし、安藤サイドで突破を許すシーンも。ただ今節は何故か相手のターゲットマンのジャンボ(大久保哲哉)が不在で結構助かっている。

 31分。工藤がバスケのPG(ポイントガード)よろしく相手ミスを拾い、一瞬溜めてからのショートカウンター。但し山本の抜け出しが早すぎてオフサイド。
山本の脚なら、工藤が溜めた瞬間にステップバックしても間に合うと思うし、そのための溜めが工藤はつくれる。
例えば、かつての工藤の相方であった大黒将志(京都→山形)は、そういう出し手の溜めの瞬間にステップバックやサイドステップ等々を駆使して同様に溜めて、オフサイドラインを突破し裏を取る。そこを覚えたら山本は凄いFWになるはず。

 32分宮阪FK。雨を考えていやらしく弾ませるコース。こういう知恵は素晴らしい。

 そして追加点。飯田の打点の高さ、宮阪のCKの正確さ。宮阪のCKは左の方が精度は高そう。山雅にはキッカーが変わっても相変わらずいい武器がある。

 前節もいろいろ悩ましかった石原のふわっとしたプレイが出たのが44〜45分辺り。右の山本ドリブルのサポートも「CBの前で欲しいのか裏で欲しいのか」意志がいまいちわからない走り方。
その後の守備でも「大丈夫だろう」っぽいふわっとしたパスを中央に出すなど、ときどき不安定なプレイが出る。少し心配だし、これが続くと狙われるのでは。

 2点目前後から激しい雨になって、現地(メインスタンドで観戦)では思わずスタンド下に避難したが、幸いフィールドに水たまり等はなく、このまま後半へ。前半は前節より精度は高いがもう少し上げたいところ。

 後半。50分。武井のファール場面。審判団の死角でぐいっと引っ張るずる賢さ。あからさまなファールをする選手が多い中でこれは正直巧い。但し見えてたらイエローだったかも。

 51分の山本と石原のコンビネーションはいい。こういうシーンは増やしたい。

 実は後半当初からアンカーありの3142を試していたが少ししてやめた模様。決定機もひとつつくられたし、工藤の位置が低すぎて攻撃が手薄になるので、現状はあまり良い手段ではなさそう。

 58分のFKを得たシーンの工藤と安藤のアイコンタクトはいい。残念ながら速いリスタートは出来なかったが、この後のFKからのサインプレー含めて、こういうシーンは、今後の対戦相手がビデオで見ることを考えたら、敢えてでも見せておくべき。
警戒せざるを得ないし、警戒させることもまたプレッシャーのひとつになる。

 相手がSHを代えてきた60分以降ちょっと押される。攻撃も停滞気味。受けたらやられるのはJ1で経験済みのはず。次節の清水もSBが攻撃時に張り出してくるし、こういう相手SHやSBの高いポジションへの対応は気になる。
普段だとボールサイドのワイドは1段上がってMFとボールホルダーを挟みに行くのが山雅流ではあるが、ここはベタに引き過ぎず、でもプレッシャーは忘れず…難しい場面ではあるが。

 76分のPK判定。主審は確かに確認しやすい位置にいたのだが、なんとなく「思わず吹いちゃった」系かなとは思った。スローで見たら手というより胸だったのでなおさらに。
判定はソリさんが毎度言うように「年間を通せば判定の損得はプラスマイナスゼロ」と僕も思うので、ここは落ち着いて。
飯田もPK失敗後に再び詰め寄って異議イエローを出されてたが、カッカしてはダメ

 ただ、PKにおけるダンはサイズ的にもいい圧力になってそう。PKストップそのものは前任者の方が若干鋭かったが、ダンにはドッシリ感がある印象。
ちょうど82分にシュートストップのシーンで股間で止めてたが、脚を使えてるから股間を抜かれない訳で、これでよいのでは。ポテンシャルの高いGKと改めて思う。

 石原に代えて岩間を入れ、宮阪を1段上げて岩間武井のDMFコンビになる。岩間の良さである「BOX to BOX」の守備が光る。山雅の守備に慣れてる岩間の安心感は心強い。
武井の良さを考えると岩間も競争は大変だが、守備の良さは相変わらずなので、今後は攻撃面を磨きたいところ。

 終盤の守備意識は昨季より少し向上してそう。シチュエーション別に各自が何をすべきかが理解できていると、とにかく「一歩目」が違う。
前回も触れたが、考えてからの一歩と、理解が進んで「無意識に的確な守備をする」一歩では大違い。一歩目が速い時はどの球技の守備でも比較的安心できる。
疲労もあるので難しいのだが、サボることなく頑張って欲しい。

 前線の守備もオビナと山本ではスピードも質も回数も違う。残念ながらリリースが出てオビナはGWあたりまでしばらく負傷離脱となるが(練習中の怪我らしい)、このサッカーを続けるのなら、オビナよりも山本がスタメンFWとしては適任に思う。

 それにしても山本だが、塩沢(現長野)とは長く一緒に練習はしてないはずだが、2013年に長く塩沢と一緒に練習していた長沢(現ガンバ)並に「そのチェイシングの走りは塩爺のそれ」である。

 GKまでチェイシングする走りはひとによっては無駄ではないか?という見立てもあるとは思う。但し塩沢にしても長沢にしても山本にしても、エルシオコーチのトレーニングで90分走り切る十分なスタミナは持っており、そのスタミナで相手にプレッシャーを掛けるのはアリではないだろうか。
実際こういうプレッシャーに対してパントキック等を失敗するGKはいる訳で、掛けられるプレッシャーならば掛けるべきと思う。

 AT前後で鐡戸、前田大然と投入。ゴール前守備も、格好はともかく(苦笑)、一生懸命シュートブロックしジャンプし…で良い。まさにソリさんが言う「ユニフォームを汚す泥くささ」では。
相手の背の高い選手(新加入のイバ)に「好きにジャンプさせない守備」がしっかりできる喜山は素晴らしい。

 試合終了。相手のPK失敗はあったが、決定機をつくられても粘ってシャットアウトできたのが好材料。
今季型の3421に目処がたったのも素晴らしい。やりたい攻撃はそれなりに出せてたので続けたい。
あと、リードして相手の圧力が増した場面でどう守るか、どう攻撃に転ずるかは修正ポイントのように思う。
恐らくスタメンはこの11人が基本になるだろう。懸念は石原だが、この辺はウィリアンスの監督評価が現状ではわからないので、今はなんとも言えない。次節スタメンが変わるとしたらここ。個人的にはウィリアンスが見たい。
後は恐らく変わらないと思うのだが、守備重視の入りが必要であれば武井のところが岩間になるくらいだろうか。

 次節から序盤のヤマ場になる。清水・ジェフ・金沢と続く。ちらっと合間に清水の試合ジェフの試合と見たが、どちらもそこそこ守備は仕上がっている。
但し、全体のコンビネーションという意味では清水もジェフもこれからか。ほころびを上手に突きたい。ここ2試合より間違いなく「チャンスがなかなか作れない試合」になると思うので頑張って欲しい。

 最後に。ジェフ戦まではこのぐらいの原稿量で書いていきたいが、金沢戦からは固定されたメンバーで「勝ち負けはともかく」それなりに安定して戦ってくれると思うので、原稿量は少なめになる見込みであることを、事前に表明しておきたい。
今は序盤気になることを列記しながら書き記しているが、年間を通してこの分量は無理なので、金沢戦からはマイペースで。
それから、ウィリアンスに子供誕生とのこと(詳しくは本人Facebookで)。めでたい。ゴールを決めたらゆりかごパフォを是非。

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