目から鱗 3
この地に行くと必ず、叔母たちがしてくれることがある。
そのうちのひとつが、夜になると必ず始まる手足の爪に施すヘナと、手の甲に施す、ハルグース。
アラブの国に行くとだいたい染髪はヘナでやっているのでは??
でも、爪にもヘナを塗るのだ。真っ赤なヘナを。
お年を召した女性たちはヘナで染髪し、赤だったり、茶色っぽかったり、とにかく素敵な色に染め上げている。
自分自身もヘナで髪を染めると気持ちが良かったので、時々、染める事が目的というよりは気持ちの良い感じを得たくて気分転換に自分で染めていた。
やり方は現地の友達の教わって。
なので、この地へ行くと自分ではやりきれない爪に施すヘナ、マニキュアみたいなものですが、それをしてもらっていた。
自然植物のヘナにオリーブオイルを混ぜてつくったもの、粘土のようなもの?を爪に塗って一晩置く形。
粘土のようなもので塗った周りを固めるので、その上から布で粘土が落ちたりしないように補強する。
なので、かゆいところは掻けない。
トイレにもいけない。
なので、ヘナをする前に全てを済ませておく。
やり終えたら寝るのみ。
翌朝の手はヘナによる朱色の手先に変身。模様もつけてくれている。
ハルグースを希望すると、手の甲を黒の筆で描いたかのようなアラビア模様、に見えるのだけど、幾何学模様のようなものが描かれる。
とても派手に見える。
でも、手は、日々の中で一番つかうもの。
そこに素敵な施しをしてもらえるものだから、テンションもいい感じにアガるのだ。
そして、街に戻ると見知らぬ人たちからも、
『ヒュー!サッハ!!!ヘンナ!!!』
と声を掛けられる。
どこで誰にやってもらったの?いいねえ!
ステキ!とても似合ってるよ!などなどのお言葉と笑顔を向けられる。
男女問わずから。
それくらい、みんなで喜んでくれる。
外国人だから余計に、自分たちの文化を受け入れたんだね!イエイ!みたいな感じになるのかな?
そんな彼の国の人たちとの交流や理解を深める日々の中で、自分のなかにあるどこか奥深いところでしっくりくる何かを感じ始めていた。
いや、、やっぱり。
勇気を出す時。
覚悟を決める時。
、、と、結婚に向けての道を歩み出した。
この結婚の裏には、この地の叔母さんたちの存在がとても大きかった。
大好きな彼女たち。
いつも最高の時間をくれるのだ。
美味しいクスクス。
楽しいおしゃべり。
ヘナの時間。
自然との戯れ。
厳しい自然環境の学び。
どこまでも晴れ渡る空の気持ち良さ。
紛れもなくなにもない環境のなかで感じる自分。
さて。彼女たちの家から唯一、徒歩40分程度の道の先にある小さな小さな不定期開店のタバコ屋さんくらいのお店。
お菓子やら食べ物、地元産のオリーブオイルやジュースなど、なんにつかうの?という工具っぽいものまでが売っていたが、一番衝撃だったのは、『ネスカフェがある!!まさかの!!、、ん?あれ?なんかおかしい???』
ネスカフェ、、じゃない!!!
センカフェだ!!!
なんと。Nes を逆にし、Senと変えた上でカフェだけそのままで付け足す、と、Sencafe.
衝撃のネーミング!
センカフェ、味は多少落ちるが、まあ、飲める。
でもアラビックカフェの、ディレクト(ミルク入りコーヒー)には完全負ける。
この国の文化に少しずつハマりながら浸かりながら最後には旦那の両親にも正式に挨拶をして、始まりの決め手、に至るのである。
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