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[hey] 資金調達とかそんなアレは別においておいて自分たちがやるべきだと信じられることをやるよ

note で、これまで私たちがどんな組織か、については多少言及してきましたが、何をしているのか、何をしていくのか、についてはあえて触れてきませんでした。ここに来て、改めて伝えたいことがあって、昨日リリースを出しました。

hey をはじめるときに考えていたことは「お商売はもっと多様になる」ということでした。こだわりや情熱、たのしみというエンジンから生まれるいろんな形のお商売にもっと全方位で貢献したいなと。それが STORES.jp と一緒になって hey をつくろうと思ったきっかけでした。

hey をはじめてから、多くのお客さんと接するようになって、ありがたいことにたくさんのことをお客さんから教えてもらいました。お商売のあり方、新しい習慣、そこにつきまとうたくさんの課題。その結果、自分たちが届けているサービスには価値があるんだと嬉しく思うとともに、もっとお客さんのためになりたい、もっと多くの課題を解決したいという思いは強くなるばかりで。

そのためにチーム拡大やプロダクト開発に先行投資していこうと決め、hey は 2018 年 2 月のスタート時からコロナ前までの 2 年弱で累計 65 億円ほど資金を調達をしてきました。重要なことはこの資金を使ってお客さんの課題解決のできるチームをつくること、プロダクトを改善することだったので外部に資金調達の開示は全くしてきませんでしたが、多くの投資家に応援していただいてチームがめいっぱい力を発揮できたので、事業は着実に伸びました。毎年 200 % 近い成長、そして私たちのお客さん(=お店)の売上は年間数千億円にのぼり、少しはお商売のインフラであるといえるのかなという規模に近づいてきました。この数千億円はただの数字の情報ではありません。私たちの銀行口座を通して、日々、お客さんの銀行口座に振り込んでいる大事な売上そのものです。

一方で昨年 12 月、景気に陰りが見えはじめた中、自分たちの会社を 2020 年中に持続可能な状態、つまり黒字化にもっていこうという話を社内にしていました。ちょうど引っ越しを取りやめたあたりの時期のことです。私たちのサービスはお客さんのお商売、つまり生業の根幹を担っているわけで、たとえ、景気が悪くなって投資家の方からの支援が打ち切られたからといって「はい、サービスを終了します。」というわけにはいきません。だから、事業の継続性に関するコントロールレバーを正しく自分たちで持てるようにしていこうと。

そうして、hey 全員で事業の組み立てや動きを大きくそして素早く変えながら最適化していったのが、年末から年明けにかけてのことでした。その後起こったことが何かというと、言うまでもなく、コロナウイルスに伴う事業環境の激変です。これに関しては私たちも思わぬ形で影響を受け、それは図らずもデジタル化・EC 化への恩恵という形で現れ、もともと予定していた事業計画は大幅に前倒されました。

ただし、私たちのお客さんの状況は困難を極めるばかりです。4 月にはお客さんの大半を占める中小企業全体の 80 % 以上が半年以内に支払い困難に陥る可能性があるという調査が出て、このままだと、多くのお客さんがお商売をこれまで通りに続けることが難しくなる、という現実を目の当たりにしました。これは自分たちのお客さんへのアンケートでも示されており、ひとつひとつの回答を私は正直泣きながら読みました。お商売に立ちはだかる壁と困難に立ち向かうお店の方々の強い気持ちに触れて。

お商売への影響は足元の売上や利益が減るというキャッシュフローだけの話だけではありません。もちろん、売上や利益が減る、ということは大きな痛みです。ただ、それだけでなく、長年少しずつ利益を出して積み上げてきた資本が毀損されるという現実が長期で精神を消耗させます。コロナそのものの影響は 2 年程度だとしても、資本の毀損が起こるとコロナ前の状態までお商売が戻るにはそれ以上の時間がかかるでしょう。これが心をすり減らすのです。

そんなお客さんに対して、私たちができることは一体なんなのだろうか。

そんなことを考えていたある日、旅館の名物料理である金目鯛の煮付けを、STORES を使って販売してくださっている浜の湯の社長さんからこんな声をいただきました。


宿泊者ゼロ、売上ゼロの状態から、たくさんの煮付けのオーダーが入り、厨房が忙しくなり活気に溢れ。当然売上をすべて補填するようなインパクトはないものの「自分たちを求めてくれているお客さんはいる」「煮付けを食べてくださったお客さんが、いつか泊まりにいきたいと言ってくれる」というような反応が、スタッフに希望を与えてくれている。みんなで踏ん張らないとと改めて思いました。

このようなに環境下で、私たちができることなど当然小さなものです。私たちだけですべてを賄うことなど到底できません。でもこうやって大変な状況にある方々に、一縷の希望をもたらすことができるかもしれない自分たちには、もっとやれることがあるのではないかと思ったのです。

話を戻しますが、お店の人たちの生業の根幹を担っているという意味おいて、私たちがサービス運営を持続的な状態にしていくことはとても大事なことです。いや、そもそもお商売というのはそうあるべきものでしょう。手綱は自分で持つ。一方で、このような危機的環境において、自分たちだけ安全圏から仕事をするのが本当に良いのか。もしかしたら違うのではないかとも思いました。私たちは、お店の人たちのこだわりや情熱、たのしみに駆動された Just for Fun なお商売を増やしたいわけで、こんな状況だからこそ、もっと大きなリスクを取ってお客さんと一緒に課題解決に向き合うべきなのではないかと。

そうして、経営チームで出した答えは「攻めよう」でした。そもそも hey は、大きなことをしようとして、つくった会社です。私が創業した Coiney 単体では成し遂げられないような大きな変化を社会に生みたいと思ってつくったのが hey なわけです。その基本に立ち返り、より大きな社会インパクトをめざしていくという目的のもと、コロナの影響が大きくなってからわずか 3 ヶ月という短期間で、Bain Capital や古巣の PayPal などから追加で資金調達したのが今回です。強い CFO がいてよかった!(実は昨年から hey には CFO がいて、しかも最近こっそり取締役になっていたりします)

すべてはお客さんの力になりたい、役に立ちたい。そのための資金調達であり、私たちがリスクをとって経営していくという意味でもあります。リスクをとって経営する。それは、別に辛いことではありません。いや、だからといってたのしいだけでもありません。でも、私たちのミッションは Just for Fun です。これは、ただたのしいというだけではなく、夢中だからたのしい、やりきるからこそたのしい、そんなことを意味します。こだわりや情熱、たのしみで駆動する Just for Fun な経済をつくっていくため、投資いただいた資金を元手により良いチーム、プロダクトをつくっていきたいと考えています。

さらに今回、この資金の一部をつかって、クービックに仲間になってもらうことにしました。Coubic は、お店の方々が自社の予約サイトをかんたんにつくれるサービスです。STORES が主に小売や物販の自社 EC サイトをかんたんにつくれるサービスだとすると、Coubic はそのサービス事業者さん向けバージョンといえます。お客さんは STORES と同じく幅広いですが、フィットネスやヨガ、ピラティスなどのレッスン事業者さん、あるいはマッサージやネイルサロンの方々が目立っています。Coubic もまた、私たちと同じようにコロナ禍で大きなダメージをうけたお客さんにご利用いただいています。そこで、Zoom 社の公式パートナーとしてオンラインレッスン予約をかんたんに利用できる仕組みを提供し、非常に大きな反響を呼んでおり、すでに黒字化、急成長を遂げています。

コロナの影響によって生まれたニューノーマルな習慣を先んじて取り入れることを実践し続けているクービックという素晴らしい会社となら、困難に直面しているお客さんを一緒にサポートしていけるのではないか。そう思って、hey の仲間になってもらったというのが今回の背景です。

少し話はズレますが、クービックの代表の倉岡さんは佐藤の Google 時代の同僚で旧知の中です。hey をはじめたときもそうでしたが、別にそれぞれでも十分に会社として成り立つ状態だったにも関わらず hey をやろうと思ったのは、もちろん目指す世界というのありますが、それだけでなく、昔から知ってる仲間と大きな挑戦をしてみたいということもあり、これは今回のクービックの件にも同じようなことが言えるかもしれません。自分たちにしかできないことをやる。STORES のブランドスローガン「Go Original」であるということに意味があると。

では、クービックが仲間になるとどんなことが起きるでしょうか。

いま STORES のサービスには EC や決済ターミナル、決済 SDK、請求書決済などのプロダクトがあり、ここに新たに「予約」が加わることになります。そう、STORES はもうオンラインとかオフラインとか、決済とか EC とかそういうものではないんです。STORES は、お商売のデジタル化を通じて、お客さんの挑戦のハードルを下げたり、できることを増やしたり、自動化によって生産性を向上させるデジタルストアプラットフォームという役割を担っています。

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といってもピンとこないかもしれません。

参考になるケースでは、昨年末に上場したばかりの freee さんが挙げられます。freee さんが運営する統合型クラウド ERP は事業者さんバックオフィスオペレーションをデジタル化しています。私たちはそれに対して、お店とお客さんの間にあるストアフロントのオペレーションをデジタル化していくことを目指しています。もちろん、バックオフィス以上にストアフロントの業務というのは業種業態によって本当に差異が大きく、とても大変なんですが、でも、これを解決していくことに大きな価値があると信じています。

ということで、いまとてもワクワクしています。このワクワクは、「あーたのしい!」っていうよりも、「あー大変だ!でもたのしい!」という方が近いです。この hey らしい Fun な状態をみんな一丸で保ち、誰もがこだわりをわかちあい、挑戦できる Just for Fun な世界がつくりあげられるといいなと思っています。自分たちらしい「Go Original」なやり方でね。

Just for Fun.

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