ハゲとヘビメタと私(琉球美貌禿げ唐手、照。)#6

テルちゃんとの２件セクキャバを堪能しても
まだ21時か22時だったとおもう。
まだ時間も早いし「抜いて」もいない。

テルちゃんはまだ動きたそうな雰囲気だった。
「抜き」に行きたかったが酒がだいぶ入り足もとが揺れていた。
「抜き」に行ってもエクスタスィを感じる事は難しいと予断し、PayPay決済してくれたテルちゃんに礼を言って帰宅すると伝えた。

「ありがとう！照ちゃん！夢の世界だったわ笑」
「今度は福原のソープに行こう！」

照ちゃんはタクシーを止めて東梅田まで戻ると言う。一緒に乗って行く事にした。
東梅田で照ちゃんと別れた。
テルちゃんはまた堂山町近辺に独り消えていった。

オッさん同志LINEも交換した。

谷町線で谷町六丁目で降りる。
酔いを覚ます為、二駅ぐらい歩こう。

そのまま自宅の玉造方面へと緩い坂を降りて行く。
しかし照ちゃんは味のある人物だった。

琉球王国美貌禿げ唐手。照。

暴力団関係者ヤクザなんだろうか？
空手家兼ヤクザというキャラはよく見かける事象だ。
若い無駄にデカい不良相手にあんなに堂々として捌けるなんて。
でもあの足払いのような蹴りは見た事のない神秘的な動きだった。
まともな仕事を辞めて退職数百万という話だが
素直に
普通に
そのまま認容すれば
そういった
そんな風な
その辺に居る地味なオッチャンである事は間違いない。
早朝空手稽古するくらいだから真面目なある種の聡明な信念をもった堅気の人だろう。

鼻唄を歌いながら進む。
数年間、密かにYouTubeで研究、極秘鍛錬していた
ハイトーン系ミックスボイスを試す。

継続練習のおかげでかなりマイク無しでもかなり響く。酔ってるので少し音量が上がってきた。
ヤバい。不審者として通報されてしまう笑

気分が良いので音量を下げつつも歌い続けた。
できるだけ音量は意識してピアニシモ。
酒がまだまだ効いてるので自分が思ってるより騒音だろう。
人通りは少ない。
歩き続ける。
唄い続けた。
「できるだけ」小さな音声で。
「口元の動きが目立たぬように」
「腹話術」の如く
いっこく堂的なスキルを意識し
発声、発音する。

それでも二人ほど目が合った笑
一人は自転車に乗った塾帰りの中学生。
一人は犬の散歩の中年女性。2匹の小型犬。
左手に公園が見えて来た。
公園の階段を登り公園を歩き遠回して帰ろう。

向こうから見れば明らかに危険人物なのだろう。
そんな事は気にせず歌った曲をまとめよう。
「つぐない」　　　　　　　　　テレサ・テン
「愛人」
「ハードレインで愛はズブヌレ」ビートたけし
「ポツンと一人きり」               ビートたけし
「あした」　　　　　　　　　　中島みゆき
「ホームにて」　　　　　　　　中島みゆき
「一番綺麗な私を」                  中島美嘉
「桜色舞う頃」                        中島美嘉
「思い出は美しすぎて」            八神純子
「歴史」　　　　　　　　　　　エレファントカシマシ
「手紙」　　　　　　　　　　　由紀さおり
「たそがれマイラブ」　　　　　大橋純子
「シルエットロマンス」            大橋純子
「踊り子」　　　　　　　　　　村下孝蔵
「ゆうこ」　　　　　　　　　　村下孝蔵
「酔いしれて」　　　　　　　　村上孝蔵
「別れのサンバ」                     長谷川きよし
「ダンサー」　　　　　　　　　長谷川きよし
「甘い生活」　　　　　　　　　野口五郎
「まちぶせ」　　　　　　　　　三木聖子バージョン
「メモリーグラス」　　　　　　堀江　淳

矢鱈、唄いすぎ笑


だんだん調子良くもっと唄いたくなってきた。
全部オリジナルキーで歌えるくらいミックスボイスが出てきた。
しかし録音したらひどいドツボだろう笑笑
いや、音程は採れてるはず。
サックスだって一年間、京都まで習いに行った事もある。
12キイ一年間練習した。
JAZZで有名な先生だった。

アンビュシュア、口の中の形、喉と分離させる。
鼻腔、口腔、舌、耳、そして眼の奥だって空洞、サックスの筒みたいなものだ。
理屈では一緒だ。
なにか微妙な滑舌が悪いのは自分でもわかる。
黒人みたいに全身を使って
エモーショナルにメロディアスにサビでシャウト唱法。そんなふうに唄えたら素敵。

家まで遠回りしすぎたな。
玉造のジャンカラ独りで行きたくなって来たなぁ。

酔いをもらい女体を堪能し後、自己陶酔的に独り歌唱しながら坂道を下る中年男。キモい。キモすぎ笑
しかし私だって人間です。
生きる権利はあります。

社会的弱者、中卒、離婚、借金、親、財産無し。
なんて残酷な自由。

「自由ほど残酷な言葉はないのだ」
                              ドストエフスキィ(露西亜)
だからなんなのよ。
あとは自分で考えろ。
死にたい奴は死ね。　

『偽り多きこの浮世を信ずる事なく』
胸に頭に地獄を抱えながら
どうやって生きていくんですか兄さん！？

はい。三通りしかありません。
1.狂気
2.死
3.淫欲、肉慾の海の中に己の魂を窒息させる。

「ソレ(肉慾)を脚場にして生きて征くしかないんですね！ね？！兄さん・・」

アリョーシャとイワンカラマーゾフの対話だったと記憶してる。
観念論史上世界最高傑作文学
カラマーゾフの兄弟・・・
何回目かまたゆっくり精読したいとは心算しているが・・
世界最高傑作さえ未完のまま・・・

まして底辺のオッさんの人生なんぞ・・

虚無からの創造という事か・・・

承知しました。
骨身に沁みております。
生きて征くしかありません。

ジャンカラに行くのは辞めて独りの部屋へ戻る。
シャワーと寝るスペースがあれば生きて征く自信がある。
しかも無料巨乳動画でサクッと何万回も抜き放題の時代なのよ！
生き残れるさ。

風呂に入り爽健美茶を飲みながら
タブレット純のラジオを聴いた。
優しい声と素敵な選曲。

無料巨乳動画を観よう企んだが
酔い過ぎ唄いすぎで抜きモードに入れなかった。

だいぶ飲んでいた。
知らぬ間に就寝していた。

目覚めたのは03時過ぎだった。
今日は休み。
脳は覚醒してる。このまま起きて
ストレッチして公園に運動しに行くか。　

小一時間ストレッチをして縄跳びとチューブとタオルをバッグに入れて大阪城公園まで歩いた。
酔いはそれほど残っていなかった。
汗を出せば消える程度だろう。
エビオスとビオスリーも飲んだ。
ビタミンCも。
ブラックコーヒーを飲んで縄跳びでもすれば
シャキッとするだろう。

いつものベンチのある場所まで歩く。
今日はさすがに照ちゃんは朝稽古していないだろう。
音楽プレイヤーを忘れたのに気づく。
まぁいいか鼻歌で我慢。

ベンチに寝そべり、軽い腹筋、チューブで筋肉を緩める。ディップス、プッシュアップ、カール。
軽く、チョンチョンと。
ロープを飛んだ。飲んだのに調子がいい。
明らかに脳が覚醒してるからか。
早朝運動して、昼寝爆睡するのが自分の一番好きなスタイル。パターン。

多少の自制心で調子良く運動を終えた。
また昼酒飲んで昼寝できる。

運動するのは好きだ。サボってるわけじゃない。
運動した後の爽快感、何食べても美味しいし、体内ホルモンが舞いだしシコってもエクスタスィーの重みが違う。

酒の肴にエイヒレを食べたくなった。
あたりめイカよりタンパク質が多い。
肉より多い。
デカいエイヒレを買いにスーパー玉出まで歩く事にした。
トリスかビールか考えながら公園の路を歩いていると
右前方からロードサイクルに乗った長髪を後ろに束ねた男がスピードを緩めチラチラこっちを観てる。
面倒くさいので目を合わさずにそのまま歩いた。
5秒くらい過ぎたか
「兄さん？」
振り返ると
「覚えてる！？ホラ！花見でアレ、わぁ〜と笑笑」
「ンンアッ！兄さん！唄う兄さん！元気ぃ？！」
さらにもう一人同じく若い女性がロードサイクルのペダルを緩めながら近づいてきた。

4月花冷えの朝、熱唱し号泣していたヘビメタのアンちゃんだった！　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く。