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リブランド時の注意点

リブランドとは何か

今回の記事は、実際によく業務として発生するリブランドの方法について書いていきたいと思います。
リブランド=Re Brandというように、改めてブランドの価値を見直し、現状、将来の状況に合わせてブランドの構成を見直すという一連の作業のことを指します。
よくある事例としては、過去支えてきてくれた顧客層から新しく若い顧客層へとターゲットを変えていくようなことであったり、事業のドメイン(主事業)の変換を行う際に実行することだったりしますが、多くは、既存事業に加えて、周辺事業へ拡大する際にブランドメッセージが新しい領域にも合致するように修正するものが多いように思えます。
リブランドは比較的伝統的なブランドが実施することもあるし、ベンチャー企業が成長の過程で行うこともあります。ビジネスを取り巻く環境は常に変化していくし、ましては今のビジネス環境はかつてない速度で変わっていきます。今は成功している企業でもリブランドは必要な取り組みとなります。リブランドを一言で説明すると、

ブランドの資産を見つめ直し、新しくステークホルダーとのつながりを新しく定義していくこと

と定義することができるかもしれません。

よくあるリブランドの事例

今まで経験してきたリブランドの現場で起こっている事例、ある種失敗例を上げておきたいと思います。失敗、と書きましたが、何を持って失敗かということを明示しておいた方がいいと思うので、まずはそちらから説明したいと思います。
私自身が実務者として考えるリブランドの失敗とは、

目標とした領域での実績に結びつかない
しばらくして元のドメインに戻ってしまう
目新しさだけに目がいき単発で終わってしまう

といったような事例だと思います。ブランディングは、この #みんなのブランディング でも何度も書いているように、経営戦略の一つであり、実績に紐づかないと意味がありません。また、新しい領域へとステップインしたものの、主事業が強すぎて、ブランディングの主軸が変わらず旧来のブランドへより戻されてしまうことも散見されます。もっとひどいのが、リブランドという目新しさに目を奪われ、リブランドのメッセージを出しただけで満足してしまうようなものです。これら全てが言えることは、正しいモニターの方法を事前に設計していない場合や、ゴール設定が曖昧のまま走ってしまったため、リブランディングとして進むべき方向が発散してしまったからです。

リブランド時のポイント

では、どのように進める必要があるのかについて触れておきたいと思います。リブランドは実は非常に難しい経営判断が伴います。その理由は、

強化しないといけないコアの価値と、変えていかなければないらない価値の見極めが難しい

からです。親子喧嘩で話題となった家具関連の企業もリブランドの失敗と言ってもいいかもしれません。既存ブランドのコアとなり強化すべき価値を簡単に変えてしまうと事業そのものが傾きかねないということがよくわかる事例だと思います。
つまり、リブランド時には、ブランドを作る際にも重要なプロセス、つまり、現状のブランドの姿を見つめ直しブランドを構成する要素に分解しながらスコア化して可視化することを通じて将来あるべきステークホルダーとの関係をデザインしていく、というプロセスをきちんと踏むことです。
リブランドは、単なる新規顧客を新たにターゲティングするためでもなく、事業ドメインの拡大によってブランドメッセージの不整合を取り除く修正の作業ではありません。ましてや、マーケターのキャリアを輝かせるためのネタでも当然ないのです。リブランドは、極めて難しく重要な経営判断であることを認識しなくてはなりません。

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