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B Corpから見る奈良吉野の魅力と課題

はじめに

今回、奈良県のほぼ中央に位置する「吉野町」に行ってきました!
きっかけは、B Corp取得を目指す、都内で発酵温浴サロンnifuを展開するテーブルカンパニーさんとのご縁。実は、nifuで使われている発酵おがくずの原料って、吉野檜の林地残材(間伐後、搬出されずに未利用のまま山に残された吉野檜)なんです。


つまり、林業の未利用材を使ってるんですね。同社のお話を聞いている中で、“どんな場所なんだろう?どんな課題があるんだろう?”と、実際に足を運んでみたくなったんです。この記事は、現地で見聞きした体験談をレポートにまとめたものです。
皆さんも、直接奈良吉野へ訪れたかのように感じて楽しんでいって下さい!

吉野で出会った人たち

まずはテーブルカンパニーの片山社長!林業や地元のことにズブッと入り込んで、面白がりながら地域に貢献している姿が印象的でした。
そして片山社長の周りには、農家さんや製材所の方、日本酒の酒蔵さん、家具職人さん、町長さんまで…。え、町長?!って思いましたよね。テーブルカンパニーのビジョンや片山社長のお人柄に地域が動き始めているわくわく感を感じました。
あと特筆すべきは、ミシュランシェフだった都内の有名ラーメン店オーナー。彼は半移住を検討していてちょうど吉野に滞在されていました。なんと鹿白湯ラーメンを振る舞ってくれました!これが激ウマで…!(後ほど詳しくお話しますね)

世界遺産 吉野大峯

吉野に来たら、やっぱり世界遺産もチェックしないと!というわけで、金峯山寺に行ってきました。吉野山全体が世界遺産に登録されているんですが、その中でも金峯山寺は特に有名。修繕工事中でしたが、静かで厳かな空気はそのままでした。歴史の重みを全身で感じる場所っていいですよね。

そして、吉野といえばやっぱり桜。でも、地元の人いわく秋の紅葉もすごく綺麗だそう。ただ、春の観光需要に比べると1/10くらいなんだとか。意外と知られてない吉野の魅力、もっと発信していけたらいいなと思いました。

金峯山寺


林業の話

吉野といえば林業。山の管理をする山守さん、山主さん、そして“山いき”と呼ばれる山仕事をする人たち。この3者が協力して成り立ってるんです。そして驚いたのが山守さんと山主さんの契約期間!なんと200年!!気が遠くなる長さですよね。でも、その長期スパンが、170年もの杉(価格は140万円!)みたいな価値を生むんだなって実感しました。
今は製材業では木材チップがバイオマス発電用として稼いでいるところもあるみたいですが、かつての“バブル時代”はすごかったみたいですよ。おじいちゃん世代の中にはフェラーリを何台も持っているような高級車オーナーもいるとか。

吉野山(まだまだ奥は深い・・)
吉野の製材所

吉野杉と農産物

宿泊先の“吉野杉の家”は、建築家の長谷川豪さんとAirbnb共同創業者がコラボして実現した施設だそうで、吉野杉の魅力を世界に発信する拠点にもなっているようです。


吉野杉の家
吉野杉の家(室内キッチン)

その名の通り吉野杉をふんだんに使った空間で贅沢なひとときを過ごしました。香りも良いし、触り心地も最高。杉って、年輪幅が菌の繁殖具合で変わるらしくて、それも個性の一つなんだそう。奥が深い!

農業では柿やみかん、いちごなんかが特産品。いわゆる自給農が多く、兼業農家が多いのが特徴みたいです。林業だけじゃなくて、こういう農産物があるのも吉野の魅力の一つですね。

日本酒で乾杯!

とても有難いことに、一日目の夜は、“吉野杉の家”に「吉野で出会った人たち」が集まってくださり、料理を振る舞っていただきました。

吉野町の3酒蔵の一角である美吉野酒造さんの日本酒選りすぐり5選をペアリングしながらいただけたのはまさに至福でした。

これがまた美味しくて…。

吉野杉の木桶で仕込む伝統的な手法や、酵母無添加醸造っていう独自のアプローチ。深みがあって骨太な味わい。これは一献の価値ありです!
しかも、地元の酒蔵3社が合同で新しい日本酒を作ったっていう話も聞きました。地域の枠を超えたコラボって素敵ですよね(このきっかけもなんとテーブルカンパニーさん!)。

さらには、自前で捕獲した鹿を使って、地元の酒蔵さんの酒粕を使って、鹿白湯ラーメンを作っていただく、うますぎる!!
結局、鹿カツ、柿の葉寿司、柿のお新香、鹿鍋、鹿ラーメンなどをいただくことになり、本当に大満足でした!

鹿鍋(ブレブレの写真すみません・・)

地域コミュニティスペースの役割

吉野ゲートウェイ(YOSHINO GATEWAY)にもお邪魔してきました!
ここは林業振興をコンセプトに、山と人をつなげる活動をしている場所なんです。話を聞いていると、林業だけじゃなく一次産業全体に共通する課題がチラホラ。例えば、中間流通の仕組みとか、コスト面でのハードルとか。

しかし、ここではその「分断」をつなぎ直そうと頑張っています。コミュニティスペースという名前だけではなくて、実際に人をつなげて新しい仕組みを作る動きがあるのが素晴らしいですよね。
これからの林業振興のカギになる予感がしました。

YOSHINO GATEWAY

おわりに

吉野で見たのは、課題だけではなく、それを超える可能性でした。
B Corpが目指す「インクルーシブ(包摂的)かつ公平で、リジェネラティブ(再生型)経済システムへの変革」は、こういう地域における現場の積み重ねから始まるのかもしれません。
ここでも、「B Local」が根付いていると感じます。

皆さんも、身近な地域課題に目を向けてみてはいかがでしょうか。そして、2025年がもっと素敵な年になるように、お互い、年末年始にできることから始めてみたいですね。
そのきっかけとなる記事になれば幸いです。


合同会社エネスフィア 加藤直樹

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