「学力」と経済学#番外編.4
いつも、心理学と行動経済学の記事を読んでいただきありがとうございます!
今回は、番外編として、東進ハイスクールの林先生も絶賛した教育経済学者の中室牧子さんの「学力」と経済学を読んで、記事にしようと思います。
第1回の記事はここに貼っておきますので、まだ見てない方は是非!
https://note.com/naoemonn/n/nb41ab8c2f6a0
というわけで、第3章「勉強は本当にそんかに大切なのか?」の内容を要約して説明します!
※ちなみにめんどくさくて、早く情報を知りたい方は、太字を読めば大方掴めるようにはなっています!
「非認知能力」とは
今回の章を話すときに、まず非認知能力というものについて説明します。
非認知能力とは、忍耐力がある・社会性がある・意欲的であるといった人間の気質や性格的な特徴のようなものを指します。
実は、非認知能力は、将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが明らかになってきたのです。
ヘックマン教授は、米国の一般教育修了検定(日本で言うところの高卒認定試験)の分析を行い、このことを示しています。
経済学者であり、プリンストン大学の学長でもあったボーウェン教授らは違った角度から非認知能力の重要性を明らかにしています。
ボーウェン教授は、米国では、大学生の中退率は40%近くに上るという事実に着目して、どういう学生が中退し、どういう学生が中退せずに卒業する傾向が高いのかを調べました。
研究の結果、中退することなくきちんと大学を卒業できていたのはSATと呼ばれる共通テストの成績が良かった学生ではなく、出身高校のレベルにかかわらず通知表の成績が良かった学生だったことが判明しました。
高校で良い成績を取る過程で獲得した非認知能力は高校卒業した後も彼らを成功に導いてくれたのです。
ここで様々な非認知能力の中で、特に重要なものは、
①学歴・年収・雇用等の面で、子供の人生の成功に長期にわたる因果効果を持つこと
②教育はトレーニングによって鍛えて伸ばせる。
であることがわかっています!
重要な非認知能力:「自制心」
人生を成功に導く上で重要だと考えられている非認知能力の1つは「自制心」です。
「マシュマロ実験」と呼ばれる有名な研究があります。
コロンビア大学の心理学者であるミシェル教授は、当時勤務していたスタンフォード大学内の保育園で、186人の4歳時の自制心を次のような方法で計測しました。
まず、子供にマシュマロを差し出します。
次に、「いつ食べてもいいけれども、大人が部屋に戻ってくるまで我慢できればマシュマロ2つ食べれますよ」とだけ伝えて大人は部屋を退出します。
そして、部屋を出て15分後に、大人が帰ってきます。
この結果、186人のうち約3分の1は15分間我慢して2つのマシュマロを手に入れることができましたが、残りの3分の2は我慢できずにマシュマロを食べてしまっていました。
その後ミシェル教授は、彼の人生を追跡して調査を行いました。その結果、彼らが高校生になったときにはかなりの差が生じていることが判明します。
大人が戻ってくるまで我慢して2つのマシュマロを手に入れた子供は、我慢できずに食べてしまった子供よりもSATのスコアがずっと高かったのです。
この「マシュマロ実験」の凄いところは、幼少期の自制心が将来の自分の自制心を決めているということです。
重要な非認知能力:「やり抜く力」
もう一つの重要な非認知能力として挙げられるのが、「やり抜く力」です。
ペンシルバニア大学の著名心理学者、ダックワース准教授が成功を予測できる性質として発表して以来注目を集め、GRITとも呼ばれています。
ダックワース准教授は、多くの研究から「やり抜く力」の重要性を説いています。
また、才能とやり抜く力の間には相関関係がないことも明らかにしています。
才能があっても「やり抜く力」がないがために、成功に至らない人が少なからずいたのです。
非認知能力を鍛える方法
非認知能力は、成年になるまでに伸ばすと、非常に効果があります。
まずは「自制心」については、以下のようなことが言われています。
①先生に「背筋を伸ばす」と言われ続けてそれを忠実に実行した学生は成績の向上が見られたことを報告している研究もあります。
②細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で確認する。
③ダイエットに関して、日々摂取した食事とそのカロリーを継続的に記録し体重を確認する。
もう一つの重要な非認知能力である「やり抜く力」に関しては、
①やり抜く力を伸ばすには、「心の持ちよう」が大切である。
②「自分のもともとの能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」と信じる子供は、「やり抜く力」が強いことがわかっています。
と信じる子供は、「やり抜く力」が強いことがわかっています。
③「年齢とともに記憶力が悪くなる」とか「社会的な身分が低いと成功できない」というステレオタイプを刷り込まれるとそれを踏襲してしまう傾向がある。
といわれています。
しつけを受けた人は年収が高い
ここで、「しつけ」と言うものを
①嘘をついてはいけない
②他人に親切にする
③ルールを守る
④勉強をする
の4つと考えます。
これらを親から教わった人は、それらを全く教わらなかった人と比較すると年収が860,000円高いということが明らかになった研究もあります。
行動経済学を専門とする大阪大学の池田教授の研究も、しつけを受けた人は年収が高いということを明らかにしています。
非認知能力を過小評価してはいけない
第3章で最も重要な事は、学力テスト等の点数だけに一喜一憂しないということです。
そして、非認知能力への投資は、子供の成功にとって非常に重要であることが多くの研究で示されています。
目の前の定期試験のために、部活や生徒会等を止めさせることには慎重であるべきだと思います。
私の考え
子どもの時に、親にどのように鍛えられたかをが大事だと思います。
教育を数字だけで判断する時代は、もうすでに終わっているはずですが、まだまだそのように考えいる親が多いようです。
非認知能力という決して数字で測ることができないような能力をいかに伸ばすか、かなり重要だと思います。
SNSか普及し、子供でも情報へのアクセスが簡単になりました。
しかし、子供は、まだそのようなことを気付きにくいかもしれません。
親世代が変わることが本当に必要になると思います。
当然、若者である私たちの変化も重要ですし、大多数の大学生になってはいけないんだと思います。
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ここでサポートいただいたものは、全て私の母の病気への還元に使わせてただいています。