見出し画像

「よいものは有料」の時代へ

数週間前に投稿した「友だちは変わっていくもの」という有料記事は、現時点(2022年3月4日)での購入者数が100名を超えました。
正直、30人に買っていただければ上出来、と思っていたので、予想を超えた結果に驚き、もちろんうれしく、心強い気持ちにもなりました。

単発の有料記事は、2020年にもホームページの自作にまつわる備忘録の記事を投稿したことがありますが、サイトを訪れていただく方は基本的に知る必要のない舞台裏の話で、具体的なサイト作成費用を記載したり、さまざまな苦労やトラブルについても言及していることから、「本当に知りたい方だけ参考にしてもらえたら」という意図から有料設定にしました。

今年からnoteの投稿を有料化するのは、そのときとはそもそもの動機が異なり、ではどういう動機なのかという話を、この後につづく本編でくわしく書いていきます。

というわけで、2022年の有料記事2本目のテーマは「有料化」です。

SNSをはじめ、インターネット上には魅力的な無料コンテンツが溢れ、その煽りを受けて多くの媒体が淘汰されたり、フリーランスの原稿料が下がったりという事態も起こっています。
一方で、誰でも依頼を待たずに自ら有料コンテンツを発信して収益を得ることが簡単にできる時代でもある。

発想と行動力があれば、風の時代はきっと生きやすく面白い時代になるという予感がわたしにはあって、従来の「有力者に見出される」、「よいオファーに恵まれる」に頼らない、「価値あるものを自ら世に提供してそれにふさわしい収益を得る方法」を考え、実践していきたいと思っています。
noteの記事の有料化は、その第一歩です。

今回は、コンテンツやサービスの提供側、利用する側、両方の立場から「課金」について考える、現在のわたしの頭のなかを備忘録として整理しておく内容になります。
今後noteをはじめとする有料コンテンツの発信にご興味ある方はもちろん、サブスクなどで有料サービスを利用している側の方も、ぜひご購入のうえ読んでいただけたらうれしいです。


「note定期購読マガジンをいつはじめるか」問題


わたしがnoteをスタートした2019年6月当時、定期購読マガジンはすでに多くのnoteクリエイター、とくに吉本ばななさんをはじめ著名な作家陣は意欲的に活用されている印象だった。

当初は自分も、半年や1年くらいnoteをやってみて、フォロワーさんの数が増えたら有料マガジンに挑戦しようか、とうっすら考えていたのだけど、1年、2年、と経つに連れて、その構想はふくらむどころか、逆に少しずつしぼんでいった。

最大の理由は、noteのフォロワー数の増え方が思っていたよりずっとゆっくりだったせい。

しかし、亀の歩みも2年半という年月をかければ、フォロワー数1000人まであと少しという数になり、noteおすすめ記事に選出されずとも、スキの数が100を越えることがめずらしくなくなってきた(もちろん上を見ればキリがないのだけれど、わたしがnoteを続けてきた実感としても、他の方の投稿を見ても、毎回100以上のスキをコンスタントに獲得できるクリエイターさんははたして上位何%だろうか、という気がする)。

そして周りを見れば、単独購入記事と定期購読マガジンのしくみをうまく使いこなしてスマートにマネタイズしているnoteクリエイターさんもどんどん増えていて、「わたしもそろそろ次の段階へ進んでいいころかもしれない」と考えるようになってきた。

定期購読マガジンをスタートすると、「毎週○本、月○本更新」という公約を掲げることになるわけだけど、無料の今でもこれだけ連続投稿記録を重ねられていることを考えれば、おそらく更新自体はむずかしくないと思っている。

不安やデメリットに感じる最大の点は、有料化によって全文を読んでもらえる人数が確実に減ることだ。

それ以外は、自分としては「今回はよく書けた」という仕上がりの文章も、「今回は60点かな」という仕上がりの文章も、定期購読マガジンにおさめる時点でどれも「商品」になる、ということがあるにはあるけれど、これまでも、自信作の手応えをもって投稿した記事が必ずしも反応がいいとは限らず、60点くらいのつもりで投稿した記事が意外なほど多くのスキを集めたということは何度もあった。
そうして「当てが外れる」たびに、自分の書き上げたときの手応えなんて不確実なもので、文章の価値を決めるのはどこまでも読者なのだと学ぶ。

だったらもう、あとは「いつ有料化に踏み切るか」を決めるだけだ。

愛読するメルマガの値上げで考えたこと


現在わたしが購読している唯一の有料メルマガ、占星術家Keikoさんの「Keiko’s Power Wish Academy」が、6月からコンテンツ変更に伴い、月額380円から780円に値上げされるという。

100円や200円ではなく倍以上という値上げに驚いたが、このメルマガの有料会員になったことで、毎月の新月と満月の日に天空図のくわしい解説を聴くことができ、そのメッセージから得られるものがたくさんあるので、380円なら会員になるけど780円ならやめます、とは思わない。
サービスは3月からバージョンアップされるというので、どうか納得感を得られる値上げであってほしいと期待しているところだ。

個人の金銭感覚として、価値や効果を実感する前のメルマガお試し価格として、380円はちょうど気軽な金額だと思うけれど、お試しのつもりが初月から780円、と聞くとちょっと躊躇してしまうかもしれない。
わたしのなかで、今回の値上げ分の400円を埋めているのは、これまで半年以上をかけてKeiko先生に抱くようになった信頼感や、感謝や、今後への期待感だ。

つまり、有料コンテンツには「信頼」と「納得」が必須であり、提供する側と受け取る側、両者にとって納得感の得られる金額の設定が大切であることが、愛読メルマガの値上げに直面してわかった。

そして、視線をまたnoteに戻し、作家の岸田奈美さんが月額1000円で有料マガジンを続けていることに感服する。「わたしはnoteが収入源」という一文ににじむ覚悟と、なにより彼女の文才を、ユーザーは「信頼」し、マガジンを購入しているのだろう。

「無料」や「お得」の背景を疑う意識を持つ


自分が有料コンテンツを提供する側に回らないかぎり、サービスは「無料」や「お得」であるほどいいと思いがちだ。
けれど、その裏には不自然さや無理を強いる構造が潜んでいるケースも多いと、今は思っている。

一つには、わたし自身、先述したように無料公開記事ならではの不自由さ、投稿のモチベーションを維持するむずかしさを感じはじめたこともあるし、もう一つ、少し前にJ-WAVEの朝の別所哲也さんの番組に、料理家のSHIORIさんが出演して話されているのを聴いて、その内容が心にささったということもある。

それは「今後の食の業界全体について思っていること」として、「安さを競争することをやめないと業界の実態はよくなっていかない」というメッセージだった。

「日本の外食産業は、世界的に見ても、質に対して価格が安すぎる。その安さは必ず何らかの歪みをはらんでいる。質に対しての対価をきちんと支払う、という意識にみんなで変えていきたい」といった主旨のコメントをされていて、「ほんと、その通りだ」と思った。

日本にはチップの文化がないことも関係しているかもしれないけど、外食産業にかぎらず、自分も含めて、よいサービスを無料で受け取ることに、これまであまりにも慣れすぎていたのではないだろうか。
商品についてくるおまけや付録なども「なぜこれが無料なんだろう」「この安さでこれも付いてくるってどういうことなんだろうか」と首をかしげてしまうものが多い。そして、そういうものって、とくに欲しくもないのになかば無理やり手渡されて、質もやっぱりそれなりだな、と感じてしまうものがほとんどだ。

これはネット上の無料コンテンツ、文章、情報、アートやエンタメにも置きかえられることで、質のいいものも、そうでないものも、すべて無料で受け取れるなんて、やっぱり不自然じゃないだろうか。

これからは、無料やお得をただ無邪気に喜ぶのではなくて、自分が本当に欲しいと思う、必要だと思うものだけを、その質にふさわしい金額で手に入れることを意識したい

それによって、購入側はさまざまな仕事や能力への敬意が生まれ、販売側は自分自身の仕事や能力における向上心を刺激され、みんなが自分にもっと誇りをもてるようになると思う。
働き方や生き方の問題まで含む「よき循環」のカギとなるのは、商品でもコンテンツでもサービスでも「質に見合った有料化」があたりまえの世の中になっていくことにあるのかもしれない。

noteやvoicyの収益化でよき循環を目指す


noteの投稿を有料化する動機には、わたしがこれまでnoteのおかげで得られたものから少しでも還元していきたいという思いも含まれている。

これまでわたしはnoteを「いつか作品になる文章の下書き」として書いてきたし、その下書きをオープンにしていたことで、それを読んだ編集者の方が書籍の企画を考えてくれたり、自分が仕事用の文章を書く上でも、このnoteの下書きに助けられたりすることはとても多い。
自分のパソコンのフォルダに文章を書き溜めていくより、noteを使ったことでチャンスが格段に広がったし、下書きの活用性も高まったと感じている。
わたしは月額500円をnoteに支払っている有料ユーザーだけれど、それ以上の価値をnoteのサービスに感じているから、今後はそれをよい形で循環させたい。

今年から新たな活動として始めた音声配信は、voicyがまだ新しい企業で、音声配信サービス自体が黎明期ということもあり、資金調達がとても大変だという話をよくvoicy社長の緒方さんが話している。

わたしのような素人がパーソナリティとなって毎日放送を行えて、そのフォロワーとなってくれる方が1ヶ月で1000人を超えるなんて、それだけvoicyのサービスがパーソナリティにとってもユーザーにとってもとことんシンプルで使いやすいからこそだ。なのに、これも現状、無料である。

だったら今後は、voicyで収益化のために用意されているしくみを活用して、少しでもvoicyに還元すべきではないかと考えていて、note同様、自分がそれをやるべきタイミングや方法をしっかり見極めて、挑戦したいと思っている。

土の時代は、多くの人が収入を得る経路が限定され、お金は自分の「仕事」によってもたらされることがほとんどだった。
けれど、風の時代になって、仕事であろうと趣味であろうと、自分が差し出したものに価値をつけてくれる人さえいれば、そこに収益を生み出すことが簡単になった。この動きは今後もどんどん広がっていくのだろう。

お金以外の等価交換も模索したい


マネタイズ以外にも興味があるのが、等価交換の可能性だ。

これについては大きなヒントがあって、昨年秋から通信講座で風水を学び、年末には風水アドバイザーの資格試験に合格したのだが

わたしが資格を取得したと知り、風水に興味がある知り合いから、ちらほらと「部屋の風水をみてほしい」という相談をいただく。

今はまだ新人ということと、相手との関係性から、基本的にお金はいただかずに鑑定しているのだけど、先日、風水鑑定を行った相手からお礼として、相手の職業を生かしたサービスをプレゼントされ、その等価交換がとても気持ちいいなと感じたのだった。

鑑定料金を設定した方がシンプルだしお互いやりやすい、という関係性もあるから、いきなり誰に対しても等価交換で統一しようとは思っていないけれど、わたしは新人風水師として運気が上がる部屋の使い方や方角の生かし方を真剣にアドバイスし、相手はそれをとても喜んで、無理のない範囲でのお返しをしてくれた。
お互い、わざわざ買ったり用意したりしたものはなく、それぞれの知識や技術を相手のために使い合った、とてもいいやりとりだった。

お金は、どんな距離感や関係性の人に対しても、商品やサービスや労働への対価を求められる便利なツールだけれど、これからの時代、売買以外の、こうした「自分がやれることや持っているものを交換し合う」というやりとりも、長い人生をみんなで支え合って生きていくうえで大きな意味をもつようになるのではないだろうか。

お金も大事。
でも、お金以外のやりとりで支え合える関係性も大事。
こうした価値観が自然に自分のなかに芽生え、日々の行動や決断の指針となっていること自体に、風の時代の空気を感じている。

ここから先は

0字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?