ヴァチカン美術館(Musei Vaticani)vol. 2:世界がここに、圧巻の「地図の間」
ヴァチカン美術館(Musei Vaticani)特集 vol. 1に引き続き、ヴァチカン美術館の展示室を紹介していく。
1. タペストリーのギャラリー(Galleria degli Arazzi)
展示物の劣化を防ぐためか、日光が遮られ、薄暗いタペストリーのギャラリー(Gallery of Tapestries)。
ここにはクレメンス7世(Clement VII;治世 1523-1534)の時代にブリュッセルの工房で作られたフランドル地方のタペストリーが陳列されている。
1531年にはシスティーナ礼拝堂に展示されたが、1838年になってこのタペストリー専用のギャラリーに展示されることになった。
これらのタペストリーは、ラファエロが描いた天使の絵をもとにして作られたという。
2. 地図の間(Galleria delle Carte Geografiche)
天井を首が痛くなるまで見上げてしまう、そんなヴァチカン美術館の見どころの一つである地図の間(Galleria delle Carte Geografiche)。
この部屋の名前は、グレゴリウス13世(Gregorius XIII;治世1572-1585)の時代に描かれたイタリアの地方と教会の所有地の地図のフレスコ画に由来している。
1580年から85年にかけて制作を担当したのはイグナツィオ・ダンティ(Ignazio Danti)。
これらの地図にはアペニン山脈を境目として、リグリア海、ティレニア海、そしてアドリア海が描かれている。
16世紀末に描かれた40枚もの地図は120メートルにも渡って展示されている。
これらの地図にはアペニン山脈を境目として、リグリア海、ティレニア海、そしてアドリア海が描かれている。
ちなみにこれらの地図の制作を命じたグレゴリウス13世とは、1585年に日本の天正遣欧使節団が謁見した教皇である。
当時の測量技術の素晴らしさを伺うことができる地図たち。
細やかな装飾も美しい地図は、いかにして当時の人がその土地を認識していたかということを語る史料なのである。
展示室の窓から見たローマの風景。
3. ソビエスキ王の間(Sala Sobieski)
ソビエスキ王の間(The Sobieski Room)の名前は、ポーランド王ヤン3世 ソビエスキ(John III Sobieski)が1683年にトルコに勝利した様子が描かれた絵に 由来している。
作者はポーランド人画家ヤン・マテイコ(Jean Matejko;1838-1893)。
その他の大型絵画は、ピウス9世(Pius IX;在位 1846-1878)に各地の王や司教、都市から寄贈されたものである。
4. 無原罪の御宿りの間(Sala dell'Immacolata)
1854年12月8日、教皇ピウス9世によって、聖母マリアが原罪を存在のはじめから一切受けていなかったとする協議が正式に信仰箇条として宣言された。
この部屋は、その宣言を記念し、1856年から65年にかけてアンコーナ出身の画家フランシス・ポデスティ(Francis Podesti;1800-1895)によって作られたものである。
天井画や壁画は、聖母の戴冠や無原罪の信仰箇条を協議・宣言する様子が描かれている。
またこの宣言の場には画家ポデスティ自身も描かれているとのこと。
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以上、いずれも印象に残る展示室を紹介したが、次回はいよいよラファエロ作の『アテネの学堂』を含むラファエロの間の紹介に入るのでお楽しみに。
ヴァチカン美術館(Musei Vaticani)
住所:00120 Città del Vaticano
開館時間:8:30-16:30
入場料:17ユーロ(一般料金)、8ユーロ(割引料金)
公式ホームページ:museivaticani.va
(写真・文責:増永菜生 @nao_masunaga)
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