2021年3-4月にイタリア・日本を往復した話
ちょっと前の話になってしまうが、筆者は2021年3月から4月にかけて、ほぼ自己隔離期間で終わってしまったものの、3週間の短い帰国をした。
今回のnoteではその際の手続きについて、思い出しながら書いていきたいと思う。
今後の情勢がどうなるか分からないが、この時のフライトが今まで一番ハードだったと記憶している。
1. 2021年3月、ミラノ・マルペンサ空港より関西国際空港へフライト
1-1. KLM搭乗および日本入国のためのPCR検査(2021年3月時点)
この時のフライトはミラノから関西空港まではKLM、関西空港からミラノまではエールフランスという状況であった。
2021年3月時点では、KLMを使う場合、次の2回のPCR検査が必要であった。
・日本へのフライト搭乗72時間前以内のPCR検査
・KLMを使いアムステルダムで乗り換えするために搭乗4時間前の簡易検査
2020年12月にイタリアから日本へ渡航した際は、搭乗前のPCR検査は必要なかったので、やはり12月に変異種が出てから規制が厳しくなっているのを実感した。
まずは搭乗72時間前以内の検査を受けるためにミラノ市内の検査機関を探した。
この72時間前以内の検査の時間というのは、結果判明の時刻ではなく、検査した時刻であるために注意である。
つまりフライトの2-3日前には検査を受け、24時間以内、遅くとも36時間以内には結果を受け取れるという病院を探す必要がある。
結論から言うと、筆者はこの搭乗前のPCR検査でミスを犯し、キャンセルポリシーを使い、無料でフライト日時を変更、もう一度検査を受け直し搭乗した。
次の節では、自戒をこめて、その間違いについて書いていきたい。
1-2. PCR検査の予約を間違え、再度検査を受けることになる
当初筆者は3月のある火曜日早朝のフライトを予定していたために、その三日前である土曜午後に、フライトのための検査75ユーロを申し込んだ。
その検査機関は予約と同時にクレジットカードでお金を引き落とされるので変更は難しいような印象であるが、予約時間に病院へ行き、スムーズに検査。
検査後、係の人から「結果は土日挟んで3営業日後に出るよ」と言われ顔が真っ青になった。
つまり筆者は、3営業日以内と3日以内のイタリア語を読み間違えていたため、土曜に検査を受けても結果が出るのは最速で水曜日ということになってしまったのである。
これではもちろん火曜日のフライトには間に合わない。
係の人に話を聞くと、この検査機関では、75€の検査だと3営業日以内、90€の検査だと24時間以内という値段設定をしているとのことであった。
その後、ざっとミラノ市内の検査機関を調べたところ、24時間以内に結果を受け取れるPCR検査の値段の相場は、やはり90€からというものであった。
さらに不幸だったことに、土曜日曜に一応検査をやっていても、検体を機関に届けるのは月曜日になり、結局結果が出るのは火曜日以降という病院がほとんどであった。
フランスの空港では、24時間以内に結果が出る無料のPCR検査・抗原検査をやっていると聞くのだが、2021年夏現在のイタリアの場合、基本的に市内で検査機関を探さねばならない。
このような不幸を避けるためにも、ミラノから長距離フライトを行う場合、迅速に結果と陰性証明書を出してくれる検査機関を把握していないのならば、週明けの月曜火曜のフライトは避け、水曜から日曜のフライトにするべきなのであろう。
土曜日の時点で、次の火曜日のフライトは絶望的ということがわかったので、すぐにKLMに連絡し、
・無料でフライトを火曜から水曜へ1日延期
・改めて24時間以内に結果が出る検査を週明けの月曜に予約
することで対策した。
1-3. 早朝フライトのためにマルペンサ空港で一泊
こうして週明けの月曜午後にPCR検査を受け、翌日の火曜日に無事に陰性結果をPDFで受け取ることができた。
注意したいのは、日本入国のためにはこの結果を紙で印刷しなければならないということである。
水曜日のKLMミラノ・大阪便は、朝6:25にマルペンサを出発し、アムステルダムで乗り換え、翌日の昼頃に関西空港に到着するというものであった。
2021年3月の時点では、アムステルダムで乗り換えをするためには搭乗4時間前の迅速抗原検査がさらに必要であったため、朝3時半にマルペンサ空港での検査50€を予約した(この迅速抗原検査は、2021年4月には必要なくなったとのこと)。
この時、空港近くで前泊も考えたが、深夜2時半にはチェックアウトしなければいけないので、宿泊代がもったいない。
結局、ミラノ中央駅から出ている22時台の終バスでマルペンサ空港へ向かい、空港で夜を明かすことにした。
マルペンサ空港は、スチールの硬い椅子しかなく、寒い眠い、早く飛行機に乗りたいという気持ちでいっぱい、眠ることなどできずわりと地獄であった。
朝5時過ぎに出国審査を行い、6時過ぎにアムステルダム行きの飛行機に搭乗。
さらに昼頃にアムステルダムから大阪行きの便に乗った時には、心底ほっとし、熟睡することができた。
アムステルダムから大阪へのフライト中の機内食。
お米が食べたかったのでグルテンフリーミールにしておいた(右下のサンドイッチは確かミラノからアムステルダムの間にもらったサンドイッチ、グルテンフリーではない)。
お菓子はCAさんがいるブースへ取りに行く方式。
機内サービスは、安全対策のため縮小しているようであったが、ほぼほぼ睡眠に充てたフライトであったため特に不足は感じなかった。
2. ホテルでの3泊4日の自己隔離
2-1. 関西国際空港到着後のPCR検査
関西空港に到着するとすぐにPCR検査になる。
その間にカウンターで提示する厚生労働省指定のフォーム(QRコード付き)と陰性証明書をチェック。
列に続いて検査場まで進み、唾液を採取、検査結果が出るまで待機場でしばらく待つ。
唾液を提出してから大体40分くらいで陰性という結果を受け取った。
ここから3泊4日の強制隔離の指定国から到着した人は集められ、政府指定の隔離施設に向かうためのバスに乗るよう指示を受けた。
隔離施設といっても関西空港に併設する日航ホテルなので移動時間は3-4分程度。
ちなみに2021年3月から6月末までイタリアは強制隔離の指定国であったが、7月1日より強制隔離の規定から外れることになったらしい。
2-2. 政府指定隔離施設での自己隔離生活
政府指定の隔離施設(通称 隔離ホテル)に到着すると、まず部屋の広さに驚いた。
2020年夏に成田に到着した際に隔離ホテルとして利用した東横インに比べると軽く3倍以上の広さはあるのではないであろうか。
窓からは海も見える。
フライト前に空港泊、さらに機内泊とまともに寝ていない日が二日続いたため、ホテルの入るとすぐにお風呂に入り、広いベッドに倒れ込んだ。
ポットの他に500mlの水が6本もある。
この水も去年の東横インにはなかったサービスである。
間も無くして食事が運ばれてきた。
左上が1日目のお昼ご飯、右下が夜ご飯。
右上のストロープワッフルは機内でもらったもの。
筆者は、乳製品(特にチーズ)とドライイーストに遅発性アレルギーがあるため、少量ならまだしも、免疫力が低下している時に立て続けに摂取すると発疹ができる。
そのためにアレルギーを申告しておいたら、米食と魚のお弁当をメインとして提供されることになり、とてもありがたかった。
隔離生活二日目の食事。
左上が朝ご飯、右下が昼ご飯(ほっけ)、左下が夜ご飯(鮭)。
毎食500mlのペットボトルでお茶がもらえるのが嬉しい。
運動が制限される中、糖分が高いジュースよりもお茶の方がグビグビ水分摂取できるためありがたい。
隔離生活3日目のご飯。
左上が朝ご飯、左下が昼ご飯(鯖)、右上が夜ご飯(鮭)。
隔離生活最終日のご飯。
左上が朝ご飯、右下が昼ご飯(鯖)。
この日の朝にPCR検査をし、13時頃に結果判明、隔離ホテルを対処し、予約していたレンタカーの営業所に向かう。
レンタカーで関西空港から運転するのも2回目だったのでスムーズに北陸の実家まで帰ることができた。
また隔離ホテルでの3泊4日の食事については、特に不便さも感じることなく、毎食日本のお米は美味しいなと感動していた。
個人的に菓子パンや揚げ物が苦手なため、アレルギー対策をしていないお弁当だったらキツかったかもしれないが、写真の通り、魚と米がメインのお弁当は食べていて飽きなかった。
さらにお菓子類は提供されないため、持ち込んだハリボーを冷蔵庫で硬くしてお茶と一緒に楽しんでいた。
3. 日本からイタリアへフライト前のPCR検査
3-1. イタリア入国のためのPCR検査
2週間の自己隔離と1週間の日本での活動を終えて、ミラノに戻る日が近づいてきた。
イタリアへのフライトには、イタリア入国48時間以内の陰性の検査結果が必要である。
フライトの48時間以内ではなく、イタリア入国の48時間以内であるためかなりタイトなスケジュールで検査を予約しなければならない。
4月のとある日曜日、この時は夜のフライトであったが、早めに空港へ移動しラウンジへ。
指定のクレジットカード持っていれば無料で使えるこちらのラウンジ、2021年4月末で閉まってしまうということで残念。
朝7時半から21時まで開いている上に、コンセントが完備した自習スペースがありとても快適である。
3-2. まさかの搭乗拒否
チェックイン時刻になりカウンターへ向かったが、結論から言って搭乗拒否され、当初予定していた日に、搭乗することができなかった。
2021年4月現在、イタリアに入国するには、入国前48時間以内に受けた検査の陰性結果が必要ということは先ほど確認した通りである。
この時のフライトは、夜に出発し、翌日の朝8時台にイタリアに到着するというものであった。
それゆえに、フライト前日の朝10時(つまり到着日の2日前、イタリア入国時間の46時間前の検査結果ということになる)にPCR検査を受け、同日の18時までには陰性結果を受け取っていたのだが...
この陰性結果を関空のカウンターに持っていったところ、グランドスタッフの方の顔が曇っていく。
よくよく話を聞くと「7時間の時差を考慮した上で」入国48時間以内の検査結果を提示しなければならないとのことであった。
つまりこの場合、フライト2日前の15時台以降に検査を受けなければならなかったのである。
今年1月イタリア入国した時には、時差は考慮せず入国48時間前以内の検査結果でOKであったが、変異種の流行もあり、ますます規制が強まっているとのことであった。
筆者の場合、あと5時間遅く検査を受けていれば何の問題もなかったのだ。
こうなってしまってはもうどうしようもないので、PCR検査を再予約(自費)した後、2日後の同時刻にフライトをずらしてもらった。
この場合のフライト変更は、その場で無料で行ってくれたのでとても助かった。
ひとまずスーツケースを抱え、2日後のフライトまで大阪に滞在するための宿泊先を探さねばならない。
Wifiルーターはすでに返却してしまっていたので、大阪の宿を関空のWifiを使って探した。
梅田駅から一駅のところに二泊で5000円台の宿を見つけ、空港を出ようとした時には、終電の5分前。
何がなんでも空港で寝るのは避けたかったために、関空の4階から駅まで走った。
今思えば、とりあえず関空から梅田に移動してしまってから、どこかのWifiを使って宿を探せばよかったのかもしれない。
ところが筆者は、この日に出国するつもりで所持金を全てユーロに変えてしまっていたので日本円を170円しか持っていなかった。
とりあえず入場券150円を買って、あとで支払おうと思い、終電に飛び乗った(ホテルまで行くための終電は22:50、切符を買ったのは22:45)。
ホテルの最寄駅に着いた時、駅員さんに「かくかくしかじかで日本円を持っていなくて...」と説明すると、改札外のセブン銀行まで通してくれたので、支払いを済ませ、ことなきを得た。
今思えば、一応入場券はあるものの、駅員さんのご好意で改札外のセブン銀行に行くことができなかったら...と考えるととても恐ろしい。
おかげさまで、2日間個室のベッドで寝ることができた。
このように2021年4月時点の領事館の情報を見ても、入国前48時間以内のスワブ検体による検査とだけ書いており、時差については書いていない。
関空のグランドスタッフの方からは、ここ数日の間に、たとえイタリア国籍を持ったイタリア人がイタリアへ戻る場合でも、検査は受けたけど時差の問題で搭乗を断ったという話も聞いた。
グランドスタッフの方は、万が一、検査結果の不備でイタリアに到着したはいいものの、そのまま日本に送り返されるという最悪の事態を想定して今回のような対応をしているとのことであった。
3-3. PCR検査のやり直し、再び空港へ
見事に搭乗手続きに失敗した翌々日の朝、この日の夜のフライトのために大阪市内の病院んでPCR検査を受け、再び空港に向かった。
その日の夕方までに検査結果が出たので一安心、検査結果を印刷し搭乗時間を待った。
この2日前に利用した関西空港のラウンジを再び利用した。
閉店間際のラウンジを2回も使うことができたのはラッキーであった。
フライトが延期になったせいで、PCR検査一回分と大阪での宿泊費というように余分なお金を使ってしまったので、ちょっと落ち込んでいたこの時。
ホテルや空港では、ひたすらコンビニおにぎりと焼き鳥で食事を済ませていたのだが、焼き鳥はローソンのもも塩が一番美味しいと感じた。
チェックイン時間になり、カウンターに向かうと今度こそ、問題なく搭乗することができた。
こうして当初予定したフライト日の2日後の同時刻、出国審査を終え、ゲートに向かう。
こうして見ると、関空はマルペンサのようにスチールの冷たい椅子ではないし、スキポールのように寒くないし、実に快適な空港である。
この時に出発する予定だった国際線を見てもわかるように、1日を通してかなり少ないことが分かる。
2021年4月は変異種が猛威を奮っており、世界各地でロックダウンをしていた時だったので、かなり渡航が制限されていたのではないであろうか。
3-4. 無事に搭乗、やはりエールフランスは最高
2日前に乗れなかった飛行機に乗れるということで、気持ちはいつも以上に高揚していた。
席もゆったり三席使うことができ、ゆっくり睡眠を取ることができた。
また謎にテンションが高かったのでアルコールも頼んだ(結局寝てしまったので飲まずに持ち帰った)。
さらにエールフランスでは、長時間のフライト中の替えのマスクも配ってくれた。
こちらはエールフランスのアジアンベジタリアンミール。
きのこおこわが美味しかった。
エールフランスといえば、パンは温かいものを配られる印象であったが、対策のためか完全に個包装である。
パリ到着前の朝食もベジタリアン使用。
おにぎりとフルーツ、脂質控えめで限りなく胃に優しい。
また最後にエールフランスを利用したのは2019年だったと記憶しているのだが、搭乗時に流れるビデオが新しいものに変わっていた。
フランスの見所が次々と登場し、フランスに行きたくなる。
翌日の早朝、パリのシャルル・ド・ゴール空港に到着。
入国審査ゲートは、5:00過ぎになったら開いた。
空港内でも、何箇所か陰性証明書を提示する場所があったため、おそらく電子版でも良いと思うが、紙版を印刷しておいたので提示する時、スムーズに進むことができた。
ラデュレは早朝から営業中。
シャルル・ド・ゴール空港の2Fターミナルでミラノ・リナーテ行きの便を待つ。
シャルル・ド・ゴール空港で夜明けを待つ。
上から順に6:38、
6:57、
7:18に撮影。
機内でもらった謎のハイチュウのようなフルーツキャンディーが割と美味しい。
この頃になると、ベンチに座り、PAULのパンを片手にコーヒーをすする人がちらほら。
すっかり空が白んだ頃、ミラノ行きの飛行機に搭乗した。
結局、関空でのチェックイン時に追加で印刷するように言われた書類は使うことなく、機内で配られた書類をパリとミラノでそれぞれ提出しただけで事足りた。
情報は次々と変わるために、ひとまず空港や機内のスタッフの方の指示に従って言われた書類を準備するのが良いと思っている。
ミラノのリナーテ空港では、荷物受け取りのエリアに机が設置されており、そこでパスポート、陰性証明書、滞在許可証を提示するように求められた。
これらの書類を提示したら意外にあっさりと入国審査は終了した。
懸念していた検査時刻を時差まで考慮してチェックしていたかは不明だけど、長い長い旅が終わり無事に入国することができてホッとした。
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以上が、筆者が2021年3-4月に出入国した時の体験である。
筆者が検査を受けた検査機関が今も海外渡航用の検査証明書に対応しているか、イタリア・日本間の渡航制限はどうなっているかは、どんどん情報が変わっているため、おそらく筆者の情報はもう参考にならないであろう。
あくまでもこの時の体験談として読んでいただければ幸いだと思っているのである。
(文責・写真:増永菜生 @nao_masunaga)
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