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3日目 ”とんでもなく魅惑的な”ふたりの話

日常が戻りつつあると感じながら、「なんか変わっちゃったなあ」と世の中に対して思っているのは私だけではないはず。

すれ違う人はみんな目元しか見えず、その表情はなんだか暗そう。人と話すときは一定の距離を取られ、「その時計かわいいね」と指差して会話なんてできなくて。お店に行っても、透明のシート越しの会話に誰も違和感を感じず、むしろ安心している様子。

外に出れるのは嬉しいけど、別世界を認めざるを得ないこの状況にまだ慣れずにいます。

今回のブックカバーチャレンジ(外出自粛緩和されてるけどやる笑)は、自分の思う理想郷が周りとは別世界だった、話題の本です。

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皆さん『流浪の月』もう読まれましたか?

2020年の本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの作品。

普段いわゆる「話題の本」は、ブームが落ち着いてから読むことが多いんですけど、表紙の写真とタイトルに惹かれて一気読みしてしまいました。ここ最近で1番面白かったです。


あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。「(BOOK」データベース)

事実と真実は違う。個人の解釈や見方で固められた頑丈な”事実”のなかにうずくまっている”真実”。その渦に取り残されてしまった2人は、どのように生きるのか。


読みはじめたら止められなくなって、一気に読みました。

この「わたし」ー主人公の更紗と、文がどうなるのかも気になりましたが、凪良さんが醸し出す言葉の強さと弱さに夢中になりました。

タイトルの「とんでもなく魅惑的」も本作の序盤から引用させてもらいました。ストレートで飾っていないのに、どこか脆くて繊細。アイスのようにドロドロ溶けてしまいそうに見えて、人の心にしっかり染みを作る。そんな世界観に引き込まれました。


夏が舞台なので、今の時期にもおすすめです。ゆったりと落ち着いた夜に、自分の好きな飲み物をグラスに入れて、読んでみて欲しい作品です。





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