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【管理者向け】予実管理の落とし穴

(1)はじめに
 新型コロナウイルスの蔓延で、経済活動が停滞している昨今ですが、3月に入り、期末の追い込み真っ最中という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、支店長など、営業の数字に責任がある方向けに、予実管理の落とし穴をお話します。「期初は不調だったが、途中から盛り返した。この勢いなら予算達成間違いない!」と思っている方は、特に注意が必要です。

(2)この支店は予算達成できるか
 ケーススタディとして、以下の表をご覧ください。
 この支店は、期初、大幅に予算を落としてしまいました。そこで、色々と改善を図った結果、12月から盛り返し、10,11月の未達分を取り返すかのごとく、好成績を収められるようになりました。

下期予算

 さて、3月になりました。副支店長は、表を見て一安心です。「期初は、どうなるかと思いましたが、何とか盛り返しましたね。このままの勢いであれば、下期も予算達成できるでしょう。このままの勢いなら、下期の着地は64千万円くらいでしょうか。」
 それを聞いた支店長は、副支店長に言います。「何を言っている。まだ予算達成の安全域に達していない。3月もハッパをかけないとダメだ。」と。

(3)表面的な数字だけではなく、従業員の心理を考えよう
 副店長の言い分も、一理あります。確かに、最近の同支店は勢いづいています。12月からは、毎月2千万円ずつ実績を伸ばしているわけですから、理屈上は、3月の実績は16千万円となり、下期累計は64千万円になるでしょう。
 しかし、支店長の意見は違います。なぜなら、従業員全員が、下期トータルの数字まで意識しているならまだしも、多くの従業員が、単月予算しか意識していない可能性があるからです。
 従業員が、「3月予算(10千万円)を達成するにはどうすればいいかな。」としか考えてないようなら、3月に達成できる数字は10千万円です。これでは、下期全体で58千万円(48千万円+10千万円)となり、予算未達です。
 ですから、管理者としてやるべきことは、従業員に、単月予算の達成だけではダメであることを周知徹底し、気を抜かないように意識づける必要があるのです。
 このケーススタディの教訓は、
「管理者が数字を見るときは、数字だけでなく、従業員(ヒト)がどう考えて行動するか織り込むことが重要である。」ということだと思います。


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