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ウガンダ人の義父とのぎこちなかった関係 ー第1話

ウガンダ共和国は多数の部族で構成されています。中には、王家を有する部族もあり、ウガンダ国内に、ガンダ王国を含め、5つの王国が存在しています。どの部族に属する方々も、それぞれの文化に誇りをもって伝統を重んじていると思いますが、私が直接体験できるのはガンダ王国のガンダ族の人々の文化です。私の夫はガンダ族なので、私がウガンダの家族と呼ぶのはガンダの人々だからです。

何を隠そう、22年前に夫と出会うまで、ウガンダという国については、全く知りませんでした。日本の事についてさえ無知な私が、ウガンダの奥深く、複雑な文化について語ろうとしても、手に負えない事だらけです。けれど、せっかく知り得た知識なので、私なりに教わった事、発見した事を、書き留めて行きたいです。裏付けが欲しくて、あちこち検索してみましたが、見つからないので、もしガンダ族の方が読んで、「これは違う」と指摘されたら、その時はごめんなさい。

さてさて、前回の投稿は、初めてウガンダに到着し、これから親戚一同とクリスマスのひと時を過ごすために、空港からヴィクトリア湖畔へ直行中の車の中で、話が終わっていました。

ウガンダ初訪問の前にウガンダのしきたりについて知っていたことは

・ウガンダ人は挨拶を重んじ、その場にいる全員の一人ひとりと順番に挨拶を交わす。

・目上の人と話す時は、床に膝をつく

という2点ぐらいでした。

これから行くヴィクトリア湖畔では、一人ずつに向かって、順番に自己紹介をしていくのかしらと考えていました。そんな話を車中でしていた時に、あ、そうそうという感じで夫に言われました。

「お父さんには触らないでね。」

「え!空港で握手しちゃったよ。どうして触っちゃいけないの?」

「お嫁さんに触ると年を取ってから、病気になるんだ」

「病気ってなんの病気?」

「名前はわからないけど、手とか足とかふるえちゃうんだって」

という具合に、既にタブーをおかしていた事に気付かされたのでした。

「きっと、私から手を差し出したから、お義父さんは、怖くて嫌だったけど、咄嗟の事で、拒めないで、手を握り返してくれたんだ。そういえば、一歩後ずさっていたような気もする。ひざまずいて話す事より、こっちの方が全然大事じゃないの??なんで早く言ってくれないの?」と夫を非難するも

「大丈夫、外国人だから、大丈夫。」

1か月程早くウガンダに帰省していた夫は、私もウガンダに到着したことが嬉しかったのでしょう、興奮気味で、私が何を訴えても、ポジティブな態度に変わりありませんでした。

私は心の中で、大丈夫かどうかは年を取ってみないとわからないよね。これからはもう絶対触らなければ大丈夫かな等と考え、大勢の親戚一人ひとりに順番に挨拶を交わすプレッシャーと、お義父さんに既に嫌な印象を与えてしまったかもしれないという不安で、潰されそうでした。

さて、この後、長きにわたって、私は、ガンダ語しか話さないお義父さんと、理解し合えているようないないような、距離感をどのくらいとってよいのかわからない関係が続く事になるのですが、「ぎこちなかった」と過去形にしている事でわかるように、私のこの心配事は、この記事を書いている現在は、すっかり解決しています。ご安心ください。

見出し写真は、たまたま、偶然そういう雰囲気に写ってしまったのだと思いますが、楽しそうに肩を組んで笑顔全開の義母と私を、一歩離れて見守る義父の佇まいが象徴的です。

次回も、もう少し、2019年秋に他界した義父との思い出を書きたいです。




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