日本人にとってどの言語(外国語)がマスター(または学習)しやすいか 〜日本人の語彙暗記労力不要ランキング〜

以前「どれだけの語彙を覚えるか?」

という記事を上げたことがあります。


今回から、個別に少し深く考えて、ランキングを作っていきたいと思います。

前回、語彙の覚える労力で言えば、フランス語、韓国語、中国語のどれかだと。今回は自分の経験則でランキングをハッキリさせたいと思います。

では、日本人が語彙暗記労力不要ランキング、単語覚えやすいランキング第3位は、

フランス語です。

フランス語の利点は覚える単語の絶対数の少なさが特徴的です。フランス語は2000語覚えれば、日常的に使用されている90%をカバーすることができます。他言語では80数%です。そして4000語を覚えれば95%をカバーすることができます。
これはなぜか?英語は日常的に使用されてきた英語の上にフランス語由来の語が乗っかっている語彙体系を取っているからです。フランスノルマンディー公爵によるイングランド征服によって支配者(王族)たちはフランス語を使い庶民派もともとの英語を使ってそれが混ざり合っていきました。
例えば、牛はcattle等ですが牛肉はbeef。豚はpigですが豚肉はpork。これは庶民の英国民が支配者たちが肉を指してbeef、pigと言っていたからで、実はフランスでは食肉牛もその牛肉もbœuf、養豚もその豚肉もporcです。それで支配者たちが牛!豚!と言っていたのを英国民は、「cattleの肉をbeefと言って、pigの肉をporkと言うのね」と思い込んだ結果だと言われています。
ほかの例ならhelpは英語、aideはフランス語
このように英語は古い英語とフランス語との二重構造になっています。これがないのでフランス語は少なくても済みます。
そして、単語の暗記のしやすさですが、フランス語は多く英語と同じなので覚えなくてもすむ単語がたくさんあります。
arriver(到着する), capitale(首都), entrer(入る),  finir(終わる), 
 juste(ちょうど), lettre(手紙), long(長い), place(場所、広場)
まとめフランス語の単語を覚えるのは①語彙数が少なく覚えやすい②英語と似た単語が多く覚えやすい。この二つの利点があります。ヨーロッパ言語でどれがいいかなと思うのならフランス語は一番お勧めします。

では日本人が語彙暗記労力不要ランキング、単語覚えやすいランキング第2位は、

韓国語です。

フランス語のところでいいましたが、英語は庶民の英語の上に高級語(小難しい語、専門用語、学術用語など)としてフランス語が乗っかっていますが、韓国語は韓国語の上に漢語が乗っかっています。これは日本語と全く同じで日本語も和語の上に漢語が乗っかった二重構造ですよね。だいたい日本語も韓国語も漢語が60%です。韓国語の漢語は日本語の漢語と同じものが多く発音も似ていたり、類推可能だったりします。
가족カジョク(家族)、약ヤク(薬)、가전カジョン(家電)、전기ジョンギ(電気)、사회サフェ(社会)、회사フェサ(会社)
韓国語の漢字の発音をある程度覚えておけば新しい漢語が出てきても類推可能で覚える必要がなかったりします。ハングル(文字)を覚えなければならないから手が出ないという人がいるかもしれないが、アラビア語やタイ語の文字に比べてとても簡単で、学び方がよければ1日で覚えることも可能です。しかしなぜ2位かというと、漢語以外の旧来の韓国固有語が40%あり、基本単語はかなり固有語です。固有語は覚えるときに覚える手助けがなく丸暗記しなければならず、これがなかなか覚えづらいです。
まとめ。韓国語の単語を覚えるのは①日本と同じく漢語が多く覚えやすい。という利点があります。

そして日本人が語彙暗記労力不要ランキング、単語覚えやすいランキング第1位は、

中国語です

韓国語で言ったように漢語は日本人なので覚えやすいです。そして中国語はすべて漢語です。漢字の語です。覚える必要がないものばかりです。

英語は英語固有の語の上にフランス語がある二重構造で、フランス語は二重構造じゃないので覚える語彙数が少なくてすむといいましたが、まさに、中国語もそれで韓国語は韓国固有語と漢語2重構造ですが、中国語はすべて漢字の語です。漢語だから覚える必要がないものばかり。
語彙カバー率グラフの中国語はフランス語はもちろん英語よりも単語を多く覚えなければならないと見られますが、実際中国政府認定中国語検定HSKの最高級6級では5000語で合格できると言われています。英検だと5000語は準2級程度でしょうか。英検2級は6000語、準1級は8000語、1級は1万語以上と言われます。語彙数が少ないフランス語のフランス語検定では準1級合格レベルが5000語と言われます。HSKは難度が近々上がるそうですが、と言っても語彙数自体カバー率グラフよりも実際は少ないでしょう。なぜならフランス語と同じく1重構造ですし、漢字の組み換えですから。
そして例えばHSK中級の4級の必須語彙は1200語しかなく、さらに、そのうち3分の1の400語弱が日本人なら既に知ってるまたは容易に類推可能な語彙というから驚きじゃないですか。中国語の中級になるには800語を覚えるだけだと。英検だと中級レベルで5000語以上なのですから。
しかもその日本人も覚える必要がある語も漢字だから容易に覚えていけるものが多いです。
例えば「抬」tái。日本でも戦前は「台頭する」というのを「抬頭する」と書いていました。本来の意味は頭を持ち上げる(顔を上げる)という意味です。「抬」táiは持ち上げるという意味です。日本語の音読みタイ、訓読みモタゲル。手偏に台だから、台に載ってるものを手で持ち上げると覚えたらもう忘れませんよね。ちなみに日本語のモタゲルは、持ち上げるという意味です。こんな感じで覚えていけるのです。

実際、HSKの最初級1級試験は日本人ならわずか数日で合格できます。少なくとも中国語学習歴0日でも、ほかの言語と違ってゼロ点ということはありえません。HSKが日本人だけでなく全世界の人がうけるから。例えば、イヌの写真があって「狗」〇か×かという問題があります。羊頭狗肉(ヒツジのアタマ、イヌのニク)の狗ですね。まあ、ほんとに数日で合格できます。
韓国語もハングル文字を覚えれば日本人にはとっつきやすいですが、中国語が語彙に関しては、「1位」と私は断言します。
まとめ。中国語の語彙は①すべて漢字の語だから覚えやすいし既に知っている②語彙数が少なくて必須語彙が少ない。

番外(あくまでも語彙暗記労力度合いの話です)
エスペラント、インドネシア語、ベトナム語、広東語等

1。エスペラントは人工言語なので語彙も新しく学ぶ言語より容易だと思います。エスペラントはヨーロッパ言語をもとにして作られていて語彙もそうです。フランス語由来の語彙が多いように思います。なのでエスペラントを習得するのはヨーロッパ言語を知っていれば知っているほど習得が早いです。
説明はなるべく省きたいのですが、語彙はヨーロッパ言語由来の語根があり、語尾がoなら名詞、iなら動詞、aなら形容詞といった具合です。例えば、helpiが助ける、helpoが助けです。amoが愛、amiが愛する。あと接頭語、接尾語があってそれを組み合わせて語が作られます。malは反意語。ulは人。ejは場所。bona良い、bono善、bonigi良くする。malをつければmalbona悪い、malbono悪、malbonigi悪くするなど飛躍的に増えます。またsanが健康の語根でmalsanulejoが病院です。sano健康、malsano病気、malsanulo病人、malsanulejo病院となります。と、ここまではエスペラントの宣伝のようなもので、実際基本単語数百を超えてしまえば、造語方法は使わず(使えず)ヨーロッパ言語由来の語をかたっぱしに覚えて行かないといけないようになります。所詮ヨーロッパ由来の造語方法なので、漢語圏の造語力には及びません。だから初級を終えたらとたんに語彙が覚えづらくなっていきます。
ただし、ヨーロッパ言語由来の単語なので比較的覚えやすいです。sanが健康だといいましたが、サナトリウムやサニタリーを知っていれば容易に覚えられます。
これがインドネシア語だと覚えにくい。ヨーロッパ言語でも漢語でもなく違う体系のため基語を覚えれば派生できるとエスペラントのような造語方法なのですが。インドネシア語は宣伝文句に世界一簡単な自然言語と言われますが、単語の覚えやすさだけで行くとかなりランクは低くなります。
2。ベトナム語は実は中国、日本、韓国と同じく漢字文化圏です。そして日本語や韓国語よりも漢語の使用率が高いと言われます。日本語が50~55%、韓国語55~60%、ベトナム語は60~65%で漢語由来です。なので英単語をある程度知っている日本人にとってヨーロッパ言語のぞけば、覚えやすいといってよくランキングも上位になろうかと思います。ただ韓国語と同じく固有語は漢語ではないので(チュノムという固有漢字は昔あったが)、それは覚えにくいです。また漢語も韓国語が日本語と同じものが多いのに対して、違うことも多いです。
3。広東語等は中国語(普通話、いわゆる北京語)と同じですべて漢字なので覚えやすいといえば覚えやすいと思います。ただ、中国語とは違う言語なので固有の漢字があります。公式文章は英語そして今は中国語で、広東語自体標準化されたことがないしゃべり言葉なので体系的に整理されてなく、地域によって語が違う不便さがあります。漢字表記も定まっていません。たとえて言うなら日本語でいうと、関西弁が方言レベルではなく他言語レベルになった感じでしょうか。しゃべり言葉で標準化されてなく、書き方も統一されてなく、大阪や京都など地域で違いがある。でも漠然と関西弁というのはあるわけです。広東語は圏外というより不定としました。ちなみに、エスペラントとベトナム語の語彙の覚えやすさは上位だと思います。インドネシア語は上位には来ません。

いかがでしたか?学生時代に英単語を覚えるのに苦労したという人なら、今回の記事を参考にされてはどうでしょうか。また、文法(語順)や発音ランキングの記事も今後書いていこうと思います。

日本人にとって容易な語順ランキングも書いてます↓↓↓



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