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「マードレス 闇に潜む声」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオオリジナル作品。
ブラムハウスの作品という事で結構期待して観たけど面白かった。

ジャンル映画としての手堅い面白さ

主人公が食べる物を不穏に見せる「ローズマリーの赤ちゃん」とかでも観る描写とかもそうだし、椅子を傾けてキコキコ座る所等、主人公が妊婦さんだからこそ見ていて怖いと思うホラー演出が上手いし、ただ電話しながら人参を切ってる所とか、こちらの実生活と繋がるちょっと嫌な気持ちになる今にも何か起こりそうなカメラの寄りとか音楽の不穏さの表現も良かった。

冒頭の「人生は短い」というやりとりで、旦那さんはスペイン語は出来るけど主人公が英語しか出来ない事をサラッと説明するくだりとか、その後引越し先の街を車で走る時に英語以外お断りの張り紙が貼っている食堂の嫌な雰囲気をさりげなく見せたり、すでに冒頭だけでその後の展開を示唆する様な不穏さの伏線が張られている感じが語り口としても無駄が無い。
上映時間も83分というタイトさで、映画館と違い集中し辛い配信作品として、かなり好ましいと思った。

現実と繋がり重み

ホラー映画としても一定の面白さはありつつ、この作品の素晴らしい所はそういうジャンル映画として終わらない所だと思う。
普通にここで終わりと思ったタイミングの後、ある登場人物のその後を描くエンドクレジットの映像がかなりビックリした。この描写が入る事でジャンル映画として観ていたのにこちらの世界と繋がってくる恐怖を感じる。
元々実話をもとにしているとは映画の最初に出るのだけど、僕はこの映画のベースにあるアメリカのメキシコ系の妊婦さんの背景等、全然知らなかったので、より映画の内容の重さが増してきたし、ただホラー映画として観て面白がってちゃ駄目だと、映画の中から言われてるみたいでドキッとした。

終盤に彼女がある真相にたどり着いた時に、これまでの被害者達の声を目にするシーンがあるのだけど、ここもやっぱりエンドクレジットの後、思い返して重みが後から響いていくる感じで切実な痛みを感じて凄く切なくなった。

ただ正直描き切れてない登場人物とかもいる気はしていて、霊媒師的な雰囲気の雑貨屋さんの女性とかのエピソードはちょっと消化不良だった気もする。
彼女の目的とか背景とが、個人的に結構分かりにくかったのでもう少し描いた方が良かったと思う。

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