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チームH、離陸 〜noveljam 2018秋 生還録〜【その2】

著者/編集者/デザイナーが入り乱れて戦う2泊3日の小説ハッカソン「noveljam」での強烈な体験を経て、何もかもが変わりました。八王子で味わった天国と地獄、そこから見えてきたことを赤裸々にレポートします。

 今回から、同チームでデザイナーを務めた米田淳一さんのチャンネルで配信された「noveljam動画参戦記」のタイムラインをなぞりつつ、進めていきたいと思います。

本記事で取り扱う時系列
■一日目
12:00 受付開始
13:00 オリエンテーション開始
13:30 自己紹介
14:30 チームマッチング
15:30 チームビルディング
16:00 チーム内交流
16:30 三木一馬氏講演
17:30 お題発表
18:00 夕食・チェックイン
19:00 エブリスタ・BCCKS・noteの説明
※ 二日目、三日目は本記事以降

前回までのあらすじ

自伝風やらかしプレゼン録、という誰得コンテンツをのっけから披露
・ずいぶん場を荒らしてくれたけど、あそこまで取り乱した理由って結局なんなの?
・というわけで、そこまでの道のりを一日目からさかのぼります

意気ごみ

 参加までの経緯については、これまでさんざん放言してきたので多くは語りません。話の運びとしてはかなり乱暴で申し訳ないですが、ここでは省略します。
以下の記事を参照いただけると、そのときの熱量がわかると思います。
「noveljamに至るまで」
つきぬけの自己紹介 -Noveljam2018 Antumn-
 その「熱の使い方」がとかく問題だったわけですが……そのへんは長くなりそうなので、レポートが終盤に差し掛かったころに触れます。

前日準備

 開催前夜までに、つきぬけが最低限やっておこうと思っていた準備を以下に列挙します。

・著者作品の写経────参戦予定の著者さんの作品を、アトランダムに選んで1,000文字ほど書き写す。基本的な文体や雰囲気をつかもうとした・編集方針の決定────技術書のリライト方針を、自分なりに小説仕様にアレンジした・セルフnoveljam────初参加のハンデを軽減するため、土日を食いつぶして疑似的なnoveljamを試してみた。結果は間に合わず、未だ連載中・プリンタの動作確認────プリンタが混むことを参戦記などで聞きかじっていたため、ハードウェア面で戦力差を縮めようとした

 これらの試み自体に後悔はないものの、あまりにもいろいろな施策を網羅しようとして、作業量がオーバーフローしていた感が否めませんでした。
 それでも、手が回らないながらとりあえず一通り試してみて「後は本番でよしなにやるしかないな」というノリで、プレッシャーが極大値に高まる開催前夜を通過しました。

チームビルディング

 会場までの道のりで特に印象的なエピソードはなく、強いて言うなら手持ち道具(プリンター含む)が多すぎて、八王子駅からセミナーハウスヘの移動にタクシー使ったことぐらい。

 自己紹介の内容はあらかじめ決めていたので、自己紹介記事の見出し「編集とは何だと思いますか?」とまるっきり同じことを喋りました。
 ただ録画を見返してみると、「著者の核を引きずり出して融合させる」というビッグマウスのわりには覇気やキレがなく、ぎこちない様子でした。
 参戦への熱はあれど、それをエネルギーとして変換できずに発散させてしまっていたのかもしれない……と今は思ったりしますね。

 恥ずかしながら、編集者側にはそもそも選択権がないと思い込んでいました。ですので用紙が配られてから時間がなく、フィーリングで即決しました。
 著者さんは、事前の文体チェックで直感的に「いいな」と思った方にお願いしようと思いました。希望させていただいたのは今回『【大好き】センパイを双子コーデでコロしてみた!』で見事米光賞を獲得した西河理貴さん。西河さんとは宿泊の際も同部屋で、いろいろとお世話になりました(次回で触れます)。
 デザイナーさんは、さまざまなハッカソンを経験されており、グラフィックレコーディングなども手がけている、CAROLさんを希望させていただきました。
 つわもの揃いの編集陣を見るかぎり、さすがに希望通りには行かないだろうと思っていたので、スプレッドシードが埋まっていくのを大人しく待つのみでした。
 編集方針をまとめた記事をまだ所々いじっていて、そろそろ固まったかなとスクリーンをちら見したところ、そこには錚々たるメンバーが。

『帰りゃんせ』著者のベテランシナリオライターさん。
書くことを仕事にされているというバックボーンと、気さくで何でも話せる人柄でとにかく信頼感のある方でした。フィードバックのサイクルが非常に速かったのが印象的で、2日目でほぼ完成形が出来ていました。
いただいた『帰りゃんせ』原稿もシナリオの骨組みが堅牢で、多少の変更が入っても揺るがない安定感がありました。そして脱帽せざるをえないのが、流石の執筆スピード。現在も「百物語企画」をSR-71もびっくりの極音速で進めています。

そして著者#2は、

実を言うとチーム発表の瞬間まで、今回のnoveljamにエントリーされていることをまったく知らずにいました。
“ギター特化”のグルーヴ感あふれる作品を紡ぎ、noveljam初回の優秀賞に輝いた電書作家さんです。
澤さんが去年に出した「noveljam回顧録」に勇気を貰い、参加表明の記事もがっつり支持いただいて大変嬉しかった記憶があります。
noveljam以前からギターをテーマに電子出版を続けられており、端的で余計なものが一切ない、それでいて静かに燃えたぎる文章はまさに職人芸というべき。「書けるひとが損をする」という講評にのたうち回るのも、そこに共鳴したからこそでした。

そしてデザイナーを担当された、今回で出場3回目の米田淳一さん。
 画像でも二つ名として書いてありますが今回のデザイナー枠でついにマルチロールを達成しています。「お願いして即納品」というと極端に聞こえますが、実際にそのぐらい手が早い方でした。初参加ゆえの戸惑いや足並みの揃わなさなども、遠隔ながら色々とアドバイスを貰いカバーいただきました。
 他2つのロールを既に経験済みということで、オペレーターとして支援してもらっているような安心感がありました。
(本来オペレーションは編集がやるものです)

 こうして歴戦のファイターが味方についたチームH、名前はRISE(上昇)に決定。早くも「いけそう」という気をムンムン感じておりまして、前日準備で睡眠リソースが不足気味だった頭が再起動しました。

アイスブレーク

 アイスブレークとは、初対面の緊張をときほぐすための諸手法のこと。
 1日目のプログラムには、初対面同士の交流として「チーム内交流」という時間が設けられており、ここでよしなに自己紹介や方針決めをするわけです。ここで少しひねりを加えて試してみたアイスブレークが、次の動画になります。

 ご覧の通り、大したことは何もなくてひたすらQ&Aを繰り返すだけのヒアリングです。その際のスプレッドシートへのリンクがこちら
 即答しづらいような重めの質問がいくつか混ざっていますが、交流ではなくプロットの発想用に考えていた質問でした。「破」や「平成」のような発想が難しいタイプのキーワードが来るかなと思っていたので、そういう場合にアイデア出しを補助したいという意図がありました。
 遠隔参加の米田さんにもスプレッドシートを通じてライブ感が伝わっていたようで、これから脳を酷使するための柔軟体操として楽しい時間を過ごしました。

三木さん講演で昇るモチベーション

 そのあとに控えていたのは、『ソードアート・オンライン』などのビッグタイトルを担当したベテラン編集者、三木一馬さんの講演。
 三木さんがおっしゃる「著者そのひと自身の人生を引き出して追体験する」というのは、考えてみればとてつもなく贅沢な体験。その領域にまでたどり着くのは途方もない道のりですが、それをハッカソンとして極限まで圧縮しようと試みたのがnoveljamなんだな、と納得しました。
 自分がうまくnoteや自己紹介で伝えられなかった点を端的にまとめていて、まさにやりたかった、やろうとしていたことを言ってくれたと思いました。
 著者のやりたい事(家訓)を体現させるように編集者が動く。それは「著者のカタパルトになる」と過剰に演出するまでもなく、理想として当たり前なんだな……という気づきもありました。
(「だから本当は◯◯するべきで……」という不毛な反省会が始まりそうなので、こちらも後回しにしますw)

お題発表とプロット作成

 興奮冷めやらぬまま、前置きゼロ・スライド一枚で身構える暇もなくお題が提示されました。

 会場の反応はというと、どよめいたり湧き立つこともなく、各々が「なるほどね、どうすっかな」と思慮している様子が見受けられました。
 「平成」ほど拘束力がなく発想が自由な反面、いかようにも解釈できるので物語の軸がブレやすいな、というのが率直な感想。悩みどころですが、とりあえずアイデア出しに移ることにしました。

 開催ー週間前には、ランダムなお題を自分に課してセルフnoveljamしていたわけですが、そのときのお題は「音」でした。そこから物語の輪郭が浮かぶまで2時間あまり、プロットに書き起こす作業で数時間かかりました。
 そのような見積もり感から「なかなか決まらないだろう」という思い込みがありました。がっつりブレインストーミングなんかも考えていたプロット作成タイムですが、著者のお二人は「これで行く」という道標がかなり早い段階で出来ていたようでした。
 日野さんは前から書きたかったという童謡ネタに「家」というワードをつなげ、澤さんはギター小説の文脈から「家」を再定義されていました。

◆ ◆ ◆

 この辺りから執筆開始のゴングが鳴るわけですが、著者をカタパルトに載せて放り投げるというよりは、著者自身の推進力でぐんぐんと上空へ奮進していくという様相を呈していきます。

 第3回(1日目夜~2日目昼)では、それについていくのに必死だったという話と、原稿に恋してしまったという話、それがゆえに見落としてしまったもの、などについてレポートしていきたいと思います。

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