関東ブロック代表・千葉県立松戸高等学校『ゴリラゴリラゴリラ』(作、阿部順)

学校、演劇部概要

1919年(大正8年)創立。長い間女子校でしたが、2004年(平成16年)に共学化、去年は創立100周年を迎えました。共学化と同時に同校の1番の特徴である芸術科(美術)が新設されるとともに、「演劇」の授業がスタート、現在では演劇の授業は2・3年生が延べ100人以上選択しています。2年生は週に2時間、3年生になると最大8時間演劇の授業が選択できます。演劇の授業では話し方や体を動かすことから始まり、エチュード(即興劇)、作品作りまで行っています。通常の演劇学科ではプロの俳優が中心で行うところが多いですが、松戸高校では教員が積極的に参加していて、コミュニケーションに力点が置かれています。
演劇部の部員は41人で、演劇授業用の実習室で練習しています。演劇部は定期的に見学会を行っていて、演劇をやりたい子が集まり、日々活動に励んでいます。顧問を務める阿部順先生は薬園台高校時代に全国大会に3回、県立松戸高校で3回全国大会に出場、うち優秀賞3回を獲得しています。

コロナ禍の部活動

学校では3月頭から休校がはじまり、5月末まで続きました。その間にWEB総文の開催が決まり、阿部先生はがっかりして、「高知で上演したかった、高知でカツオのたたきを食べたかった」と嘆きのメールを全国大会上演校の顧問たちに投げかけたそうです。生徒には「しょうがないとあきらめる前に悔しがろう。その後でコロナのせいでできなかったことを数えず、コロナのせいでできたことを増やそう」と鼓舞し、その後、代替大会の話が持ち上がって盛り上がり生徒のモチベーションを上げていきました。ただ、新型コロナウイルスの感染者数が増加したため、結局代替大会も中止になり、ならばと全力でWEB総文に向き合うことになりました。そこからは、せっかくなら普段観てもらえない人たちに触れてもらえる機会にしようということで練習をつづけました。
6月15日から1日1時間だけ部活が再開、7月からは通常通りの時間で部活ができるようになりました。部活をしている場所は広めの空間ではあるのですが、40人以上集まってしまうので、換気をよくした上で、他の場所も利用して分散稽古したり、休日や夏休みには1年生と2・3年生を午前午後で別れて練習することで密集状態を回避しました。動画の撮影は8月上旬にホールで行いましたが、抱き合うシーンなどがあり以前と同じバージョンではできないため、動きを変えたり、近い距離で演じたものを離した形にするなど工夫しました。阿部先生によると、結果的に以前とはまた違った面白い作品になったとのことです。

あらすじ

大学の文系学部に進学した女子大生が主人公。たまたま出会ったニシローランドゴリラに魅せられ研究者を志します(タイトルの『ゴリラゴリラゴリラ』はニシローランドゴリラの学名)。彼女はゴリラとコミュニケーションできるほど努力を重ね、親友のゴリラができ研究者の道へ突き進みますが、結婚・出産を経て彼女の出自が明らかにされ・・・。阿部先生がゴリラ研究の第一人者・山極寿一氏や動物学者ダイアン・フォッシーの著作などに着想を得て執筆した作品。場面転換の鮮やかさ、そして主役をはじめとする役者の演技の見事さなど高校演劇の王道を知る上で必見の作品です。

作品はこちらからご覧いただけます。
https://www.websoubun.com/dept/theater/page/004.html

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