精神科の強制入院、どうしたらいいか

1か月以上前ですが、毎日新聞に以下のような記事がでました
「患者数13万人 精神科の強制入院、批判強いのになぜ維持されるのか」

まず記事の内容について
20代女性が強制入院についての不服を訴えています
入院するまでのプロセスでどのような説得があったかわかりませんが、もしかしたら説明が不足していたかもしれず、説得により強制ではなく任意入院でできたのかもしれません
記事を読む限り、入院時は保護室で隔離になっていたのでしょう
隔離が必要な病状という事は、それなりに状態が重いということなので、
(記事では自傷の可能性があった)
その場合は任意入院というのは難しいかもしれないです
患者の意思を尊重するのか、命を尊重するのか
指定医1名で、強制入院を決めると言うありかたが改善されれば、もう少し強制入院はへるかもしれません

難しい問題なのですが
強制入院は減らせるし、運用方法を変えられるが、廃止することはできない
というのが妥当な所ではないでしょうか

強制入院を減らすにはどうしたらいいか
①入院治療が必要な状態であることを繰り返し説明し、任意入院してもらう
→本人も納得しての入院なので双方わだかまりは一応ない。入院後に気が変わってすぐ退院になってしまう可能性がある。説得に時間や労力がかかる場合がある。繰り返し説得している間に更に状態が悪化してしまう可能性がある。それも本人の責任なのでということで、強制入院はできるだけしない。
②入院治療が必要だが、どうしても入院したくない場合、出来得る限りの支援体制を整えて、在宅で療養してもらう。
→外来にこまめにきてもらって主治医に状態をみてもらうとともに、必要に応じて、内服確認などの目的で訪問看護などのサービスの利用をしてもらう。外来にもまめに来てもらう。①と同様に結果として状態が悪化してしまう可能性はあり、結局より悪い状態で強制入院にならざるを得ない場合がある。本人の意思は最初は尊重したが、最終的には尊重されない。
③強制入院制度を利用しにくくする
措置入院では指定医2名で診察している。医療保護入院も指定医2名にするなど。しかし医療保護入院を措置入院のようには地方ではできないだろうから、現状では実現は困難。アメリカなどでは裁判所に申し出るなどしているよう。
それとは別に、認知症や知的障害のある患者の場合は特にそうで、それ以外でも、入院すると最初は言っていても、しっかり理解しているかわからない、すぐに退院すると言いだしそうな感じがする場合に、念のため医療保護入院にすることがある。念のため医療保護入院を減らせば、原則入院しますと言っている人を医療保護入院にできないとすれば、強制入院は数としては減らせるかもしれない。

精神保健福祉法の改正によって、入院者訪問支援事業が始まります
市区町村同意による医療保護入院の方に、本人が利用を希望する場合に、外部から研修を受けた支援員が訪問して本人の訴えを聞くと言うものです
初めからすべての医療保護入院の方を対象にするとマンパワーが足りないので、市区町村同意の方のみを対象にしたということでしょうか。
「本人が利用を希望する場合に」とあるので、利用を希望しなかったり、場合によっては案内されず知らない場合には、利用することができません。
案内は自動的に手紙などが送られてきて知らされると言うシステムになるのかもしれませんが。
これも結局強制入院したあとの話なので、入り口で強制入院を減らすことにはならないですね。

強制入院を廃止できない理由は、例えば認知症で単身生活の方で、生活が破綻しているが、入院を理解できないような方の場合どうするか。
施設に入ると言ってくれればよいですが、それも難しい場合が多いでしょう。入院でなくて、セルフネグレクトという事で施設に強制入所?それも強制になりますね。施設で対応できないような場合はどうなるのか、など。
認知症を統合失調症や双極性感情障害に置き換えても同じですね。

症状が悪くなり着る前に、早期発見・早期治療が理想的・・?
そうなると、我々の生活に医療がかなり深くまで介入してくることになります。今回のコロナで予防医療のために生活の仕方にいろいろ指図されるような生活が、精神科医療の側面からも言われたいでしょうか・・?
難しいですが、全てを解決する方法はないので、常に模索していくしかない、という凡庸な結論に至るしかないですかね