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怖い話をしていたら、ベッドの下に風が吹き込んできた話

怖さ:☆☆☆ 

今から20年以上前の話になりますが、私が留学していた時に同室だった友人に起こった出来事です。

私たちの暮らしていた部屋は、学校の寮の一室で、部屋に入ると左右の壁に木の棚が並んでいて、その奥にベッドがやはり左右の壁に付けて置いてあるだけの、殺風景な部屋でした。トイレや洗面所、シャワー、調理場は各階にあって、ほかの寮生と共用でした。

ベッドの間には1メートルと少しくらいでしょうか?人が通れるくらいの幅があって、ベッドの頭の方に、大きな窓がひとつありました。

部屋には机もなく、ベッドの上にノートを広げて、宿題でも何でもやっていました。冷蔵庫もありませんでしたが、寒い国だったので、食料品などは窓の外にぶら下げておけば、冬は冷蔵庫(冷凍庫?)代わりになりました。

私の同室の友人はイタリアから来た人で、料理が上手かったです。いつもパスタや肉料理など、夕ご飯を作ってもらっていました。

さて、そんな彼とは毎晩、お互い母国語ではない言語で、その日学校であったことや、故郷のことなど、つたない会話を楽しんでいました。

ある冬の夜、2人で怖い話をしていた時のことです。急に彼が「うわっ!」と声をあげました。

「どうしたの?」

と聞くと、「ベッドの下に風が入っていった!」と驚いています。ベッドに腰掛けて話ていると、足の間を抜けて、ベッドの下に風が吹き込んだというのです。

寒い冬だったので、窓は閉めていましたから、部屋の中に風が吹くことはありません。「おかしなことがあるね」と、その日はそれで終わりました。

その翌日か翌々日(わりとすぐだった覚えがあります)、彼が母国に国際電話を掛けた時、母親から彼のことをかわいがっていたおばあさんが亡くなったことを聞きました。

友人は「あの風は、きっとおばあさんの魂だ」というようなことを言っていましたし、私もきっとそうなんだろうと思いました。

彼のおばあさんが亡くなった時刻と、風が吹き込んだ時刻が一致すれば、本当に怪談らしくなるのですが、あいにくそこまで確認できるほどの語学力はなかったので、その辺は今もわかりません。

ところが、それからさらにしばらくたった後のことです。

部屋の中でその友人を撮った写真の中に、窓の外に人の顔のようなものが写り込んでいる写真があるのを発見しました。

これはもしかしたら心霊写真?と2人ではしゃいでいたら、それを見た共通の友人(女性)が「母がそういうのわかる(霊感がある)から、聞いてきてあげる」というので、写真を預けました。

数日後、彼女の母親からの言葉は、「おばあさんが見守っている」ということ。

写真を見せた女性の友人やその母親は、同室の友人のおばあさんが亡くなったことは知らないので、不思議だなと言いながらも、「きっと、亡くなったおばあさんが様子を見に来たんだね」と同室の友人は嬉しそうでした。

話し手:20代 男性
採取時期:2000年くらい
採取場所:モスクワ

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