リアルの「スタンプ」共存模索 知恵絞るハンコ産地に思う
書や絵画の完成を示す落款印は「手紙やはがき、名刺に押して気持ちを伝えるコミュニケーションツールになる」と、同町や業界団体「六郷印章業連合組合」と協力して初のフェアを企画。7日間の期間中売り上げは目標の1.4倍に達した。
(上記記事一部抜粋)
脱ハンコ推進派
零細企業の情シス兼事務をやっていた時に、各社と調整して請求書への角印の押印を無くしたり、基本契約書づくりで色々面倒な思いをしてからというもの十数年、私は脱ハンコ推進派なのですが、折角なのでハンコの生きる道について考えてみようと思います。
契約での利用は減少
とは言え、ハンコを法人で使うには、管理が煩雑(管理を適当にすると色々大変)ということと、押印のために出社が必須である(時勢にそぐわない)という点を考えると、効率を重視しなくてはならない法人の契約から物理押印が消えていくことは自明です。
そうなると、活路を個人間のやり取りに求めることになりますが、個人間と言えども契約には電子証明を利用するようになると考えられるので、契約以外での用途での活用を考える必要があると思います。
そこでコミュニケーションツール?
そこで、上記抜粋の”落款印は「手紙やはがき、名刺に押して気持ちを伝えるコミュニケーションツールになる」”という流れになると思うんですが、気持ちが伝わるかは疑問です。
例えばWordでドキュメントを作って印刷して送るのであれば電子メールでよいと考える人が多いと思います。そのため、個人間で手紙やはがきを送る理由というのは、日ごろの感謝を伝えたい場合など、手書きの臨場感を伝えたい場合に限られてくるのではないでしょうか。
手紙やはがきに文字や絵を手書きするというのは、圧倒的に落款印を押すよりもコストがかかり、臨場感も伝わります。その前提に立つと手書きの手紙に落款印を押すことによって伝わる気持ちが増加すると考える人は少ないのではないでしょうか。
また、この新聞記事のタイトルにスタンプと入っているのは、チャットツール(LINEなど)のスタンプがコミュニケーションツールとなっていること、とかけたのだと思いますが、チャットツールのスタンプの良さは、大量に選択肢があることによって、テキストの代替となりえる点だと思います。そういった使い方はアナログのハンコではできないので、あんまりいいタイトルとも思えないです。
上記のような点から、コミュニケーションツールとして利用されるのは現実的とは思えませんでした。
じゃあ、どうするか?
着物を日常で着るには、洋服と比べコストがかかり過ぎます。それにもかかわらず、一部の方は現在でも着用されています。これは趣味嗜好の分野(着物がカッコいい思っているから)だと私は考えています。
ではハンコ、特に落款印はどうか?というと、これはこれでカッコいいものです。なのでコミュニケーションツールというよりはカッコよいものとして売っていく方が、細いながらも生き残っていける道なのではないかと思います。
例えば、書道教室と提携して落款印を売ってもらうとか。年賀状に落款印を押印する文化を押してみる(ハンコだけに)とか。引用部分に記載されてますが、名刺に押すというのもコミュニケーションツールと言われると、納得できませんが、カッコいいと思ってるから押すであれば府に落ちます。
ということで、LINEのスタンプのようなコミュニケーションツールとか気持ちを相手に伝えるものではなく、そういう特定の嗜好を持った人に刺さる自己満足ツールとして、生きていくのはどうでしょうか。
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