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新書らしい新書だなあと思いました

コロナが落ち着いてきた東京のハロウィン。例によってテレビの情報番組は渋谷の様子を伝えていました。

こんな時に渋谷へ出かけて行くなんて信じられないと思っていたら、「数年前のこの日」としてOneDriveがこんな写真を出してきてくれました。喫茶店で美味しいスイーツを食べている写真ですが、この日の晩(夕方?)に丸善&ジュンク堂書店渋谷店でトークイベントがあり、それを聞きに行ったのでした。

書店が入っている東急百貨店のトイレに「ここで着替えないでください」という貼り紙があったのですが、最初は意味がわからなかったのも自分がもう若い感性とは無縁だということの証左でした。駅までの帰り道は予想どおりの人混み、もうこんな日の渋谷に二度と来るものか、と思ったものです。

閑話休題。最近読んだ現代新書です。『遊廓と日本人』です。

読み始めてじきに感じたのは、非常に新書らしいなあということです。

人によって新書に対するイメージがあると思いますが、あたしにとって新書とは、専門書のように堅苦しくなく、もちろん難しくもなく、門外漢にも気軽にその分野のことをさらっと知ることができるもの、です。「学ぶ」というよりも「知る」という感覚です。

その前提で見ますと、本書は実に新書らしい新書なのです。小難しいことに入っていくわけではなく、さらっと吉原について知ることができます。広く浅く、まさにあたしが考える新書の醍醐味、真骨頂です。

昨今は、非常に分厚い新書が増えてきましたし、一昔前であれば単行本として刊行されていたであろう内容のものが新書の形で刊行されるケースが増えていると感じます。出版社としては、内容が難しく値段も高くなりがちな専門書を売るのは、このご時世では非常に厳しく、手軽なイメージのある新書に活路を求めるのもよくわかります。

でも、それをやりすぎると、専門書の棚がスカスカになってしまいますし、棚の品揃えとしても問題が生じてくると思います。どうしてこんな風になってしまったのでしょうかね?


そんな分厚くて歯応え十分な新書に最近は慣れてしまっていたので、この『遊郭と日本人』は非常に新鮮であり、懐かしくもありました。新書で物足りなければ単行本、専門書へ進むのが本来だと思いますので、「新書というのはこうでなくちゃ」という新書がこれからもたくさん刊行されると嬉しいです。

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