知らない=恥ではない 〜求める道に必ず誰かがいる〜

第7回

2010年(平成23年)12/10 島原新聞掲載

診療情報管理士という言葉を聞いたことがありますか?耳慣れない言葉だと思います。診療情報管理とは、患者さんのカルテ(診療録)を適切に管理することです。いわば病院のカルテの司書のような役割で、個人情報を守る上でも必要な仕事となっています。私は今、診療情報管理士として働いています。

この資格を取って仕事をしてみたものの、最初は分からないことばかりでした。そこで他の病院ではどんな風にして仕事をしてるんだろう?と思い、知り合いの診療情報管理士仲間に声をかけ、お互いが知り合いを誘って食事会をしました。

皆、「業務の進め方が分からない」「相談できる人がいない」といった悩みを抱えていることが分かり、この時のメンバーで長崎診療情報管理勉強会(通称「子ヒム」)を立ち上げたのです。命名は診療情報管理の英語表記Health Information Management HIM(ヒム)と長崎診療情報管理研究会の下部組織として誕生したことから、子ヒムと名付けました。

それまで会の発足などしたことがなく、全てが手探り状態でありましたが、ただひたすら一生懸命に取り組み、楽しかったと記憶しています。

子ヒムを始めて最初に決めたルールは「そんなことも知らないの?」という言葉は使わないということです。

もし皆さんが、何かわからないことがあって質問した時に「そんなことも知らないの?」と言われたらどんな気持ちになりますか?

おそらくガッカリし、ますます恥ずかしくなり、次から質問しにくくなるでしょう。「聞きたくても聞けない」という状況になることを一番避けたかったので、このルールを設けました。そうすることで、病院の規模や資格の有無に関係なく、知らないことは恥ずかしいと思わずに、お互いが相談しあえるような雰囲気が出来あがりました。

徐々に参加メンバーは、それぞれが悩んでいるのは自分一人ではないということに気づき、自分の職場で自信を持って仕事ができるようになったそうです。最初の第1回は8名で始めましたが、会の活動に興味を持つ方が出てきて、16回を迎える今では40人ほどまで増えています。参加メンバーは県内各地(長崎、佐世保、大村、諫早、島原)から集まっています。

どの仕事にも共通していることかもしれませんが、悩みを口に出してみると、案外「私もそう」という答えが返ってくることが多いのです。「こんなことを言ったら恥ずかしい」と思わずに相談してみることから、解決の糸口が見つかることもあります。

皆さんも悩んでいることがあれば、気心の知れた人に相談してみることから始めるといいかもしれません。

一人一人の力は小さいけれど、同じ目的意識を持つもの同士が集まって行動を起こすと、道が開けてきます。今まで、私の前には大きな壁がありましたが、会を立ち上げて仲間が増えることにより、壁だと思っていたものが、上に登る階段へと変化したのです。

同じ思いを持っている人が必ずどこかにいるはずです。あとはアクションを起こしてみてください。踏み出した一歩は必ずあなたの行きたい道につながっています。その道には必ず誰かがいるはずです。

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