「パターだけでゴルフをする家族 なぜドライバーを使わないのか？ そのやり方はホントに正しいんだろうか」
その家族はパターだけでゴルフをしていた。
父親も母親も子供にパターを握らせ、広大なゴルフ場をプレイさせていた。
不思議におもった男は
「なぜドライバーを使わないのですか？」
と聞いた。
広大なフィールドをパターだけで遊ぶのはどう考えてもおかしく思えたからだ。
すると父親は答えた。
「いいんです。私たちはずっとこうしてプレイしたきたのですから」と。
そういって、家族はパターでゴルフボールをゆっくりと進めていた。
「よかったらドライバーを貸しましょうか？ そうすれば、一気に進めますよ！」
そういうと母親は微笑みながら甲斐甲斐しく、断ってきた。
「いいえ、大丈夫ですよ。こうやっていくのがウチのプレイの仕方なので」
「そうなんですか。ではお先にいかせていただきますね」
仕方なく男はドライバーで、ショットを打ち、一気にボールを進め、先に行くことにした。
ワンショットでボールは遥かかなたへ。そして、ボールを追った男はすぐにみえなくなった。
男が去った後に子供が不思議そうに聞く。
「お父さん、どうしてウチはああいうふうにしないの？」
「いいんだよ。父さんはずっとパターだけでプレイしてきたんだ。ドライバーなんて使うもんじゃない」
そういって父親はケースから一度も出したことのないドライバーに目をやった。
「そうそう。あんなに大きく飛ばしたらどこにいくかわからないじゃない」
母親も同意する。
そして子供はしかたなくパターを振る。
コツンと進むボールの進む距離はわずか。
子供は疑問に思う。
どうして父さんも母さんも、さっきの人みたいにドライバーを使わないだろう。
はやく先に進みたいのに。
「父さん、僕ははやく進みたいんだ」
しかし父親の答えは決まっている。
「だったらはやくパターを振るんだ。そうすれば、前に進むだろう」
本当にこのやり方でいいのだろうか？
いつになったらぼくはホールにボールを入れられるのだろうか？
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