束の間の食事

「ふぅ...」

 

戦いは終わり、ひと時の平穏を平穏を取り戻した村に一晩お世話になることになった。

 

「あっ、てめぇ!オレのステーキ肉食いやがったな!返しやがれコノヤロウ!」ガシッ

 

というのも、もうすでに日は暮れており、オラリオに行くには危険だと判断したためである。

 

夜間は視野も頼りにできず、活性化するモンスターもおそらく出てくるだろうし、死んでしまってはどうしようも無い。

 

「ハハハ。いやぁ、お肉嫌いなのかなと思ってさ。良心でやっただけだよ。だからそろそろ揺さぶるのやめてくれないかな?なんか色々でそう」ユサユサ

 

無理する必要も今は無い。

 

実際疲労も溜まっていたので、助力してくれた僕達に恩を返したいという村の人達のご好意に預かることになったのだった。

 

「ちょっと!あんたら食事くらい静かに出来ないの?同じ天の聖杯として恥ずかしいわよもう...あ、これ美味し」モキュモキュ

 

その一環で、村の宿の一室を助けてもらった恩としてなのか無償で泊まらせてもらえることになった。ここまでされるとむず痒さも感じてしまう。

 

「ヒカリちゃん、このサラダもとても美味しいですよ?」モグモグ

 

感謝されるのは当然嬉しいものだが、僕としてはなかなか慣れないことなのだ。

 

 

 

「コッチのデザートも結構イケるわよ?特にこのパフェなんか...」モキュモキュ

 

ちなみに今は近くの酒場で食事を取っているところである。あんなことがあった後なのに、店内は食事を楽しみ、酒を煽り、挙句の果てにバカ騒ぎする輩で盛り上がっている。

 

「あ゛ぁ゛っ!?てめぇなめてんのか!いいか、ガーリックの立てる香ばしい香り、外側はこんがりと焼き上げておきながら、ナイフを通せばそこから広がる肉汁の輝き!そして口に入れればそこはもう天国だ!その一切れを頬張り、数少ない幸せに浸っていた所を!アルヴィースてめぇ!ステーキ様なめんじゃねぇぞ!」グググ

 

でも、落ち込んだりするよりかはこのほうがいいのかなとも思う。

 

「ハハハ、君そんなキャラだったっけ?でもありのままの君を見れて、改めて僕はこの出会いを嬉しく思うよ。だから...この僕にチョークスリーパーをかけるのは......止めてくれないかい?いや.........ほんとに、マジで............色々...............でそうだから......................口から」ク、クルシ.......

 

バカ騒ぎまでは出来ないが、せめてこの空気には馴染もう。

 

「うーん、店主さんに頼んで、この料理のレシピ教えて貰えないでしょうか...」モグモグ

 

そう思い、テーブルに用意された料理に

手をつけた。

 

「うん、美味い」モグモグ