Hello, Sports. #1 ダブルダッチ

スポーツ好きを自認してきた私は、(株)Link Sports入社後半年の間に、それまでの28年間でふれてきた以上の新しい競技に出会うことになった。
これは、初めて出会ったスポーツの魅力、知っていたつもりになっていたスポーツの新しい側面を知った記録を残すためのnoteです。

かっこよすぎる大縄跳びーダブルダッチ

初めてその存在を知ってから3か月。とあるプレーヤーに魅せられてしまい、3度も取材に足を運んでしまったスポーツがある。ダブルダッチだ。
小学校でよく遊んだ大縄跳びを想像してほしい。ダブルダッチは、そこにダンス要素が組み合わさったもの。2本の大縄を2人のターナー(回し手)が両端から操る。ジャンパー(跳び手)はその縄を跳びながらダンスパフォーマンスを繰り広げる。構成やテクニックの完成度を競う、審美系のスポーツだ。
※特定非営利活動法人ダブルダッチ協会によると、ダブルダッチは以下の4つの種目に分かれる。
・規定競技:決められた演技の正確さを競う
・スピード競技:ジャンパーが2分間に跳んだ回数を競う
・フリースタイル:1分間でチーム独自の演技を行う
・フュージョン:フリースタイルに音楽を合わせた3分間の演技を行う
ここではフリースタイルとフュージョンについての感想を残す。

YUI【REGSTYLE】に首ったけ

女性アスリートの取材先を探していたときに出会ったのがダブルダッチのプロチームREGSTYLEのパフォーマーYUIさんだった。取材場所に表れたYUIさんに、私は一瞬で目を奪われた。金髪のショートカットに、センスのいいシルバーのアクセサリーをつけ、ハットをかぶったYUIさんは、目が合うとすぐにハットを取って挨拶をしてくれた。

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その目線のまっすぐさに、「この人を知りたい」という気持ちが沸き上がった。インタビュアーとして、響き合いたい。1時間では収まりきらないほど、私の好奇心に火がついてしまい、その時の記事は目安の文字数を大幅に超えてしまった。(5000字!)

世界大会は日本のチームが三連覇

YUIさんが見ている世界を見てみたい。そう感じた私はその後、YUIさんが出場する世界大会Double Dutch Contest World 2019へと足を運んだ。YUIさんが所属するチーム、REGSTYLEは同大会二連覇中。三連覇をかけた戦いだった。

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結果として、REGSTYLEは見事三連覇を達成。王者の貫禄を見せつける圧巻の演技だった。REGSTYLEのパフォーマンスについては文末の記事を読んでいただくとして、ここでは世界大会観戦を通じて知ったダブルダッチの魅力を伝える。

あえて跳ばないという余白

先ほどのダブルダッチの説明では、ターナーが回す大縄をジャンパーが跳びながらパフォーマンスをすると書いたが、厳密には少し違う。実際に演技を見ると、「あれ、意外に跳んでない」という印象を持つ。大縄があることで"あえて跳ばない"という選択肢が生まれる。ここにダブルダッチならではの”余白”がある。

大縄の存在は、ダブルダッチ未経験者から見ると一見”厄介な存在”にすら見える。いくつかのチームは、ジャンパーがダンス中に大縄に引っかかってしまい、演技が止まることもしばしば。観戦者としても小学校での大縄で自分が縄を止めてしまった時の申し訳なさをうっすらと思いだして辛くなる瞬間だ。ただでさえ難しいダンステクニックを、大縄の中でやるなんて・・・という同情の気持ちが生まれた。しかしREGSTYLEのパフォーマンスを見ているとそうではないことに気づかされた。

彼らは”跳ぶ時間”と”跳ばない時間”を巧みに構成する。しかし跳ばない間も、大縄は存在感を失わない。ときに空間を自在に分けるパーテーションになったり、横に広いステージ上に奥行きを持たせたり、パフォーマーの背景で引き立て役に回ったりと、常に欠かせない構成要素なのだ。いざジャンパーが中に入ると、大縄の残像が彼らを包み込む。その一体感には神々しさすら感じる。ジャンパーの動きを制限するようで、実は表現の幅を広げるのが大縄の存在なのだ。

大縄は跳ぶもの。そんなの誰が決めたの?とばかりに、人と縄でアートを作り出すREGSTYLEの演技構成には、ダブルダッチが持つ「チームワーク」「懐の深さ」が存分に感じられる。勝敗を懸けているようで、メッセージを伝えている。ダブルダッチは、そんな世界観のあるスポーツだった。

記事リンク
表に出ることが裏方。佐々木唯さん「私には現役でいる理由がある」
世界最高峰の激戦に迫る。2019年ダブルダッチ世界大会観戦レポート


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